新型コロナウイルスの感染拡大、第二波、第三波が来るか? | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 3月29日深夜、志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して亡くなり、日本中に衝撃が走った。改めて、このウイルスの怖さを再認識させられたものである。

 2009年に私が厚労大臣として新型インフルエンザに対応したときには、徹底した水際作戦を断行したが、海外からの帰国者から感染者が出てから僅か1週間で、海外渡航歴がなく感染源が不明な患者が出てきた。

 水際作戦はあくまでも時間稼ぎであり、ウイルスが日本国内に侵入し、広く流行してしまった以上は、あまり意味がない。ところが、今回の新型コロナウイルスの場合は、国内に感染経路の不明の感染者が増えているにもかかわらず、水際作戦をなお強化して続けざるをえない状況なのである。

 新型インフルエンザのときには、ワクチンの開発も迅速で、タミフルやリレンザが治療薬となることが判明したが、今回は、ワクチン製造に1年半、治療薬の開発はまだ目処すらたっていない。

 中国では、4月8日に武漢の封鎖が解かれる。その結果、症状のない感染者が移動することによって、新型コロナウイルスの感染の第二波が来るのではないかと心配されている。香港の新聞、South China Morning Postによると、中国発表(3月24日現在)の感染者8万1218人、死者3281人という数字には無症状陽性者4万人が含まれていないという。

 新型コロナウイルスが厄介なのは、潜伏期間が長いことに加えて、無症状の感染者が多いことである。香港紙の報道通りだとすれば、3人に1人の感染者がそうだということになる。だからこそPCR検査をして、感染者を早期発見する必要がある。

 中国で外出禁止令などの規制が解除されれば、人々の往来が一気に頻繁になり、無症状感染者がさらに感染を拡大させることになる。そうなると、感染の第二波、そして場合によっては、第三波すら到来するという悪夢が現実のものとなる。。

 その場合、ワクチンや特効薬が開発されないかぎり、やはり集団免疫論に頼るしかなくなるのである。

 新型コロナウイルスについては、毒性もさほど弱くなく、あまり心配しなくてもよいようなイメージが拡散した。しかし、次第にそのウイルス特性が明らかになるにつれて、SARSやMERSや2009H1N1に比べて、新型コロナウイルスのほうが厄介なような気がする。

 感染防止に全力をあげることは当然であるが、ロックダウンでウイルスを封じ込める対策は、ワクチンが開発されないかぎり、抜本的解決策とはならない。それは、ウイルスの第二波、第三波に対して無力だからである。

 しかし、ドイツのコッホ研究所によれば、集団免疫の獲得には2年が必要だという。何が最適な対策なのか、国によっても違うし、各国で試行錯誤が続いている。