感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(3)情報公開 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 メキシコやアメリカの事例が伝えられた2009年4月24日以降は、マスコミ報道は新型インフルエンザ一色となり、国民の関心も高く、まさにウイルスとの戦争が始まったという感じで、私は、安全保障の専門家として、危機管理体制を十分なものにするために全力で当たった。

 危機管理の基礎は、正確な情報である。流言飛語でどのような悲劇が生まれるかは、関東大震災の例を見ればよく分かる。そして、組織の上位のリーダーから伝えられる情報ほど信頼性が高くなる。

 しかも、情報伝達は迅速でなければならない。逆に遅延すると、不安になった国民は、情報が欲しいばかりに流言飛語でも何でも信じてしまう。また、基本的にすべての情報は公開すべきである。

 このような基本方針を立てて、私は、午前1時から午前6時までの時間(この時間は、ほとんどの国民が就寝中である)を除いて、重要な情報は、私自らが記者会見で直接国民に伝えることにした。

 しかし、メディアは「目立ちたがりのパフォーマンス」とか揚げ足を取る。そして、会見しなかったらしなかったで、「なぜ大臣が出ないのだ」と文句をつける。

 ただ国民は、毎回大臣自らが記者会見をし、直接情報を伝える手法を歓迎した。それが一番信頼できる情報だからである。長妻大臣になって、会見で直接国民に語りかけることが少なくなった分、国民には情報が不足してしまった。

 ワクチン接種は1回でよいのか、2回必要なのか。何百万人分のワクチンが用意できるのか。これらについて混乱して現場が困った一因は、この新大臣の危機管理センスの欠如によるところが大きい。

 手洗い・うがいの励行など、子どもたちにも私の注意が行き届いたようで、小学校3年生の娘のクラスメートは、「君のパパからの注意だよ」と語るし、息子の幼稚園仲間の幼児は、「今日はパパがテレビに出てなかったよ、インフルエンザにかかったんじゃないか」と心配してくれたという。

 危機管理には国民の協力が不可欠であるし、またメディアにも協力してもらわねばならない。新聞の家庭欄やテレビのワイドショーが、新型インフルエンザへの対応策を細かく伝えてくれたのは、ありがたかった。