対イラン有志連合に日本は参加するのか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 トランプ大統領のイランに対する強硬策は、中東の緊張を高めている。また、米中貿易摩擦も先の展望が見えない。

 前回の大統領選では、「再びアメリカを偉大な国へ」というスローガンを掲げて勝利し、当選後はアメリカ第一主義の政策を次々と繰り出し、高い支持率を獲得してきた。

 低価格の外国産品の流入によって国内産業が衰退し、不法移民など廉価な労働力のために失業者が増えたと訴えた事が功を奏したのである。貿易については、関税を武器に使った保護主義を展開してきた。米中貿易摩擦は出口なしの泥沼状態に陥りつつあり、米中間の関税措置の応酬は、世界経済を縮小させている。

 世界の平和と繁栄は、諸国家間の相互依存の深化によってもたらされる。ヒト、モノ、カネ、情報が自由に流通する現代は、モンロー主義が通用する時代ではない。トランプの保護関税政策は、相互依存関係が深まっているからこそ、次第に深刻な影響を世界経済に与えつつある。しかも、関税などの経済的道具が、紛争を助長し、最悪の場合には戦争すら引き起こしかねないのである。

 ドイツ人の生活圏を確保するというドイツ至上主義者、ヒトラーの政策が第二次世界大戦を引き起こし、ホロコーストの悲劇を生んだことをヨーロッパ諸国は忘れていない。メルケル首相は、ハーバード大学での講演で、単独主義を批判し、多国間主義の必要性を訴えたが、これは痛烈なトランプ批判である。

 アメリカは、ドイツがロシアとの間で天然ガスパイプライン(ノルドストリーム2)の建設を進めていることを批判しているが、かつて西ドイツのシュミット首相が同様な政策をとったとき、アメリカは全く同じ批判をした。しかし、結果は、シュミット首相の判断が正しく、安全保障上の脅威となるどころか、ドイツとロシアの相互依存関係の深化はベルリンの壁の崩壊をもたらすことになったのである。

 歴史に無知なトランプ政権の政策は、ナチスドイツのような危険な色彩を帯びてきている。メルケル首相はそれを感知しているのであろう。

 イタリアは、中国の「一帯一路」計画に協力を約束し、アメリカの不興を買っているが、これもまた、相互依存関係を深めるメリットを模索する試みと考えてもよい。

第二次世界大戦の敗戦国、ドイツ、イタリア、日本のうち、日本だけが戦勝国アメリカに従順である。とくに、安倍首相は、「令和」初の国賓としてトランプ大統領を招くなど、日米関係は緊密である。しかし、長期的に世界の平和と繁栄に責任を持つのなら、トランプ政権の政策を変更させる努力を行うべきである。

 とりあえずは、イランに対するアメリカ主導の有志連合への対応が問題となる。