ますますヒトラーに似てきたトランプ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 トランプ大統領の人種差別的言動が激しさを増している。非白人の女性民主党議員に対し、「国に帰れ」と暴言を吐き、世界中で顰蹙を買っている。アメリカの建国の理念はどこにいったのか。

 トランプには、ヒトラーと共通する特徴があり、そのことが世界をますます不安にさせている。

 むろん、世界をひっくり返したという点で、ヒトラーに比肩できるリーダーは歴史上にはいないし、この稀代の独裁者には様々な側面がある。トランプには、ヒトラーほど「独裁者の器」があるわけではないが、ヒトラーと同様な特質を幾つか備えていることもまた事実である。

 トランプは、大衆を扇動して権力の座に上りつめたポピュリストである。“America first”というトランプの演説は、“Deutschland über alles(世界に冠たるドイツ)”というヒトラーの雄叫びと同じである。また、大統領就任式のパレードに集まった観衆の数を都合の良いように加工し、alternative facts(もう一つの事実)をでっち上げるのが、トランプ流である。Fake-news、post-truthの時代の到来であるが、ヒトラーはネットも存在しない時代にプロパガンダでドイツ人を思い通りに動かした。

 トランプは、オバマ政権下で国際的にアメリカの地位は低下し、威信が損なわれたと主張し、”Make America great again”をスローガンに白人労働者たちの支持を獲得した。ヒトラーは政権に就くと、600万人いた失業者をわずか3年間で完全雇用状態にした。

 また、第一次大戦後ドイツを屈辱的な地位に陥れたヴェルサイユ条約を骨抜きにしていく。再軍備、ラインラント進駐、オーストリア併合などである。この大成功は90%以上の国民の支持を得たのであり、ヒトラーに批判的であった人々まで支援者に変えていった。

 トランプは、「アメリカ人に職を取り戻す」といった公約を一部実現したが、同時に彼の保護主義によって倒産する農家や企業も増えている。移民によって奪われたアメリカの良さを回復するという姿勢は、ユダヤ人を攻撃するヒトラーと同じである。

 ヒトラーはドイツの「生存圏」を主張し、ヨーロッパを支配し、最終的には世界を支配することを目指して軍事行動に出た。トランプは、地球温暖化対策を決めたパリ協定、イランとの核合意、TPPから離脱したが、それはオバマ前政権の業績だからという。

 お粗末限りなく、ヒトラーほどの凄みはないが、大統領再選しか念頭にない最近のトランプの言動は、世界一の大国アメリカの指導者としては不適格であることを世界にさらけ出している。