左翼ポピュリスト文在寅の落日 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 韓国の文在寅大統領の株がぐんぐん下がっている。アメリカも日本も、そして北朝鮮までもが、文在寅を無視しはじめている。大阪でのG20首脳会議で、安倍首相は文在寅との会談を拒否した。

 文在寅は、金大中、盧武鉉政権の流れをくむ左翼ポピュリストである。政策的には、(1)対北朝鮮宥和、(2)対日強硬が特色である。そして、両方とも民族主義を基盤とする。

 歴史上で有名な左翼ポピュリストはヒトラーである。ナチス、つまりNational Socialism とは、民族主義と社会主義を混ぜ合わせたものであり、党名そのものが「ドイツ民族第一主義」・「左翼」というナチスの特色を表している。

 南北間の首脳会談が(1)の政策だとすれば、たとえば日韓の慰安婦合意に対する異議申し立ては(2)の政策である。民族統一を掲げて融和路線を進めると、アメリカよりは北朝鮮に親和性を強める韓国人が増えてくる。また、有事の際に在韓邦人救出に自衛隊が出動することを拒否する傾向が強まる。

 民族主義を前面に出せば、(1)については、韓国と北朝鮮の「同じ民族同士で対話と交渉を通じて問題解決を図る」という姿勢になる。これは、アメリカや日本、そして中国やロシアまでも排除することを意味し、日米と韓国を分断しようとする金正恩の思うつぼである。

 そもそも、北朝鮮は交渉の相手としてはアメリカしか念頭になく、世界は自国とアメリカとを中心として回っていると認識している。日本や韓国は、そのアメリカの従属国にすぎず、利用できるかぎりで付き合うという姿勢である。

 したがって、北朝鮮は、ICBM・核兵器はアメリカへの対応策であり、同胞に向けたものではないと強調する。これもまた、民族主義を利用して韓国から融和策を引き出す狙いである。経済制裁による疲弊から脱出するために、韓国からの経済支援の取り付けを目論んでいる。しかし、自らの非核化には応じる姿勢は示していない。

 慰安婦問題を巡る日韓合意については、流石に両国政府間での正式合意までを破棄する愚は犯さなかったが、2018年1月に、苦肉の策として、韓国側は「和解・癒やし財団」の資金10億円を韓国側が拠出するという案を出してきた。「日韓合意が当事者の意思を適切に反映していない」と論評し、日本政府に元慰安婦の名誉と尊厳の回復への努力を求めたのは、国内世論向けのパフォーマンスであった。

 日本政府は、このような追加要求は受け入れなかったが、2018年11月には韓国政府は財団の解散を発表している。その後も、韓国駆逐艦による自衛隊哨戒機へのレーダー照射などで、日本人の嫌韓感情が強まっている。

 文在寅の左翼ポピュリズムのツケは大きい。