次期大統領選挙に立候補表明したトランプは北朝鮮を変えられるか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  6月20日、中国の習近平主席は、就任後初めて北朝鮮を公式訪問し、金正恩委員長と首脳会談を行った。中国の国家主席としては14年ぶりの訪朝である。

 北朝鮮は独裁国家であり、ナチスドイツと比較するとよい。また、アメリカはイランとの核合意から離脱したが、核交渉という点でイランと北朝鮮を比べてみたい。また、経済発展という観点からは、中国の歩みが参考になる。

 まず、第二次大戦後の国際秩序は、戦争で日独伊に勝利した米英仏中ソ連が形成したものである。国際連合も戦勝国の組織であり、安全保障理事会の拒否権を持つ常任理事国は先の五カ国である。それだけに、旧枢軸国は二級国家扱いであり、旧敵国条項も残っている。

 戦後の国際秩序は核による恐怖の均衡で成り立っているが、核拡散防止条約は新規の核保有国を認めないというものである。これもあまり説得力のない考え方であり、主権国家がどのように武装しようが基本的には自由であるべきである。実際に、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮が核武装している。これらの国々は、核兵器管理という観点からは戦後秩序に挑戦したと言ってもよい。

 リビアも同じことを試みたが、アメリカなどの圧力によって断念した。また、イランも同様な意図を持っているが、2015年の核合意によって核開発を停止している。しかし、その核合意からアメリカが撤退し、イランが反発して核再開発の動きを見せている。

 北朝鮮、そしてイランを1945体制の枠内にとどめるのか、それとも離脱させてしまうのか、今そのせめぎ合いの外交交渉が展開されている。

 中国では、毛沢東派の文化大革命で失脚していた鄧小平が復活し、経済優先主義に舵を切り、今日の繁栄へとつなげた。そこでは、共産党一党支配体制下でも、複数の政治勢力の間で権力闘争が展開されてきた。

 また、ヒトラーは一代限りの独裁者である。しかし、北朝鮮は中国型でもナチス型でもない。金正恩はヒトラーのような独裁者であるが、金日成、金正日から続く世襲である。

それだけに、北朝鮮の今後は見通しにくい。当面の戦争の危機を回避するために、アメリカは金正恩に体制の保証を約束するにしても、その後、どのようにして民主化させるのかのシナリオは明らかではない。金正恩は鄧小平になれるのか、それともヒトラーのように殺害されるしかないのか。

 2015年のイラン核合意は当面の危機回避策であった。イスラエル寄りのアメリカは、それに反発して反古にしたが、金王朝の独裁体制保証も当面の危機回避策ではないのか。冷静に観察すると、矛盾に満ちたトランプ外交である。

 そのトランプが、6月18日、次期大統領選挙への立候補を正式に表明した。再選されるのかどうか、世界が注目している。