20世紀文明論(46):スピードの世紀⑫・・自動車文明❷ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  20世紀は自動車文明の世紀であり、自動車こそアメリカ的生活様式を代表するものであり、自由な生活のシンボルであると言ってもよい。この自動車文明は世界に拡大していったが、今や欧米と並んで自動車の主要生産国となっている。

 Toyota、Nissan、Honda、Suzukiなどの自動車メーカーの名前は、世界に通用している。

 今日、日産のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕されたが、フランスのルノーと日産を管理下に置く辣腕の経営者であった。不振の日産を立て直した業績は高く評価されるが、外国人経営者が日本のメーカーのトップに君臨する時代となったのである。

 日本の自動車輸送の歴史を振り返ると、1903年に広島で日本初の路線バスが開設されているが、自動車輸送の本格化は第二次大戦後のことである。

 国内貨物輸送量の推移を交通機関別に見ると、自動車の伸びが大きく、1966年には国鉄を、1985年には内航海運を抜く。

 1989年のシェアは、自動車51.2%、内航海運48.3%、鉄道4.9%、国内航空0.1%となっている。同じ年の国内旅客輸送量は、自動車66.7%、鉄道29.1%、国内航空3.7%、内航海運0.5%となっている。このように、運輸分野における自動車の占める重要性は増していった。

 自動車文明は20世紀の人類の生活を快適なものにした。しかし、自動車を動かす動力源は石油であって、この文明は資源問題、地球環境問題など大きな課題を投げかけた。

 今や、ハイブリッドを経て、電気自動車の普及が目覚ましく、水素の活用を含めて、21世紀は、自動車文明=石油文明という20世紀文明を克服しつつある。

 ヨーロッパの大都市では、パーク&ライドなど、自動車と路面電車の共存の試みも行われている。

また、廃車という巨大なゴミの処理も課題となっている。様々な問題をかかえながらも、人類は自動車の利便性を享受し続けている。

 今後、20世紀の自動車文明がどのような展開を見せるのか、空飛ぶ自動車の開発など夢のある試みも始まっている。これからの技術の進歩に、希望を託したいと思う。