20世紀文明論(45):スピードの世紀⑪・・自動車文明❶ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 20世紀は自動車の世紀でもある。1880年代に近代的な自動車を発明したのは、ドイツのカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーであるが、自動車を大衆の手に届くようにしたのはアメリカのヘンリー・フォードである。

 1908年10月1日、フォードT型が発売され、アメリカのモータリゼーションが幕を開けた。このフォードの革新性はどこにあるのか。まずは、値段の安さである。

 それまでの車1台の価格が2129ドルであったのに対して、850ドルという画期的な値段で販売し、しかも堅牢で、操作性に優れ、修理も簡単だったのである。それを可能にしたのが、設計の標準化と生産工程の合理化である。

 1913年には組み立てラインを導入し、大量生産システムを完成させ、アメリカの産業界に決定的な影響を及ぼした。以後、大量生産方式が急速に広まっていく。

 T型フォードこそ、大衆のための車であり、19年間モデルチェンジされずにいたため、価格も、1913年には550ドル、1924年には355ドル、そして最終的には290ドルにまで下がった。

 販売台数も、1909年に1万7771台だったものが、1913年には20万2667台に増えた。最多販売年は1924年で180万台を超えている。

 アメリカの自動車登録台数は、1910年に45万8000台だったが、1920年には800万台、さらに1930年代には2300万台に急増した。この自動車の普及は、アメリカ社会に様々な影響を与え、人々の生活様式を大きく変えた。舗装道路が整備され、1940年には初めてフリーウエイが開通している。

 又、自動車で旅行する際に使う宿として、キャビンやモーテル(たとえば、ホリディ・イン)が作られ、ファーストフード・チェーンも生み出されたのである。

 さらに、自動車は人々が郊外に住むことを可能にし、ショッピングセンターやショッピングモールなども誕生した。