国力の指標について | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 11月14日にシンガポールで行われた日露首脳会談では、北方領土問題解決、平和条約締結について、1956年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約交渉を加速させることで合意した。

 北方領土について考えるとき、「領土」を国力という観点からどう位置づけるかということが問題となる。領土を国力の指標に掲げている学者は多くない。領土は、そこにある資源、それが持つ経済的意味、また地政学的要素などが重要であり、ただ広ければよいというわけではない。

 国力の指標については、私は(1)人口、(2) 軍事力、(3)経済力、(4)金融、(5)文化の5つを挙げる。

 ハンス・J・モーゲンソーは、国力の構成要素として、(1)地理的条件、(2)天然資源、(3)工業力、(4)軍備、(5)人口、(6)国民性、(7)国民の士気、(8)外交の質、(9)政治の質を列挙している。

 また、J・フランケルは、パワーを強制力と影響力に分け、「総合国力」の構成要素として、(1)人口、(2)地勢、(3)経済、(4)政府組織と軍事組織、(5)心理的・社会的要素、(6)国際戦略的地位の6つをあげている。

 さらにレイ・S・クラインは、次のような式を使って、数値による国力の測定を試みている。

 

Pp=(C+E+M)×(S+W)

Pp =国力、C=人口+領土、E=経済力、M=軍事力、S=国家戦略目標、W=国民の意思

 

 その他にも、多くの学者や研究機関が国力測定を試みているが、GDPや人口などは明確に順位が決められるが、どの指標をどう評価するかは容易ではない。例えば、軍事力や文化力のランキングなどは簡単には確立できない。

 総合的に見れば、1位アメリカ、2位中国、3位インド、4位日本、5位ドイツ、6位ロシアといったところであろうか。

 今の国際情勢を、4位の日本と6位のロシアが接近し、アメリカ、中国、ヨーロッパなどを牽制していると見ると、分かりやすいのかもしれない。