20世紀文明論(37):スピードの世紀③・・鉄道の歴史③ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 鉄道を再生させた画期的な発明とは、言うまでもなく新幹線である。

東海道本線の輸送力が限界に達した状況を打破するため、1957(昭和32)年5月25日、国鉄技術研究所創立50周年の記念講演会で「超特急列車、東京—大阪3時間運転の可能性」というテーマが語られた。

 それを受けて、2年後の4月20日、東海道新幹線は新丹那トンネルから工事に入った。こうして、わずか5年半という短期間に工事を完成させたのである。

 1964(昭和39)年10月1日、東京オリンピックに先立つこと9日、「夢の超特急」東海道新幹線が開業した。東京—新大阪間を、途中名古屋と京都だけに停車する超特急「ひかり」が4時間で、各駅停車の「こだま」が5時間で結んだ。最高時速は210㎞、当時の世界一である。

 その後、日本に鉄道が開通してから100年に当たる1972(昭和47)年には、新幹線は新大阪からさらに西に延びて岡山にまで達した。さらに3年後には、岡山—博多間が開通した。

 そして、1982(昭和57年)には、東北、上越の二つの新幹線が営業を開始している。1992(平成4)年には、初のミニ新幹線、山形新幹線が、1997(平成9)年には秋田新幹線が開業した。

 同じ年の10月1日には、長野オリンピックに先駆けて北陸(長野行)新幹線が開業している。1999(平成11)年12月4日には山形新幹線山形—新庄間が、2002(平成14)年12月1日には東北新幹線盛岡—八戸間が開業した。

 2004(平成16)年3月13日には九州新幹線新八代—鹿児島中央間が開業し、2010(平成22)年には東北新幹線八戸—新青森間が開業した。2011(平成23)年には九州新幹線博多—新八代間が開業した。

 以上のように、新幹線網は日本全国に拡大しつつあるが、日本の新幹線はヨーロッパ諸国にも大きな刺激を与え、フランスのTGV、ドイツのICE、イタリアのETR、スペインのAVE、イギリスのICなどの開発につながった。

 その意味で、日本の新幹線は世界の鉄道にルネッサンスをもたらしたと言ってもよい。

 スピードでは、1990(平成2)年にJR東海が300系の「のぞみ」を、さらに1996(平成8)年にはJR西日本が500系の「のぞみ」を登場させ、最高時速300㎞の時代が到来した。

 実は、北九州市に住む母を東京から遠距離介護をしたとき、心強い相棒が500系の「のぞみ」だったのである。4時間未満で東京—小倉を繋いでくれたこの新幹線が私に仕事と介護を両立させてくれたのである。移動する仕事場でもあり、そのスピードは飛行機と十分に対抗できるものであった。

 残念ながら、今の700系の「のぞみ」は停車駅が増えたせいか、小倉まで時間がかかりすぎる。