税制改正:東京都の立場から | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 年末は税制改革の大綱を決める時期でもある。東京都は地方の県に比べて豊かであり、他県から「東京一人勝ち」といった恨み節を聞かされ、東京一極集中が諸悪の根源であるかのような批判にさらされる。

 そのため、年間3000億円もの都民の税金が国によって召し上げられ、地方に配分されてきた。3年程度の暫定措置として導入された地方法人特別税が、2015年時点で7年間も続いていたが、私はこれを廃止すべきだと主張し、在任中にその廃止の目途をつけた。しかし、富の偏在を是正し、国土の均衡ある発展を図るためには、何らかの是正措置が必要だという主張もまたある。さらには、東京の中でも23区と市町村の財政事情は同じではない。

 以上のような論点を念頭におきながら、都知事の私は、当時、宮沢自民党税調会長をはじめ多くの関係者と何度も議論を重ねた。東京と地方を二律背反的に考えるのではなく、双方に利益がある、いわばwin-winの関係が構築できるような税制改正が望ましい。そのためには、日本の税制を長期的にどのように改革していくのかとい視点で協議したのである。

 たとえば、税財源の不安定性は東京都にとっては悩みの種である。不景気で税収が激減したときに備えて、常に資金を蓄えておかねばならない。それは、法人事業税・法人住民税に過度に依存する財源構成だからである。法人税の抜本的改革について議論を始める時期が来ていると思う。

 そもそも法理論的には、地方税財源は固定資産税と住民税が最も論理一貫しているが、それに加えて、法人税と消費税との関連についても踏み込んだ検討が不可欠である。今、消費税の地方配分の比率について議論されているが、国4・地方6という比率に応じた配分が適当である。

 さらには、「この国のかたち」をどうするのかというヴィジョンがなければ、税制改革もまた不十分なものになる。つまり、中央集権から地方分権へとベクトルを変えていくべきであろう。税は政治そのものであり、租税特別措置の撤廃が困難なのも、既得権益を守ろうとする勢力が政治的影響力を行使するからである。都知事は、政治指導者として、国における税制論議に積極的に介入すべきである。