発電所の『杭長』と『必要強度』の正確な算出方法 | 収入源の多様化を創造する

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サラリーマンのかたわら、様々な副収入を考案。
現在、サラリーマン収入の他に3つのキャッシュフローを構築。2018年度より兼業で事業者として開業。
様々なポートフォリオ、副収入スキーム、節税スキームに取組み活動中。


先日完成した2基目の発電所
そこで使用した杭は
外径11.4cm 杭長5m
の鋼管杭
を使用した事で

『新基準はそこまで強度を求めてくるのか!』

というお話が
事業者仲間の中であったので
杭長の考え方」について
以前の記事
発電所建設のススメⅡ17には書ききれなかった
補足事項を解説しますニコニコ

杭長について

僕が"適正強度"について
調べ始めた時に
先輩事業者さんから頂いたご意見は

『杭長は2m弱(1.5m〜1.8m)あれば大丈夫』
『引き抜き強度は1t出れば大丈夫』
といったご助言を頂いたのですが

すいません
これらは「全て誤り」ですガーン

物理的に考えばわかる

そもそもの考え方として
例えば
自宅に壁掛け時計を取付けるとして
「画びょうを1本挿し込んで固定」
する場合があると思いますが

これを極端な話
「10本で固定した場合」

一本あたりに必要な強度は異なる
事がわかります。

・1本固定の場合
時計の重量を支えるだけの強度を
「1本で担わなければなりません」

・10本固定となると
必要強度は「10分割される」事になります。

杭も同じですし
「建築物でも杭長は同じ考え方」をします。

支えるアレイの
「重量や耐風圧」に対して
どれだけの杭数(杭ピッチ)で支えるかによって
杭1本あたりに求められる強度が異なるので
杭の長さが自ずと異なる
という事です。

注意雑な盲信はNG

それを
『野立て太陽光発電の杭長は2mだ!』
とか
『引き抜き強度は1tだ!』

という"雑な盲信"は
根本を理解できていない
事になります。

では
適正な算出方法
としては
やはり設計に依存します。

その為に
強度計算書(構造計算書)があります。

虫めがねここでのポイントとしては
その設計自体が誤っている可能性がある
事です。

例1)地盤調査を行わずに設計

このケースはめちゃくちゃ多いと思います。
この場合の設計は
基となるSWS試験で求める
N値や祖度区分を
「仮」で当てはめて算出
しています。

「仮」なので
設計者は"好きな数字"
"都合の良い数字"を入れられる訳です。

初めに検討していた
中国の架台メーカーは
このN値や祖度区分も高め(施工しやすい地盤)
「仮設定」して設計
を行っていました。
※ほとんどの架台メーカーがそうだと思いますよ!

つまり
設計根拠として
成り立っていない
のです。
考え方としては
発電シュミレーションと同じです。
「日照量」「ロス率」
好きな数字を入れられますよねショボーン

例2)設計が間違えている
僕の発電所であったケースです。

杭の適正強度を出すにあたっての
杭長の選定は
N値に依存します。
SWS試験で何を求めているか
というと
その土地の地下何mに
N値10以上の
通称「支持層」があるのか
を調査しています。

支持層が地下3mなら
杭長は3.5m程は取っておく事になります。

極端な話
表面からN値10以上出ているのであれば
0.5m杭でいいですし

支持層が地下10mにあるなら
杭長は10.5m必要となります。

【僕の発電所建設の場合】
支持層が一番浅い測定ポイントで1m
支持層が一番深い測定ポイントで3.8m
と、同じ用地内でも
2.8mの乖離
があったのです。

この測定結果からいくと
GLから「地上の出しろ」を考えて
一番深い支持層(3.8m)に到達させるには
杭長は4.5m、最低でも4m必要
となる訳です。

1回目の
もあった事から
最終的に確実性を見越して
5m杭になった
という顛末です。

深く突刺せば(杭長を長くすれば)
当然、より強度的に安心ですが
コストとの兼ね合い
を考えて適正な杭長を選定します。
僕の発電所の強度計算書
支持(押込み):6.93kN(約700kg)
引抜:6.93kN(約700kg)
水平:2.09kN(約210kg)
必要とされる三方向試験の強度
です。

試験強度は一般的な1tに比べると
弱く感じるかもしれませんが
杭長&杭ピッチ(杭の本数)
で強度は十分に担保出来ています。

その他の用語解説
根入れ:地中に打ち込まなればならない杭長
突出長:GLから地上の出しろ
短期鉛直支持力:沈下しない力
短期引抜抵抗力:持ち上がらない力
地表面変位:横に動かない力
検定比:1.0以下でならなくてはならない
支持検定比、引抜検定比
共に1.0以下であるという証明

低圧事業者で、ここまで地盤と
しっかり向き合った人は少なく感じます。
※実際にSWS試験を行ったら
支持層まで届いていない杭を使用している(杭長不足)の発電所は多いと思います⚠

☑️SWS試験結果(事前調査)書類が無い

☑️杭長設計(構造計算書)が無い
特に
☑️三方向試験結果書類が無い

という場合は
注意要注意です!

強度の担保が無く
エビデンス(証明)も無いのは
「FIT法」「電気事業法」
共にアウトで
「実際の強度も不足」
している可能性が高い
と思います。
これらは
「基本的な考え方」で
杭にも「様々な種類の杭」があり
最もポピュラーな
「スクリュー杭」から
「鋼管杭」「C型形鋼杭」
「コンクリート杭」
「先端加工付鋼管杭」など
様々な杭がありますが
やはり、基本は
支持層に効かせる事
です。

冒頭の
"石こうボードの話"
が分かりやすく
重量物を取付けるには
石膏ボードは地面の様に
"砂"を固めたもので、支持力がありません。
そこで、石膏ボード壁の下地の中に入っている「木材」や「間柱」を探して
そこにビスを効かせて支持力を出します。
ここでも
取付ける重量物の重さによって
何cmの長さのビスを打つか
何本のビス(ピッチ)を打つか
選定しなくてはなりません。

土地によって地盤の状況は異なる
特に支持層の位置は
同じ土地でもバラつきがあり
その為、SWS試験では
「四隅と真ん中」の
3〜5ポイントを測定して
一番支持層が深い位置に合わせて
杭長を決定します。
つまり
野立て太陽光は杭長2m!
といった様な
注意"雑な選定方法"ではありません。

「どの土地でも共通」となる
万能な杭長は定められない
ので
その土地ごとに地盤調査
を行い
杭長を決める
事になります。

「コスト削減」や「施工性」の観点から
杭長を短くしたい場合は

☑️SWS試験結果を基に
浅い支持層の箇所は短く
深い支持層の箇所は長くする

☑️杭の本数を増やし、杭ピッチを縮める

☑️杭は短くして、コンクリートで補強する
などの方法はあります。

引き抜き強度は
これらの
「杭設計」「架台の設計」
を基に算出するもので
"一概に1t!"みたいな
注意"雑な算出方法"ではありません。

設計によっては
「1t出ても強度不足」
の場合もある事は注意点です。

また、補足として
「支持層に届かせずに」
「引き抜き強度だけ」を出せた場合
特に「コンクリートの重み」で持たせた場合には

沈下
地震での転倒
の恐れがあるのを考慮しなくてなりません。
沈下は経年劣化の様に
年数を掛けて少しづつ沈んでいきます。
それを防ぐには
押し込み試験
で適正強度を出しておく必要があり

地震(横の動き)に耐えるには
水平試験
で適正強度を出しておかなければならないので

設計ガイドラインとしては
「三方向試験」を義務付け
しているわけですね。

まとめ

シンプルに言うと

①地盤調査(事前調査)を行い
支持層の位置(深さ)を確認しておく

②地盤調査データを基に適正な設計(杭長、杭ピッチ)をする

③設計を基に三方向試験で必要な強度を算出&計測する

野立て太陽光におけるロジック

・レイアウトや過積載、一面架台
パワコンの選定から積み上げた「発電量

・「架台だけの強度」に目を向けた
取付け金具や固定トルクでの「強度

など、全ての理論は
基礎となる「杭の上」
に成り立っています。
杭基礎が適正で無い
ものの上に
"積み上げたロジック"は破綻します。
ここは"経産省の新基準"強化
云々の話では無く

ズブズブで全く杭が効いていない
電気工作物
注意普通に考えて危ないですよねガーン

自分の発電所を
自然災害から守る
事で
自分自身を守る
事に繋がります。

その為に
必要な基礎作り
のお話だと思います。

2019年8月電力安全課発行
台風時期到来の注意喚起(周知)

何事も"雑な盲信"を行うのではなく
ロジックは基礎からしっかり積み重ねていきたいですね。

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