かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -71ページ目

官能小説「放課後の夜~奈津子~」八十九

相田はもうこれ以上逢い続けるのはまずいと思うと言った。


お互い家庭もあるわけだし、良心の呵責に苛まれているとも言った。


あまりに突然だったので、奈津子は動揺を隠せなかった。別れ話をきりだされて初めて、相田という男の存在が自分の胸の中でいかに大きなものであったかを知った。


同時に、なんてずるい男なんだろうと相田を憎らしく思ってもいた。これまでの経緯からいって、相田が奈津子の体に飽きてきていたのは間違いなく、別れをきりだした本当の理由もそれがまず第一であるに違いないと思った。


奈津子は私はまだ別れたくないと相田に正直に言った。あまりに突然すぎる、捨てられるみたいで嫌だと言った。相田はそれを聞いて、何故かうつむいて意味ありげにフフッと笑った。頭をひっぱたいてやろうかと思った。


相田は奈津子の熱意にほだされたのか、じゃあもう少し様子を見ようと言った。ありがたかったが、なんだかその言い方も上から言われているみたいで腹が立った。


それでも奈津子は相田の心を繋ぎ止めるためにいろいろ努力をした。今までの服装はどちらかというと地味だったのを、意識して明るい色の服を選んで着てみたり、短い丈のスカートを履いてみたり、若い時分にしか着ていなかったワンピースを着てみたり、少し香水を使ってみたり…。


しかし、そういった奈津子の変化を、相田は喜ぶどころか蔑視でもって迎えた。


いたたまれない思いの奈津子を、相田は強引にベッドに連れ込み、蔑んだ態度で奉仕させ、蔑んだ態度で奈津子の体を貫いた。生まれて初めて、精液を顔にかけられた。それを指で口に入れられ、飲まされた。屈辱的な気分だった。


我慢できなくなったのは、その次に逢った時だった。相田は奈津子が峻拒していたのを覚えていながら、奈津子に四つん這いの体勢をとらせ、尻の穴にさりげなくローションを塗り、そそり立ったモノを肛門に侵入させてきたのだ。


たちまち肛門から腰部にかけて激痛が走り、奈津子は悲鳴をあげた。血が出たかと思った。


が、相田は奈津子を心配することもなく、興醒めした顔で煙草をふかし始めた。


肛門の痛みはしばらくして落ち着いたが、変わりに目頭が熱くなって悲しい涙が流れた。


相田がその様子を見て舌打ちをした。それを背中で聞いた時、奈津子はようやく別れを決意した。


相田とは、それきり逢っていない。


心の中に、ぽっかりと大きな黒い穴が開いた。あんなに嫌な思いをしたのに、寂しくて仕方がなかった。


そんな時期に、あの良雄が奈津子の心の隙間に入り込んできた。


(波川くん…。)











…もうすぐ、また土曜日の夜がやってくる。


(全ては、寂しさから……)


奈津子は胸の内で呟き、髪を乾かしきってドライヤーのスイッチを切り、置いた。


また一つ、不幸なため息をついた。


目を閉じ、これから越えなくてはならぬであろう運命の暗い山を想った。