江戸時代の総需要不足 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム
水曜日は、みぬさ よりかず氏による経世済民・建築論です!


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経世済民・建築論『江戸時代の総需要不足』

前回のエントリーで江戸時代の人口が、概ね三千万人程度で停滞した件に関して、食料生産の観点から人口停滞に到ったとのコメントを頂きましたが、私はそれとは異なる見解を有しています。理由は、江戸町人地の遺跡から大量の「酒とっくり」が発掘された事を知っているからです。酒の原料は、当然ながら「お米」です。

貧しく結婚もままならなかった江戸の庶民ですが、酒は自由に手に入れる事が出来ました。これは比較的安価に酒が手に入った証です。仮に人口が伸び悩む程に米が不足する状況であれば、酒などの嗜好品に大事な米を使うなど出来なかったでしょう。また全国津々浦々に地酒がある事も全国的な米余りを示唆します。

恐らく各藩は米の需要不足に悩み販路を切り拓く為に積極的に酒作りを奨励したのでしょう。日教組などのサヨク史観教育の影響で、お米を一般国民が食べられなかったなどというデマがまかり通っていますが、これも大嘘です。大名は米を売って現金を得ていた訳ですから、庶民に米を食べて貰わないと困ります。

作家の井沢元彦氏の指摘で気付きましたが、当時は米を作らない非農業従事者の人数分しか年貢が取れなかったハズです。理由は、米を輸出しない以上、余分に多く米を農家から奪っても、捨てるしかなかったからです。そう考えると租税負担率は、多くても三割程度では無いでしょうか?今より税は軽かったかも知れません。

また幕末から明治初期の段階で日本の人口は再び増加に転じています。台湾や朝鮮が日本の一部となり米を輸入する以前から日本の人口は増えています。また幕末や明治初期に大量の米を海外から輸入したなど話しなど、聞いた事が無いです。考えられるのは経済がデフレ基調からインフレ基調に変化した点でしょう。

幕末から明治維新に掛けて、富国強兵、殖産興業の流れが出来て様々な公共投資が実施されます。これが需要を喚起して人口増加の要因になったのでは無いでしょうか?米不足などの供給能力の制限が、人口増加や経済成長を阻害していたのでは無く、今と同じく需要不足が、経済の足を引っ張っていたのです。

江戸時代と比べると現在の日本の人口は四倍に増加しています。この人口増を引き受ける為に我々は、江戸時代の人々が手を出さなかったような場所に居住地を広げています。結果、江戸時代よりも自然災害に脆弱な国土で人々が日々暮らす羽目となっています。この脆弱化した国土の強靭化こそ現代の潜在的な巨大需要です。

幸いにも日本人は、長い歴史の中で自然災害に対処する為に、日々の労働を厭わない国民性を持っています。お陰で、日本の供給能力は非常に高いレベルにあります。仮に政府が積極財政を行っても経済が混乱する程の激しいインフレに至る可能性は低く、マイナス金利にデフレという世界一健全な財政を日本政府は誇ります。

だとすれば、自然災害に対し脆弱化した国土を復興させる国土強靭化などの財政政策は、現代日本に課せられた天命であると確信します。江戸時代の総需要不足によるデフレ化と人口停滞は、今の日本にもそっくり当て嵌まります。この歴史から学び、国土強靭化という天佑を活かすのが、今に生きる日本人の役割なのです。



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