☆☆☆+
集英社 2022年5月10日 第1刷 発行 300ページ 小説すばる 2021年3月号~9月号、加筆修正。
○安壇美緒「ラプカは静かに弓を持つ」読みましたか
橘樹は全日本音楽著作権連盟(全著連)に勤めて数年経ちます。仕事は、特に思い入れもなく淡々とこなしています。どらかというと内気な性格。
ある時、上司の塩坪に呼び出され告げられます。「君はチェロが弾けるそうだね。ミカサの音楽教室に通って、その不正を暴いて欲しい」といわれました。
ミカサは全国展開している音楽教室です。そこで演奏される音楽も、著作権の対象となるということで、その支払いを求める裁判を、全著連は準備しているのでした。橘が音楽教室に通ってミカサでの不正利用を、裁判で証言してくれということです。
橘はチェロに対して複雑な思いを抱いているのですが、小型録音機を持たされて音楽教室に通うことになりました。。。
ということで、安壇美緒「ラプカは静かに弓を持つ」読みました。孤独を抱える橘が音楽教室の仲間や先生になじんでいくにつれて、自分のやっていることが、彼らに対する裏切りになるのではないかという葛藤が描かれています。
ある意味、ミステリー仕立てでもあり、ドキドキもします。おとり捜査のようなことが、行われたりするのですね。演奏に対する文章表現もよかったです。2023年本屋大賞2位の作品でもあります。72223
追記
2022年の最高裁の判断では、先生からは徴収でき、生徒は対象外となったようですね。
書評:本屋大賞 はこちらです・・・
書評:現代小説? はこちらです・・・
作家別のインデックスはこちらです。☆つけて、一覧にしています。
インデックス:伊坂幸太郎
インデックス:恩田陸
インデックス:東野圭吾
インデックス:村上春樹
インデックス:宮部みゆき