佐木隆三「身分帳」読みましたか | 親愛なる人に-読書の薦め

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身分帳 (講談社文庫) [ 佐木 隆三 ]

佐木隆三「身分帳」 (講談社文庫)

☆☆☆
2020年7月 講談社文庫 1993年6月に刊行された文庫の新装版 461ページ
 

○佐木隆三「身分帳」読みましたか
山川一は戦後の混乱の中、で母親に施設に預けられます。しかし、軽犯罪を繰り返して、大人になってからも、刑務所に入ったり出たりする生活を繰り返していました。

和49年、付き合ってる女性のもとに押しかけてきた若いチンピラともみ合いになり、相手の刃物で刺し殺してしまいました。正当防衛は認められず、昭和61年12月まで刑務所入りとなりました

44歳で旭川の刑務所を出所した山川ですが、人生の大半を刑務所で暮らしていたことになります。身元引受人となってくれた弁護士を頼って東京まで行きます。

山川は頭は悪くないですが、潔癖症で、自分の中で正しいと思ったら、かっとなって言葉や行動してしまうタイプです。また、高血圧の持病を抱えています。果たして、社会になじんでやっていけるのか。。。

ということで、佐木隆三「身分帳」読みました。この小説には、実際のモデルがいます。この本の最後の方に、「行路病死人」-小説「身分帳」補遺 が掲載されており、著者と小説のモデルとの関係が書かれていました。

主人公を含め、この小説に出てくる人たちは、多かれ少なかれ、戦争に影響を受けています。昭和の終わりのあの時代は、戦後を引きずっているいる人がたくさんいたんだと、この本を読むと感じられます。昭和の香りがプンプンする小説でした。

追記
この小説は役所宏司さん主演の西川美和監督の映画「すばらしき世界」の原案です。↓41622

すばらしき世界

 

身分帳 (講談社文庫)

 

 

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