松本清張「西郷札―松本清張短編全集〈1〉」 (カッパ・ノベルス)
カッパノベルス 光文社 307p 1963年12月初版 2002年8月3版
☆☆☆+
○松本清張「松本清張短編全集1 西郷札」読みました
この本は、松本清張のデビュー作「西郷札」や芥川賞受賞作「或る「小倉日記」伝」などが8編が入った初期短編集です。
松本清張は初めて読んだのですが、面白くてビックリしました。今から60年以上前の作品群ですが、全然古びてなく、現在の作家と比べても、全然遜色のない面白い作品だなと思いました。いろんな作品が映画化ドラマになったか分かった気がしました。
明治初期の設定の作品も多く、当時はまだ明治が近かったんだなと思ったりもしました。
本人が昭和38年11月に書いたあとがきも掲載されています。一読の価値がある作品群でした。以下、覚え書きです。12222
西郷札 「週刊朝日」春季増刊号 昭和26年3月
明治の西南戦争の時、西郷軍が印刷したお金、西郷札ですが、これを政府が買い取るという噂が持ち上がりました。。。
くるま宿 「富士」 昭和26年12月号
明治初期、40代の男が車引きをしたいと車屋に来ました。彼はどうやら元武士でしたが、いつもニコニコしていました。。。
或る「小倉日記」伝 昭和27年「三田文学」9月号 第28回芥川賞
小倉に住む耕作は、体が不自由でいつも口を開けていて、おまけにうまく喋れず皆から馬鹿にされていましたが、頭はよかったです。彼は昭和15年の頃、森鴎外の小説に感銘を受けました。そして、森鴎外は小倉に、明治32年から3年間、いたということですが、その頃の日記は紛失してありませんでした。耕作は残された資料をもとに森鴎外にゆかりのある人を訪ね歩くのでした。。。
火の記憶 「小説公園」昭和28年10月号
康生の父33歳で行方不明となり母は37歳で亡くなりました。父の失踪は彼が四つの時、母の死は11の時、母の死後から20年ほど経ちます。そんな時に知らない男の死亡通知が届きます。。。
啾々吟 「オール讀物」昭和28年3月号
幕末のころ身分の低い家に生まれた嘉門でしたが、なかなか頭が良く、初めは気に入られるのですが、そのうちなぜか、疎まれるようになります。そんな嘉門と誕生日が同じで同郷の男が、明治初期に、再び再開します。。。
戦国権謀 「別冊文藝春秋」昭和28年4月号
徳川家康に仕えた本多正信とその息子の正純の一生を描いた作品。
白梅の香り 「キング」昭和30年7月号
兵馬は参勤交代で江戸に出てきた若侍です。芝居が好きになり、数回芝居小屋に通ったところ、そこの茶屋の夫婦に引き留められました。。。
情死傍観 「小説公園」昭和29年9月号
自殺の名所と言われた噴火口の近くで土産物屋を営む男は、何人も声をかけて自殺を引き止めたことがあります。あるとき、3年前に自殺を引き留めた女性が、また別の男と現れました。。。
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