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MEMSマイク&角型無指向性極小カプセル実装方向(第1編)
2015年記事、1516 :「ファンタム式MEMSマイク、単一指向性」(TWO LEAF‐1)にて筆者が初期のMEMSマイク=Invensense社に買収される前の(Anarog device社マイクデバイス部門の「ADPM-411」)をテスト中、このことに気がついたのが始まりです。(下記)
「1516記事」より
この経験以降、極小口径角型無指向性コンデンサマイクにおいて、音穴を音源方向に向ける例を私は見たことがない。
これには法則性があるようです。
①「長方形カプセル」をパイプ状ハウジングに収納する場合。
② MEMSマイクを①同様に実用マウントする場合。
その条件は実装上の問題かカプセルが角型であることです。
メーカー各社の実例(角型無指向性極小カプセル使用)
DPA-4060 音源に垂直配置(角型ECM) (DPAカタログより)
JTS CX-500 音源に垂直配置(角型ECM) (サウンドハウス ビデオより)
SANKEN COS-11 音源に垂直配置(角型ECM) (SANKEN カタログより)
IK Multimedia ARC-2.5 音源に垂直配置(MEMSマイク・測定用)
(IKマルチメディア カタログより)
O測器 測定用マイク 音源に垂直配置(MEMSマイク・測定用)
(O社カタログより)
そしてもっとも気になるDPA-4060を分解
アブノーマルな技術の採用には代替えできない理由がある。
DPA-4060の分解確認
仕込みマイクの名機として定評のあるDPAのロングセラーマイク。
メーカーより内部写真は公表されているが、この目でどう見えるかどうかが重要。分解方法マニュアルもあるが、これは難物。
手許にある4060はあまりにも極小かつ完成度が高いため「分解」するなどいままでそんな勇気はありませんでした。1本7万円近いマイクだが失敗すればただのゴミ。
分解してこの目で確かめるという今回の課題のためには「犠牲もあり得る」と決意した。
自信はなく、重大な犠牲も覚悟して「為せば成る」と挑んだ。
2度・3度、かなり固着していてビクともしない、ケーブルを痛めそうになりながら何回か繰り返した。
ケーブルにストレスが加わらないよう、一気に「エイッ」と指先に力をこめた。
スクリーンメッシュを含んだフロントグリルが無事外れた。
ホッとした瞬間、金色のカプセルが顔を出しメッシュ越しに見えていた「気になる存在」がその全貌を晒した。(幅4mm、厚さ2.7mm、長さ5mm程度)
カプセル表面には12個の小穴、カプセル裏面には穴はありません。
DPA 4060 (無指向性) f 特、筆者簡易測定(ホワイトノイズ)
(筆者室内で10cmフルレンジからのホワイトノイズによるものですので低域・超高域はきびしいですがおおむねメーカー発表の特性グラフのイメージはなぞられています)
(なにか、使用SPの特性を測定しているように見えるけど・・・気のせい、気のせい)
この状態でトークテストをおこなった際、無指向性微小コンデンサマイクの御利益とはいえ360度どこを向けても表情一つかわらない完成度には感動、さすがDPAという印象です。
ホワイトノイズテストを行うと干渉によるディップが多少みられるがトータルの音質はよく調整され、作りこまれた絶品であることはいうまでもありません。
この話はSANKEN COS-11開発時、同様の技術的なハードル突破のストーリーをNHK技研による論文を「放送技術」誌で読んだたことがある。
当然起こる干渉によるディップ(ピーク)を乗り越えた音作りの難しさが共通した課題、そんなチューニング技術は半端ではなかったでしょう。
1991年の発売から30年経過した昨年(2021年)、2020年度「アカデミー科学工学賞」を受賞した現役ロングセラー名マイクである。
SANKEN COS-11内部構造 (SANKEN 公開資料より)
MEMSマイクの場合も形状の制約の中で最大パフォーマンスの名マイクとなる事であり、決して単純に「MEMSマイクのTOP、音穴、どちらを音源に向けるべきか」という単純な問題ではありません。
ここから先
まずに意識すべき試金石がこの定番マイク AKG C-451E(B)です。
AKG C-451E(B) 同一環境の簡易測定(単一指向性、15mmダイアフラム)
これまでの「MEMSマイク実用化プロジェクト」の成果はこれらを相手にどこまで超えられるか、それと同時にカプセル(MEMS含)の実装方向ワザを極めたい。
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おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ、L-730memsおよびFetⅡmemsおよびそのLzタイプなど、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作を承っておりますのでお問い合わせください
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