2115 :世界最小 2.0mm径 ラベリアマイク「Micro Leaf One」の誕生 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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小さいにもほどがある 

ラベリアマイク 「Micro Leaf One」の誕生 

 

 

 

 

蚊のこぼす

涙の海の 浮島の

真砂拾いて 千々に砕かん

 

曽呂利新左エ門が独特の宇宙観で小さいものを詠んだものです。

 

それに比べたらどうってことない世界ではありますが・・・

ShinのMEMSマイクプロジェクトはついに禁断の地まで来てしまった。

 

 長らくSANKEN COS-11の4mm、最近では某ヨーロッパ製が3.4mm、USA製世界一小さなマイクが2.5mmでした。

したがってこの爪楊枝と同径の2.0mmサイズ文字通り「世界最小口径のマイクロホン」となります。

よってMicro Leaf Oneと命名しました。

極小マイクシステムMicro Leaf One

 

 

 

 

ここまで来ると自作マイクといってもあらゆることが普通じゃありません。

プリAMP部は 「記事2026」Fet-V2の回路を改良し、さらに基板サイズも縮小してSwitchcraftのXLRコネクタ内に無理なく組み込みました。

このXLR-AMPも長さ50mmと同類のなかでは最小です。

 

 

(マイクヘッド材料) 調達先をリンクしました。

MEMSマイク :CMM-2718AB-3816-TR

外筐           :2.0mm径真ちゅうパイプ、t=0.1  別途錫メッキ加工)

ケーブル     :Mogami 3011(外径1.3mm 極細2芯シールド線)

 

* あえて真ちゅうパイプを使用したのは、加工のしやすさにあります。

  クロームメッキ、ニッケルメッキは設備のない素人には危険なため錫メッキを選びました。

 

(製作)

1.MEMSマイク、 CUI社CMM-2718AB-3816-TRへのシールド線付け。

◎プレヒート100℃1分間、電極へのクリームはんだの塗布、コテ先をあてて瞬間的に電極の予備はんだをおこなった。

 

2.所定の加工および自家製錫メッキしたハウジングを用意した。

 

30分でできるこの自家製錫メッキについてはあらためてご紹介します。

 

 

 

3.加工したハウジングとケーブルを一体化し、Memsに半田付けする。

MEMSマイクのプレヒート~半田付けまで、一貫して両面テープに張り付けて作業するのが好ましい。

 

 

赤リード線が不揃いですが、たぐってまっすぐにすればいい。

一度済んだ半田付けはゴチャゴチャ直しているとMEMSデバイスは特性劣化破壊に至る、こんな手作業は元々前提とされていませんので。

 

 

 

(組込み筐体構造)

 

図でおわかりになる通りマイクの長さは簡単に短くできますが「実用マイク」として一定の長さは必要、パイプ長はあえて14mm確保しました。

 

 

 

 

 

(プリAMP=XLR-AMP)

定評のある「ファンタム式パナ改」の回路でVdd電圧を下げて使用。

絶対にツェナーダイオード(雑音発生器)は使わない、ブリーダ抵抗による非安定が条件。

「記事2026」Fet-V2の改良縮小サイズ版です。

 

 

 

(究極のXLR-AMP部 内部構造)

基板サイズだけでなくマウント法もクレイジーです。

 

 

 じつは当初、入力側の10kΩナシで問題なく動作させていました。

問題なく動作しますが、ファンタム電圧48V ONのままマイクプリのXLRからコネクタの抜き差しをおこなった瞬間「プッツン」と音が消えた、そうです電圧衝撃によるMEMSデバイスの破壊です。

(「そんなことするからだよ」というのは通じません、回路に誤りがあるからです)

 

 10kΩ(負荷抵抗)ナシの場合XLRコネクタを差した瞬間、MEMSマイクのOUT~GND間に40V程度の電圧が加わるのを確認した。

やはり10kΩを追加し、ありがちな誤った扱いでもMEMSの破壊を防止するようにした。

ECMでは問題なくても、MEMSではこのように電圧衝撃・過電圧にきわめて弱い実例です。

 

 テスト音源  こちらで聴けます(ダウンロードなしで再生できます)

ダウンロード・キーやパスワードはありません。

(8月4日まで、その後もメンテして行く予定です)

 

 

 

 

 

 

(参考)

 

 

(まとめ)

今回2.0mmサイズのマイクの実現が見えたのはCUIのCMM-2718ABというMemsマイクとの出会いがあったからです。

 幅と厚さがキモとなり、1.85x0.95という値を見て2mmマイクは射程距離となった。しかし電気的特性、これも案外イケルじゃないか。

SN比:65dB、AOP::130dB、周波数特性もグラフ上では期待できる。

まずは現物を手にすることだ、とすぐMOUSERに注文した。

4日後USAからUPSで届いた。

 

 音を聴いてまず感じたのはSN比と低域である、これは使い道によって65dBは65dBなりに何とかなる。

それよりも音質だが、サイズからは考えられない低域の伸びを感ずる、ちょうど試験中、外の道路でエンジンのアイドリング音が30Hz付近のうなりを伴ってヘッドホンから聴こえてきた、ICS-40730のときと同じだ。

トータルの音質はInvensenseのICS-40730には及ばないがこれはこれでイイ。

 

2mm径(t=0.1)の真ちゅうパイプを取り寄せ、「2114:ニードルマイク」に使ったが、そのノウハウを大いに役立てた。

 

2mmパイプの中にMEMSの長手方向から押し込むのはあきらめ、「ニードルマイク同様にパイプ先端を半月状に加工してそこに埋め込む方法とした。

 

あくまで世界最小のラベリア(ピン)マイクを目指しているためこのニードルマイクのノウハウを使ってケーブル付のマイクロホンへと実力行使をはかりました。

 かくして実現した世界初、2.0mm径の最極小マイクはどんな意味を持つのか、きっとなにかのトリガーとなるはず。

それが私の目的です。


 

以上

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

 

おしらせ

fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb  など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)

FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

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