1610 :腹に「ズシリ」と来る音がMEMSマイクで実現したが | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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ひさしぶりにMEMS (メムス)マイクです。

 

「ズシリ」と来る音がMEMSマイクで実現、しかし・・・


この小さなマイクのどこにそんな能力が・・・・・

 

きっとMEMSマイクの方だって「携帯マイク」「機器内臓マイク」から出世したいと思いますよ。

 

1516 :「ファンタム式MEMSマイク、単一指向性」(TWO LEAF‐1) から8か月。

業界は凄まじい勢いで進化しています。

 

今回はInvenSense社のMEMSマイクを2種類とりあげました。



INMP-411ICS-40720の2つのMEMSマイクです。

大きさは米粒との比較どうぞ。

写真上が「INMP411」、下のリードを付けた方が「ICS-40720」です。

いずれも同じサイズ。

 

特徴

ICS-40720はバランスOUTの最新製品、INMP-411はアンバランスOUTの旧製品です。

米InvenSense社は2012年Analog Device社を吸収した会社、そして今回のINMP-411はスペック上ADPM-411と同一なのが気になります、同一である可能性を捨てきれない。

 

金属ケースに高級マイクをデザインするなど、ヤル気満々です。


 

INMP411:http://store.invensense.com/datasheets/invensense/INMP411.pdf

ICS-40720:http://store.invensense.com/datasheets/invensense/ICS-40720_ProductSpec_V1.2.pdf

 

 

「音は録れても音楽はとれない!」・・・(物理的マイク)からの脱皮

 

1.再び「指向性」

 

2.バランス出力MEMSマイク

3.MEMSマイク独特の音からの脱皮

 

今回の課題は上記3つですが特にMEMS独特の「低域の薄い超高域端の極端に上がったスカスカ音」、この脱皮に集中しました。

 


(MEMSマイクの周波数特性)

だってコレ、誰が見てもこのままなら異常ですよね。(INMP-411)


 

一方、バランスOUTのICS-40720のほうはどうしても低域レスポンスが薄く、期待をかなりはずしてくれた。

(後年追記)

 (2020年2月17日)この原因は半田付けに原因があったことが判明した。

https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12574034452.html

ICS-40720の低域特性は-3dBで75HZ、IEC的には20~20KHZのMemsであり低域も豊かであることを後年確認した。

 

 

(回路図)

 

 

(TWO-LEAF2)

 

Shin発案のTWO-LEAF形状はちょうど耳たぶ程度の弱い指向性を持ちます。

 

これを「ナチュラル指向性」 と呼ぶとしましょう。

 

このスタイルはMEMSマイクの最終形状の一つとして、かなり有望であることもこの1年で分かってきました。

 

(回路図)

 

さあ、これでどうだ。

 

超高域のいやなピークもすっかり消え、音質的には「ファンタム式パナ改マイク」にかなり近づいた。

 

重心が低域方向にズズッとシフトし、超高域のピークも消え安定した音質にはなった・・・が

 

 

 

【考察】

 

(この道はいつか来た道)

かつて物理特性一辺倒だった国産音響製品、まず海外で嘲笑されたのが日本製SPだった。

 

 マイクロホンも同様に無響室のB&K測定結果に許容偏差スケールを押し当てた「品質管理」、それを「BTS ○級」「JIS ○級」と長年にわたって続け、「海外に追いつけ追い越せ」と走り続けた。

 

この設計思想の違いは事実、音楽文化の西欧化に伴いかえって足かせになり海外製品に大きく水を開けられた苦い経験を持ち「BTS規格」も多くの功績を残しながらも、もはや実情に合わないとして1991年廃止された。

 

(参考書籍のページ)

上:マイクロホンハンドブック第2版(日本放送協会編 1973年)

下:実用マイクロホンハンドブック(CQ出版社 1967年)

 

いまのMEMSマイク開発・製造は、かつての日本製音響製品と良く似た「物理特性・生産効率第一主義」によって成り立っているのが気がかりです。

 

 

その中でも「バランスOUT」など一定の考察は見られるのだが。

しかし、MEMSマイクのメーカーさん、「音を聴け、追及しろ」「音を」「音楽を聴け」、物理特性はそのあとついてくる。・・・そんなユルさと人の五感に訴えない限り「携帯マイク」の範疇は絶対に超えられない。

 

結論的に、最新のMEMSマイクの進歩は素晴らしいもののメーカースペックからは読み取れない未完成な「音」・・・・「単体マイクロホン」として採用するにはマダマダ。

しかしそれは時間の問題、とにもかくにも「MEMSマイク」は業務用途のマイクロホンを意識したスタート点に立った。

 

                 以上

 

 

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(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)

 

モノ作り日本もっと元気出せ   

 

 

 

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