1146 :大口径?コンデンサマイク C-1 に「活!」(後編) | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

            先週の記事から

 

【方式】  エレクトレットコンデンサ型 です

 

回路を追ったら「成極電圧の供給ルートがない」つまりFET外付け型のECMカプセルを使ったマイクだとわかった

 

最近ではECM と「ピュアコンデンサ型」とをあまり区別しなくなりましたが、

やはり諸元にはECMであることを明記すべきでしょう。

 

 

【口径】16φ、(おおむね1インチ=25φ以上を大口径と呼ぶ)。

16φのユニットなら十分過ぎるパフォーマンスを得られるはずだが。

メーカーとして16φに愛情も誇りも持てずに事もあろうか「ハンディキャップ」を感じ、「恥ずかしさ」 すら持っているようでは単なる安物メーカーだ。

 

2011.12月 このマイクの「大口径」という誇大表示が成田の商品サイトから消えた、しかし

紹介ムービーでは残っている、「ラージダイヤフラム」とハッキリ。 (2011.12.18 Shin追記)

 

日本向けにはこの通りhttp://www.behringer.com/EN/downloads/pdf/C-1_P0226_M_JA.pdf

英文ではこの通りラージ・ダイヤフラムと書かれたままだ。http://www.behringer.com/EN/Products/C-1.aspx

 

ベリンガーというメーカーはノイマンと同じドイツの名門メーカーのはず、いつからこういうダマシをやるようになったのだろう、性能の良い・悪いでも値段が安い・高いの問題でもない、メーカーの姿勢を問う。

ちなみにUSB-OUTのC-1uは大口径だとのこと、どういう事だ・・・・

http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=181%5EC1U   

 (2011.12.19追記)

 

 

分解して内部拝見。
ShinさんのPA工作室             ShinさんのPA工作室
 正面                        背面

 

 

「大口径」に見せようとECMカプセルに穴あきバッフルを付けて音響特性を変えることと併せて大きく見せているダマシだとわかった、まるでエリマキ・トカゲのような「なんちゃって大口径」

 

 

指を指す 「偽装大口径」とは何たることだ  ムンクの叫び

 

  

これを「大口径」に見せるための仕掛けが・・・さらにあった
ShinさんのPA工作室          ShinさんのPA工作室

 

ウィンドガード部には例の 黒スポンジが詰まっていて外からマイクカプセルが見えない構造になっていた、ウインドガードからスケスケでいいじゃないか、こんな異物は即外して捨て。

 

 

!! 真剣ささえあれば16φは25φ(1インチ)と肩を並べるパフォーマンスを示す、ウソではない。

 

 

【タッチノイズ】

インシュレータは材質が硬く効果を果たしていない。

ボディを軽く叩くだけで「ボン・ボン」と云う、この周波数は140HZ

ShinさんのPA工作室
(上波形は何とこのマイクを軽く叩いた波形、これじゃ140HZの「発振器」だ。

 

こんなインシュレータ、ないほうがマシなので取り外し、100均の腰ベルトのゴムチューブを使って丸々交換した。


ShinさんのPA工作室 ゴムチューブに置き換えたインシュレータ

 

新インシュレータのゴムチューブ(※1)はフランジ面から10mm程出しマイクカプセルを挿した。

タッチノイズは30HZに下がった。
ShinさんのPA工作室
インシュレータのダメさ加減もわかったがまだ解決したわけではない、ここからが勝負だ。


Shinさんひらめいた・・・・・ぴか

ゴムチューブを「フラフラ」にしてやることだ 

 

AKG のC-419ではゴムの「ジャバラ・チューブ」で非常にうまく処理してあったのでそれに学んだ。

ゴムチューブに切れ込みを幾つか入れれば、もはや「ゴムチューブ」ではないが、頭重なので程度問題となります。

 

カッター・はさみ・ニッパーで下図のように加工する、やりすぎるとECMカプセル部がフラフラになってかえって異音ノイズを出すので適度に。

  (下図・合成写真)
          
ShinさんのPA工作室

そしてたどり着いたのは「可聴限界の20HZ」+衝撃ノイズ、これで手を打つことにした。(衝撃ノイズには基板の鳴きも結構大きい)

ShinさんのPA工作室

あのボン・ボン140HZの大きな異音の出るエリマキ・トカゲマイクも、もはやこれまで。

 

かくして改造された「C-1」はS/Nの悪さを除き結構使えそうなマイクに変貌を遂げた。

 

お試しになると俄然良くなったのが実感できるでしょう。

(元があまりにもひどいので・・・)

 

ちなみに改造費用は100円也

 

それにしてもSN比の悪さと位相ズレのような音はいかんともしがたい。

 

【小ワザ】
ShinさんのPA工作室
ボトムを開けるのに特殊工具はいらない、ハサミの先でユルめるだけ、あとは手で回る。

 

※1 使用したゴムチューブはこれです
ShinさんのPA工作室 100円也

 

今回はこれを以ってチューニング完了とします。

 

ちょっと手をかけた激安マイク、どうぞ大口径マイクと比較してみてください、

ダメかもしれないけど。

 

【別の機会にやってみたい事】・・・読者の皆様もやってみてください

①バッフル外す(位相・指向性への影響)

②LEDを外す(ツェナー雑音によるSN比の改善)

③AMP基板の回路図起こし(全体像の把握)

④ファンタム式パナ改のAMPと入れ替えを試みる(回路のグレードアップと基板衝撃雑音の回避)


それにしても・・・・・

一昔前はマイク性能と値段はあきらかに比例していた、しかし今はそこかしこに玉石混交でお宝がタダ同然で転がっているかもしれない面白い時代だ,。

 

 

 

 

  続きの完結編にどうぞ

 

 

《追記》 2012.4.18

ゴムチュームに切れ込みを入れた結果、振動を加えると「カクカク」と異音を出す場合がある、この場合ゴム系ボンドを手指に薄く付けてゴムチューブを擦るようにして

切れ込みをわずかにしてやるといい具合になります。


 

(おしらせ)

fetⅡ、fetⅡi、measurement-fetⅡほか、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください Shin
 

 

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