※ この記事は2010年のものです。公開から12年以上経過している点にご留意ください。
2024年1月追記
ビッグバンドJAZZの野外ライブ、暑い夏をさらに熱くする必殺アイテムだ。
今年の夏イベント、量も減った中で毎年声がかかるのは有り難い。しかし・・・
PAのセット時間などご法度、搬入から30分以内に本番開始せよという劣悪な絶対条件。それができなければココの仕事はない。
さりとてYAMAHA STAGEPASでどうにかなる空間ではない。
(ShinさんはバンドメンバーとしてPAを担当している)
Shinの「ビッグバンドPAとの向き合い方」はこちらにありますのでご参考ください
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10625484319.html
またビッグバンド大規模PAの実際についてはこちらをご参考ください
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11926795262.html
ココだけは、毎年不本意なPAしか出来ずに困り果てていたが・・・・・
かつて生音だけでやったりしていたが吹き抜け青空ステージなのでお客様も不満が多かった。
数年前、VoだけPAしようかという意見あったが適切でない。
PA(SR)をなんとか工夫せねば、と悪戦苦闘してきた野外現場の1つだ。
そんな事はよそに楽曲だけががどんどんPA有りき内容に変化しているので、セッティング時間のことでは、もつれながら数年推移した。
それでもノーマルなビッグバンドのPAセッティングは出来ず、悶々と数本のマイクでなんとかならないか、冗談のような事を本気で数年間実験していた。
したがって、この現場から学んだ事も多く自分のPA手法のノウハウとなっている。
従来の青空ステージから、昨年よりこの仮設テントのステージが準備されるようになった。
効果は絶大でコンパクトにまとまる限りモニターなしでも演奏に支障はない。
しかし時間だけは相変わらずナイ
ぼやいてはいられない、やるしかないのだ。(これは1週間前の現場だ)
今年は「搬入~本番演奏まで執念の24分」、もうギネスモノじゃん?
もちろん「リハ」などない、PAテストの「ワン・ツー」など有り得ない。
マイク頭の「ゴソゴソ」だけで本番!。
1曲目のラテンナンバー、フォルテのトゥッティで「カットイン」、決まった!
Peavyの小型ミキサーだけで、使用マイクは5本。
パワーAMP GPS-1500
フロントSP BOSE 802Ⅱ 1対向 (素人さんを黙らせる神通力はいまだ健在)
モニターSP ナシ
ホーンセクション・・・
ECM-23F 3本でTP・TB・SAXとの微妙なバランスを位置・高 さ・角度だけでフォローしようというもの(ややブロードなこのマイクの指向性とオフ特性を徹底的に利用する。代替機は見つからない名マイクだ)
前立ちソロ ・・・SM-58
Vo (MC兼) ・・・BATA-58
リズムセクション・・・
ドラムは生で、ギター(自前AMPのみ) Line6ベース(自前AMPのみ) PeavyUSA 及び SWR、ピアノ(自前AMPのみ)、 PJB BRIEFCASE(本来ベースアンプだがエレピにはピッタリだ)
※お客様の中には機材をしっかり見ている方も居る(ベリンガーやクラシックプロはない)
【このテクニックのキモ】 ただカタチだけ真似ても必ず失敗しますぞ
①ホーンセクションのこのようなオフ収音にはSM-58・57のような「接話型」ダイナミックマイクは全く向かないので念のため。
距離に対して音痩せせず、ハウリングに強いワイドレンジなマイクの使用がまずアリキ、(案外ないよ)
②NT-1AやC-450 をこの現場に使ってみた事はあるが、「うるささ感」だけがひどく使い物ならない。
特にNT-1Aは巷の高評価とは大きく異なり中低域に強い固有共振(マイクを活かしてマイクグリルを軽く指で叩くとすぐわかる、ガッカリしますよ)が見られすべての音にそれが付いて回る、PA用ではないがおよそマイクとしての表現意思が見られない「なんちゃってノイマン」以上の何者でもないでしょうコレは。
経験的にレコーディング用大口径コンデンサ型は遠慮したい。
③ECM-23Fを使う理由は上記に加え、電池式であり湿度の高い環境でもノイズトラブルを起こしたことがない。(後継の23FⅡも持ち歩くが旧型の方が断然いい)
④強く視角に入るので大きさ・形が大切(大きなマイク、奇異なマイクは避けたい)
⑤高さを稼いでいるのはSAX群を含めながらTP TBとのバランスの中で音をまとめる為の必要処置だ。
(SAXの場ソロは立ちで対応、フルートヘの持ち替えはそれなりだ)
今回3本使用だが2本~4本でこれまでに試してきたが「3本」というのが絶妙にイイ。
⑥前立ちソロはホーンセクションから離さない、フェーダーレベルはセンスだ。
⑦Voは前立ちソロと変わらずセンスで対応、MCも兼ねる。
「出来ない・出来ない」となら誰でも云える、元々PAなんかナシで成り立っていたビッグバンドだ。
Shinさんの理想はPA(SR)と決別することだ、しかし近年益々PAありきの楽曲・譜面がガンガン入り、ひと昔前のノドカな演奏では客の方が飽きて帰ってしまう、譜面選びは生命線なのだ。
それでもしかしPAのセット時間だけはナイ、さりとてノンPAではクレームが付くこの現場。
ならば、数本のマイクでサウンドを仕上げてやれ・・・という無謀なチャレンジ。
「邪道」だと云うならば甘んじて受ける。
どんな方法を使おうとも自分とコンマスと主催者が納得できる演奏とサウンドで、お客さまをその場に釘付けに出来たら間違いなく成功じゃないか。
やれ「ミュートのラッパが聴こえない」「フルートの持ち替えが・・・」「場立ちソロが小さい」 なーにその気になれば聴こえているし誰ひとり席を立たないよ、いいじゃん。
LANケーブル使用の4chマルチ (北東北音響技術カンファレンス で話題になったグッズです)
写真はそのShinさんブースより
(足元散らかっているけど許して)LANケーブルのつながったジャンクションBOX
このLANシステムは「アナログ」信号4chの「マルチケーブル」なのだ。
これは6月22・23の北東北音響技術カンファレンス にて皆様に紹介しました。
こうして使う限り何の違和感もなく役割を果たしてくれる。
ちなみに15mのCat-5e STPケーブルとジャンクションBOXとの重量は950g
一昨年発表したものだが、このシステムにも泣き所がある。
それは「ファンタム供給」した場合、LANコネクタに触れただけで「バリッ」とノイズが出ることで、これはGND電極同士の接触が緩いことにある、ダイナミックマイクなら何もおきない。
これは現在長距離実験とあわせてコネクタ部の強化を計画していますので次回発表を楽しみにお待ちください。
すべてにおいて非常識でお馬鹿な挑戦だが、同じようなことでマジメに悩んでいる方へ少しでも応援になれば、と思いました。
セオリーだけが正解とは限らない、思い切り体当たりしてみれば結果は出る。
ぜひ読者の皆様からご意見を賜れば幸いです。
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