1116 :ファンタム式パナ改バウンダリーマイクBLM-fet3 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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※ この記事は公開から12年以上経過していることにご留意ください。

2024年1月追記

 

 

”バウンダリーマイク” については、これまで BLM-fet1 、2 、Dual、XYステレオ フリーバウンダリー型 と発表してまいりました。

 

この方式の次元を超えたPA音に触れ、PA(SR)用マイクロホンの理想形についてあらためて考える事の多い今日この頃です。

 

今回のマイク筐体は先週ご紹介した「1115 :電設資材を使ってカッコ良いケースが出来る・・・だと?」 のケースを使ったものです。        

 

今回はおなじみの無指向性WM-61A(改)カプセルを用いたBLMの作製に挑みました、最も作りやすくノウハウは全部公開しておりますので皆様の手作りのご参考になれば幸いです。

※ただし記事内容の商業的窃用は固くお断りいたします。

 

 

プレッシャーゾーン型バウンダリーのデザイン・機能を指向しましたがこのケースが先かマイクが先かで、今回はこのケースを活かす方式にし、プレッシャーゾーン型は機会をあらためてデザインします。

 

BLM-fet3 は半球形指向性を持ち、音質では折り紙付きであるファンタム式パナ改マイクfet シリーズの良さをそのままにバウンダリー化した製作例です。
 


ShinさんのPA工作室
BLM-fet3 外観

 

 

≪ファンタム式パナ改 BLM-fet3 各スペック≫

形式           : バウンダリー型コンデンサマイクロホン(ECM)

使用ユニット       : パナソニックWM-61A (ソースフォロワ改造)

指向性          : 半球形指向性

最大音圧         : 130dB/SPL(1% THD時 )

適合ファンタム電圧  : 9~50V DC

出力コネクタ      : ミニXLRオス

サイズ           : 118mm×68mm×23mm

重量             : 155g (本体のみ)

ケーブル         : ミニXLRメス~XLRオス 3.0m(モガミ3031) 3m

 

(ご注意)非業務用USBオーディオI/F、格安卓など低品質のファンタム環境での動作は保障できません。


ShinさんのPA工作室
ミニXLR部及び裏側の様子

 

 


ShinさんのPA工作室          ShinさんのPA工作室

  内部の様子                基板部

  シールド線は一切使いません



ShinさんのPA工作室                    

 

使用ケーブルはモガミ3031(3m)

コネクタはミニXLRメスとAMPHENOLのXLRオス

 



ShinさんのPA工作室         ShinさんのPA工作室

100円ショップのステレオイヤホン        加工して中筒のみ使う




 

【使用筐体(ケース)】

先週「電設資材を使用した金属ケース」 をご紹介いたしました、あのケースは実はこのマイクを作るために考え出したものなのですが、ケースの方を先に発表させていただきました。


 

【使用感】

バウンダリーマイクはPA用途主体ですが、無指向性ECM使用の弱点がやや出にくいのが良いところです。

 

音色は生音が極ごく自然にPAアシストされているのがわかります、超低域まで延びていますのでローカットしてやるとセリフや子音が綺麗に浮かび上がってきます。

 

定番のAMCRON PCC-160 と比較した場合音源との距離はやや縮まるのは方式上の宿命ですがグッとワイドレンジで自然なキャラクタを持ちます。

PA用途に限らずきっと広い使い道があるはずです。


ShinさんのPA工作室

   全体



 

【回路図】
ShinさんのPA工作室

【ファンタム式パナ改マイク製作の入門用として

今回のBLMは私の「ファンタム式パナ改マイク」のなかで最も大きく、基板の超小型化に神経を使うこともなく製作は最も楽です。

この基板を小さく作ったのがfetⅡやmeasurement fet1・2 などです。またフリー・バウンダリー対応型XYステレオマイク のAMP部もほぼこの回路、そして激小化したものです。

 

回路部品は抵抗・コンデンサはもちろん1つ1つ、それを使う意味があり、安易に代替出来る部品はないと認識してください。

 

【このマイク製作のポイント】

 

①ファンタム式パナ改マイク製作の最大ポイントと言えば回路素子は一切代替を行わず「図面通り作る」ことです。

手元のパーツで試作に挑んだものの、手持ちのカーボン抵抗で間に合わせたり、特にFETの代替原因でうまくいかず、その後製作意欲も消滅しておられるケース等まことに残念です。  

 

高gm品種やローノイズ品種、それ以上に高耐圧(Vgdsが50V以上であること)の方が先決、また所有されている汎用FETを適当に使った場合、Vgdsの高い2SK30以外では多くの場合「ウンともスンとも云わない」結果となります。

ファンタムの+48Vで動作させる事は+5Vの電子工作とはまったく違います。

 

「音質」・「ノイズ」・「Gmが」と言われる前に、まず音を出してください、それが先決ですのでいきなり組まずブレッドボードなどでバラック実験されることをお奨めします。

ファンタム式パナ改マイク製作には一定のスキルが求められます。

    

②グラウンディング処理は重要ポイントです、余計なことをしても、何にもしなくてもうまくいきません。      

 

③安易にプラスチック材料に置き換えるとあとで誘導ノイズで収拾がつかなくなります(Shinのマイクでは回路と筐体構造含めたトータルのノイズ設計をしてあります)

 

④ミニXLRコネクタはずいぶん普及してきましたが、ピン接続が一般のXLRコネクタとは異なりますので意識してください。

 

⑤使用ケーブルはマイクロホニック雑音の評価も試されつくした品種(モガミ3031です)

安易にパーツショップで求めた細いシールド線ではケーブルに触れただけで「ピチピチ・パツパツ」と使い物にならないかも知れません。

 

⑥時々、基板手作りなどのご経験ない方が挑戦されることがありますが、その場合は材料費を捨てる覚悟、ダメモトですが成功するのは非常に困難であることを申し上げておきます。

 

※以上最終的には個人責任でお願い致します。


(まとめ)

1.このBLM-fet3 は「半球形指向性型バウンダリーマイク」ですが、非常にワイドレンジですので、必要によりローカットしてください。 


 

2.床置き以外、単体では「ワイド・カーディオイド」のマイクとしても使用できます。

 

3.その他使用目的はこれから考えてもいい・・・・

  まずこんなマイクがある事の方が先だと思います。





 

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【おことわり】

★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
 

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

 

★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
 

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、Shinさん独特のこだわりと非常識を以て音響の世界を刺激してまいります。

                             管理人(Shin)                             
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                  ☆このマイクロホンはご希望によりお作りいたします。