※ この記事は2010年のものです。公開から13年以上経過している点にご留意ください。
2024年1月追記
ふとしたきっかけで開発を始めた「ファンタム式パナ改マイクロホン」です。
従来の「パナ改」マイクロホンをベースにファンタム電源動作と同時に平衡出力AMPを搭載して業務用アレンジしたのが始まりです。
一般パナ改マイクのこだわりと超小型ファンタム式平衡出力AMPを合体させ、非常に小さなマイクシステムでありながらおもいきり高音質を指向した「スモール・ダイヤフラム無指向性コンデンサマイク」として仕上げました。
またこれは一般パナ改マイクを強制的にXLR接続するようなモノとは異なります。
バイポーラTR-AMP式では超小型ケミコンを使いましたが、FET化により結合容量を1/10以下にでき、高品質のMFコンデンサの使用が可能となった結果、パナ改マイクならではの高音質を実現いたしました。
記事掲載も回数を重ねるうちに経緯が見えなくなりつつありますので、少し前を振り返り、この進化の過程を過去の記事も参照しながらご覧いただく事に致しました。
進化の過程で大変幸せなのは、多くの方に関わって頂いて来たことです。
それはこのシステムの育ての親として田沢湖方面のN様をはじめ、U様、O様、N様、2月9・10日お世話になった皆様、小平のYさま、劇団のFさま、そしてこの間に貴重なご意見を賜り、叱咤激励くださった多くの皆様との共同作品となっている非常にめずらしい製作例となりました。
この小さなマイクロホンに、皆様の想いを詰め込んでここまで育ちました。
この間にお世話になったすべての方がたに心からのお礼を申し上げます。
≪現行機 4機種をあらためてご紹介します≫
(ご注意)非業務用のマイクアンプやオーディオI/F、格安卓など低品質のファンタム環境での動作は保障できません。
fetⅡ 回路図は こちら (WS装着 クローズアップ)
別にデジタルOUTではありません
Measurement fetⅠ 回路図は こちら
(このマイクはご依頼による製作を終了いたしました。)
Measurement fetⅡ 回路図は こちら
ファンタム式 サテライト・プリAMP も現行機です
(ファンタム電源で動作する高品質バランスIN ・バランスOUTのプリAMPです。 ゲイン:12dB)
【進化の大きな転換点】
① 2009.11.04 従来の「パナ改マイク」(パナソニックのECMカプセルWM-60や61Aをソースフォロワ動作させることを提唱したLinkwitz氏の改造)から電池箱を取り去り、ファンタム電源により同一動作させるシステムとして試作。
② 2010.01.16 ノイトリックのXLRコネクタにAMP部を収納し、マイク部をセパレートにした「ピンマイク」形状にした。
③ 2010.01.30 ノイトリックのXLRコネクタ内にマイクカプセルまで収納したオールインワン形状の実現。
④ 2010.02.07 AMPのFET化、これによりケミコンを廃し、小容量高品質のMFコンデンサに切り替えた。
これと同時に、出力を「Line-Level」から「マイクレベル」にしてオペレーション上の統一要望にお答えした。
⑤ 2010.02.10 超高級マイクと同時に仕込み、ピアノのSR(PA)を行った。
その結果、A/B比較を含め多くの音響関係者により想像を絶する高評価を頂いた。
⑥ 2010.02.22 内部AMPに回路追加し、ECM電源の単独供給化。(絶対にツエナーを使わない頑固設計)
これにより、AMP・ECMともに理想的な動作を可能とし、130dB/SPL(1% THD)を実現した。
(初期のころはD(ドレイン)、S(ソース)を逆に使っていたようですが「ドレイン・ソース互換作用」により問題なく動作していました。
この基板サイズは出来上がりの大きさや実装の可否につながり、回路動作は性能に直結します。
しかし、大きさに制約をかけることによって、その反動としてかえって質的な向上を伴うものです。
当初は「半信半疑」で作っているのが、この汚れたジャンクのXLRコネクタからもわかりますね、
このシステムの本当の良さは2ケ月先に読者からのご指摘で「ハッ」と気付かされた経緯です。
「大きさ」という制約は強烈なプレッシャーとなり、ありとあらゆる可能性を模索するものです。
チップ部品使用の「執念」がチラ見えたり、その下の満員電車並みの基板もやりました・・・
写真右側はFET化したため、何か余裕が見えまが、性能は当初より格段に向上しています、またFETタイプでも僅かづつの進化が見えると思います。
手作りではありますが、このマイクシステムのたどった進化の道は、今でこそ死語になりかかっている MADE IN JAPAN のモノ作り原点だと思います。
≪ファンタム式パナ改向けのマイクカプセル改造法≫
使用マイクカプセルはパナソニック WM-61A
この3線式改造の最大特徴・・・半田付けの熱でECMカプセルを劣化させる事なく改造できる事、
そしてマイナスアースができること。
こつはD・S電極は最初から乗っている半田だけでリード線(予備半田あり)を短時間(1秒)で半田付けする。
GND側にムリヤリシールド線を付けようとせず、とりあえず一瞬(1秒)でリード線を半田付けして、そこから先をシールド線に短く接続すればよい。
リード線
みなさんの作られた現物を拝見すると、どれもこれも「太い!」。手に入りうる最細の撚り線をここの配線用に取り寄せる価値さえある(Shinはマルツ電波にある最も細い撚り線・・・7芯)です、単線は鳴きが出ますので使用禁止。
半田箇所はエポキシ固定。
リード線はキレイなのでこの色にして撮っただけです、わかりにくい色だったので、フォトショップでちょっといじって色塗っちゃいました S=黄 D=赤 GND=黒 にしてあります。
「一般パナ改」では、このD(ドレイン)~GND間をショートしますが、ファンタム式パナ改ではそれぞれの電極を単独に使用する「三線式接続」となる点が異なります(3線式にすると接続パターンの自由度も増します)
≪この際パナ改の原点にぜひふれてみてください≫
「パナ改」の提唱者Siegfried Linkwitz氏のサイトです、ご紹介しておきます。
http://www.linkwitzlab.com/sys_test.htm#Mic
≪どうも気になるコマッタちゃん≫
大変重要な点が誤認識やゴッチャとなってネット内で表記されているのがチョットしたストレスになっています。
①実は、「ファンタムパワー」 と 「プラグインパワー」が同じもの(同義語)として扱われている説明文や書き込みが非常に多く見られることです。
「どう違うのか理解出来ない」とハッキリ言う方も出現していますので、思わぬ問題を招いても不思議でない状況にあります。
②もう1つは「エレクトリック・コンデンサマイク」という誤認識(誤表記)です。実害はありませんが・・・
これは、書いている当事者も誤りに気付いていない為、商品として売っているところさえあります。
まあ、Shinさんも小さいとき「トウモコロシ」と言って食べていたらしいのですが・・・・
・Shinさんの「ファンタム式パナ改」はプラグインパワーでは動きませんよ、
・「ファンタム式パナ改」はバック・エレクトレット・コンデンサマイクですよ。
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≪ このマイクにご興味ある皆様へ ≫
※今回ご案内したfetⅡ、Measurement fetⅡ及びサテライト・プリAMP はご要望により1本よりお作り致します。
内容をお確かめの上ご連絡ください。
(詳細はメールにてご案内申し上げます)
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【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などはアマチュアの方、音響業界の方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、Shinさん独特のこだわりと非常識を以て音響の世界を刺激してまいります。
管理人(Shin)
皆様からのご質問やご意見などには出来る限りお答えいたします。
メールはこちらから sound_ai@xk9.so-net.ne.jp