1011: ファンタム式パナ改 Measurement fetⅠ | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

Measurement fetⅠとして進化、パワーUPして再登場です。

 

ファンタム式パナ改シリーズも回を重ねるうちにその全貌が見えて来ました。

第4号と同時に発表した「測定用」興味あるアプリケーションでの好結果報告を頂くに至っております。

 

やはり使用目的と大きさの関係は切っても切れないモノ、ただ小さければ良いというものでもありません。

 

この手ごろな大きさゆえ、測定用としてだけでなく20φの無指向性コンデンサマイクロホンとしてホール3点吊をはじめとするさまざまなアプリケーションが現実的になりつつあります。

超近接反射面を使ったプレッシャー・ゾーン・マイクとしての利用法も面白いアプリケーションです。

 

(ご注意)非業務用のマイクアンプやオーディオI/F、格安卓など低品質のファンタム環境での動作は保障できません。

 

Measurement fetⅠ外観】

デザインは前回と変わらないSinさん流のぶっ飛びフォルムです。

これは、ノイトリックのXLRコネクタ(NC3MXX-B)の中にすべてを組み込んでしまいますから、買い置きのコネクタと混ざったら見分けはつきません、外観はコネクタそのものですから。

こういう場合、カラー・ブッシングかカラー・リングを使うのが良いかも知れませんネ。

 

あっ、ちなみにこのマイク(ノイトリックコネクタ形状)のマイクホルダですが、ShureのA57Fがドンピシャです。

ベリンガーのECM8000用も使えます。


ShinさんのいたずらPA工作室      ShinさんのいたずらPA工作室

         外観写真               ケーブル装着(別にデジタルではありません)

これがマイク Measurement fetⅠです。

(外観は前回の「測定用パナ改」と何も変わっていません)

 

使用コネクタですが、旧型のNC3MXBやサードパーティ品の活用も可能です。

 

 

 

【前回からの改善点】

1.ファンタムパナ改fetⅠと同時に評価いただいた講師の先生より先端のマイクカプセルに手を近づけた時、やや誘導雑音があるとのご指摘がありました。

 

今回この誘導雑音対策(EMC対策)を徹底的に行いました。

 

2.AMP回路はfetⅡと同一にし、FET化と同時にECM電源の供給を独立回路とし、AMPの動作点を最適化した結果、130dBまでの爆音に耐えるものに致しました。
 

≪1.誘導雑音対策≫下記2点の対策を行いました

a)マイクカプセルケースを静電的・高周波的な低インピーダンス化を以ってGNDと等電位にする。

 

b)マイク配線、基板部のシールドを、プラスチック製のブッシング内部を導電塗料により擬似金属化し、「接地されたファラデーケージ」に収容する対策(静電シールド)

 

◎これには今回非常に使いやすい導電塗料が手に入りましたので、かゆい所に手の届くシールドが可能となりました。


(導電塗料のご紹介)

使われる導電塗料ですがFreedomCustomGuiterReserch社の「Noise Hell」という製品です。これには「ポリウレタン用」「ラッカー用」の2種類ありますが「ポリウレタン用」を使用してドンピシャです。


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これが「Noise Hell」です、普通の黒ラッカーにしか見えませんが・・・
60ccで1,400円弱という値段、楽器店で購入しましたが、ネット通販でもけっこう扱われていますので入手はとても楽です。

 

これは塗り重ねなければ非常に均一にカーボンコーティングが出来、ネジ部分が分厚くなったりすることもなく、扱いやすい「導電塗料」で気にいりました、本来はギター用のノイズ低減塗料です。

 

導電性能はコネクタ最遠部でも300Ω程度と、静電シールド材としては十分なものです。

ボタ落ちさせないよう、やや薄めにやわらかい絵筆などで丁寧に塗りこみます。

乾燥は非常に速く、30分ほどで実使用に耐えられます。


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上の説明図にもありますが、コネクタの表と裏の折り返し点(※ネジの先端部)までしっかりと塗り、導電塗料によって金属シェルと一体となった静電的な「等電位面」をコネクタ内側全域及びネジ部すべてに広げることがポイントです。

 

(注意!)せっかく手間ヒマ賭けても、金属シエルから見てマイクカプセルに向かって仮想金属の「切れ目」があると、何もしなかった時よりかえって誘導ノイズは増加してしまいます。

 

ファラデー・ケージによる静電シールドはGND部と静電的等電位の導体により対象物が覆われねばなりません。


 したがって、出来上がったものはネジの開け閉めを繰り返すことにより導電塗料の剥がれでシールドが外れ、ノイズ増加を招く原因となりますので、完成後はその点に注意が必要です。

 

≪2.回路的改善≫

回路内容はECM電源供給方法変更とFET-AMPの理想動作などの基本的な改善を行ったfetⅡ と全く同一であり、同一基板を使用しております。

 

また不平衡ケーブルが全くない為、照明(SCR)やインバータとの共存環境では断然有利といえる。

 

 



ShinさんのいたずらPA工作室    ShinさんのいたずらPA工作室
          全回路図                         中身です

 

 

【作製考察】

130dB/SPLの耐音圧は、測定用途には申し分ありません。

また測定用途に限定されず、様々なアプリケーションに十分お答え出来る無指向性コンデンサマイクロホンに仕上がったと思います。

 

サイズはECM-8000の約1/3近くの長さですが、特にSN比の良さと音質は月とスッポン、もはや同一フィールドでは云々出来ません(携帯のカメラとフルサイズ・デジタル一眼の差ほどあります)

 

③前モデルでご指摘を受けた誘導雑音は皆無となりました。

 

④素晴らしい導電塗料とめぐり合えたのは実に幸せです。

 

流体構造の追求はまだ可能性を残しています。

 

ファンタム式パナ改第1号 のフォルムも捨てがたい・・・・

 

⑦WSはAKG-C-451用のW-90などが適合いたします。

 

 

【おまけ】

ベリンガーのECM-8000が結構現場業務に使われていますが、良いマイクカプセルを使っているという情報も有って入手しにしてみたが、SN比の悪さにはガッカリです。

 

実はそのECM8000fetのAMPを仕込んでみました。

結果はNO!です、アンバラ入力2線接続(プラグインパワー同一)式として動作させることが出来ますが、総合的に大きな改善にはなりませんでした。(基板サイズだけは1/5~1/6以下となりますが)

 

◎結局、マイクカプセルがソース接地ドレイン出力である事は、気合を入れたマイク作りには似合わない決定的マイナス要素、この方式の限界をあらためて目の前にさらしてくれました。

 

マイク部さえ外せれば全く別物に出来るんだけど・・・・・

まーそんなことを此処で書いてみてもノミの歯ギシリみたいなモノ、ホンモノを手作りしてしまえ!

Measurement fetⅠならきっと期待にお答えできます。

 

 

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【おことわり】

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                             管理人(Shin)

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