シナ・チベット語族の起源と題する論文がネイチャーに出ているが、前提条件が全く誤っている | 日本の歴史と日本人のルーツ

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NATUREの論文に、漢民族の言語、すなわち中国語と周辺の少数民族の諸言語とチベット語などを一括りにしてシナ・チベット語族として、その起源を遡る研究が発表された。

シナ・チベット語族の分布図(赤はシナ語派、緑はチベット・ビルマ語派、wikiwandより)

漢民族の中国語(シナ語派)とインドシナ半島あたりのモンクメール語族については、北京語はSVOとSOVが混在しているが、その他は元々、英語などと同じSVOの文法である。これに対し、チベット(チベット・ビルマ語派)や中国南部の少数民族の少なくない諸言語が日本語と同じSOVである。

すなわち、全く異なる諸言語を一括りにシナ・チベット語族と扱うのは、元々の出発点から誤っていると断言出来る。

少数民族のチャン族やイ族などは古代の羌族の末裔で日本語をある程度理解出来るとされ、例え現代中国語を話すことが出来ても、彼ら本来の言語は漢民族の中国語とは全く異なっていると考えられる。


議論1

Li Jinたちの研究結果は、シナ・チベット語の辞書に記載された現在の中国に存在する民族の言語に着目したものであり、民族の移動や興亡の歴史を考慮していない。

例えば、古代中国語の話者の子孫が現代中国語の話者であるとも言い切れない。

漢民族の直系の末裔は客家人であろうとされ、客家語の音が漢音に近い。さらに、官話(北京語)は北方系の言語が混ざっているとされている。

また、大陸から日本への渡来人の言語なども考慮しておらず、例えば、古代中国の殷人や秦人の末裔(秦氏)の言語を明らかにしていない。


議論2

『Li Jinたちの研究グループは、シナ・チベット語の辞書に記載された109の単語の根源的意味の統計解析を行い、シナ・チベット語は約5900年前に分岐した可能性が非常に高く、北方起源仮説に合致すると結論付けた』とあるが、109の単語程度で統計解析出来るなんて統計学的に無理である。

彼らの得た結論は恣意的と言わざるを得ない。


議論3

ネイチャーの論文では『シナ・チベット語族の発祥地と時期については、言語学者の間で論争があり、「北方起源仮説」では、約4000~6000年前に中国北部の黄河流域に出現したとされ、「南西起源仮説」では、9000年以上前に東アジアの南西部に出現したとされる』としているが、そもそも、漢民族の中国語はインド・ヨーロッパ語族に近く、約3000年前、インドから中央アジアあたりから東アジアに侵入したと考えられる。


議論4

シナ・チベット語族の多くの共通語彙が漢民族の中国語からチベット・ビルマ語族への借用語であること(wikiより)から、元々は相互に独立した言語であったと考えられる。

漢民族の少数民族、例えばチベット族などへの侵略の歴史は、現在だけではなかったことを示唆される。ネイチャーの論文は、この侵略の歴史を隠す為に意図的に作られたものかも知れない。


議論5

『シナ・チベット語族は、インド・ヨーロッパ語族に次いで2番目に話者数が多く、計約15億人に上り、中国語、ビルマ語、チベット語をはじめとする400種以上の言語と方言を含む』とある。

しかし、インド・ヨーロッパ語族やオーストロネシア語族に比べると、シナ・チベット祖語の再構は十分確立しているとは言えない。その原因は、各言語の違いがきわめて大きいこと、大部分の言語が屈折を行わないこと、言語接触の影響が強いことにある。それに加えて、山奥で話される小規模な言語の多くは調査が困難で、しかも国境の紛争地域にあることが多い(wikiより)。

語族として一括りにすること自体に無理がある。


議論6

漢民族とチベット族など少数民族の言語以外の特徴に関し、①漢民族の幼児には蒙古斑が出現しない、②チベット族は旧人類のデニソワ人の遺伝子を持つ、③漢民族は血液型Bの人が比較的多い、④漢民族は男性遺伝子Y-DNAハプログループOであるのに対し、チベット族はDがほとんど、となっている。

漢民族とチベット族など少数民族をひとまとめに出来る根拠は無く、全く異なる民族が共通の祖語を有するとは考えられない。

今日、チベット族や多くの少数民族が漢民族の中国語を喋ることが出来たり、共通の遺伝子が見つかったりしたとしても、漢民族の侵入の結果と考えられる。


参考

① 【言語学】シナ・チベット語族の起源

Nature(2019年4月25日、参考)



Linguistics: The roots of the Sino-Tibetan language family


世界で2番目に大きな語族であるシナ・チベット語族の起源についての調査結果を報告する論文が、今週発表される。この研究では、古代アジアにおけるヒト集団の移動に関する新知見も得られた。


シナ・チベット語族は、インド・ヨーロッパ語族に次いで2番目に話者数が多く、計約15億人に上り、中国語、ビルマ語、チベット語をはじめとする400種以上の言語と方言を含む。シナ・チベット語族の発祥地と時期については、言語学者の間で論争があり、「北方起源仮説」では、約4000~6000年前に中国北部の黄河流域に出現したとされ、「南西起源仮説」では、9000年以上前に東アジアの南西部に出現したとされる。


今回、Li Jinたちの研究グループは、シナ・チベット語の辞書に記載された109の単語の根源的意味の統計解析を行い、シナ・チベット語は約5900年前に分岐した可能性が非常に高く、北方起源仮説に合致すると結論付けた。シナ・チベット語が2つの言語群に分かれたのは、西方のチベットと南方のミャンマーに移動した集団と、東方と南方に移動して漢民族となった集団に分岐した時だったと考えられている。今回の知見は、言語が農業とともに広がるという学説に合致しており、また、ヒト集団が移動した時期は、独特な建築様式や陶器の様式が南方へ分散したことを示す考古学的証拠と一致している。



② 漢民族の中国語よりも日本語の方がはるかに古く、日本語は漢字の起源にも影響を与えている(参考)。



③ 日本語の起源(参考)、、、かつての日本語は東アジアの全域で喋られていた。



④ 中国語の起源(参考)、、、インド・ヨーロッパ語族に近い一派のようだ。


中国では、英語ですら中国語のパクリと主張する者もおり、中国の周辺の少数民族の言語と中国語は異なった由来を持つと考えるべきである(参考)。


3000年前頃に中国大陸の中原に侵入して来た(参考)。



⑤ 漢字の元となった甲骨文字を発明した殷人が日本語を喋り、平安時代頃まで渡来人として日本列島にやって来た(参考)



⑥ 中国南部の少数民族のイ族などは日本語をある程度理解出来る。