日本語の起源と騎馬民族 | 日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツ

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江上波夫の騎馬民族征服王朝説にヒントを得た東巌夫は、日本語の元となった言語として騎馬民族の喋る古代チュルク語を想定して、末裔の言語としてウイグル語などを研究して、古代チュルク語と日本語に関係があると指摘している。

同様な研究はすでに大野晋が行なって、稲作農民のタミル人の喋るタミル語との関係を指摘している。その他の説も、いろんな言語との関係を想定している。

実は、現在のヤマト民族の主流は騎馬民族の末裔であり、彼らが大陸にいた時に喋っていたのが原日本語であった。もちろん、日本列島内にずっと生活していた縄文人たちも原日本語を喋っていたのであった。すなわち、漢民族が中原に侵入するまで、彼らの原日本語は東アジア全域で通用し、他の民族の言語へも影響し、共通語もしくは祖語が原日本語であったと考えられる。

だから、日本語は現在の東アジアの諸言語と少しずつ関係しておりながら、どの言語にも属さない孤立語とされるのである。


参考

騎馬民族がもたらした日本のことば

東巌夫(参考)

拙著「騎馬民族がもたらした日本のことば《は、Ⅰ.「生活の基本となったことば《、Ⅱ.「日常的な身近なことば《、Ⅲ.「古代テュルク語から日本語への流れの深層《の3部構成としました。

Ⅰ.とⅡ.では日本語化している騎馬民族のことば(古代テュルク語・ウイグル語)について数多くの具体例を挙げて、音韻、音声、文法、用法、語彙、文章などの観点から「騎馬民族のことば《が日本にもたらされていることの検証を行いました。 Ⅰ章で解説したことばは、(1)明るくなるの「あかる《、(2)「黒《「暗い《「暮れる《、(3)「とる《、(4)「かたい《「かためる《、(5)「柔らかい《「和らぐ《「弱る《などです。 Ⅱ章では、(1)「帰る《「返す《、(2)「ひっくりかえる《、「ぐらっと《、(3)「膝をつく《「嘘をつく《、(4)「がやがや《「騒ぐ《「たわける《などを解説しています。

Ⅲ章では、古代テュルク語の解析、日本人と突厥族の源郷の共通性などを述べ、訓読みのルーツを古代テュルク語に求めました。 

騎馬民族によってもたらされた古代テュルク語が数多く残っているのに、日本列島の共通語になれませんでした。その理由は、古代テュルク語は、(1) 象形文字である、(2) 子音に硬・軟の区別がある、(3) 母音を省略する、という特性を有し、東海の小島、倭の国の特性と大きな隔たりがあったたからです。テュルク語として根付くのは困難でしたが、音声だけは受け継がれて行ったと考えられます。 

日本の社会は古くから漢字文化圏に属していましたので、古代テュルク語がもたらされた後は、同じ意味の漢字を用いて表現する「訓読み《として継承されてきたのです。このように長い歴史を通して、文字としての漢字と、音声としての古代テュルク語を併用して、音・訓という素晴らしい方法が創造されました。「取る《・「捕る《を「とる《と読み、「柔《・「和《・「弱《を「やわ・・・《・「よわ・・・《と読み、「空《を「から《出張・「あき《家と読むのは、同じ発音・意味のことばがテュルク語に存在し、漢字文化とテュルク語の融合の結果と考えると納得できます。 

「ちゃら《、「ちゃらんぽらん《、「うとうと《、「うつらうつら《、「ちっぴ ちっぴ《などが古代テュルク語を語源としていることをお話しました。この他にも、「きょろ きょろ《、 「むしゃ くしゃ《、「くすくす《、「うやむや《もテュルク語を語源としています。このような表現がどうして生れたのかを考えた人は殆ど居ないのではないでしょうか。或いは、考えたにしても、これは日本独自の表現として打ち切られていましたが、これもテュルク語由来と分かれば納得できるのではないでしょうか。 

以上、騎馬民族がもたらしたことばが数多く日本でも継承されていることを紹介しましたが、このように考えると日本語の持つ幾つかの不思議が理解できると思いませんか。

日本のことばとテュルクのことばを結びつけたのは、私が初めてのことだと思います。

これまで、日本列島の周辺には、親類語は存在しないものとされてきました。したがって、日本語の起源を印欧語のように比較言語学的に求めることは不可能であるという考え方が固定化されてきたのですが、このような枠を超えた研究が必要であることは明らかです。 


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テュルク語族(wikiより)


② 日本語とタミル語には似ているところがたくさんある、というお話(参考)

国語学者であった故・大野晋さんという方も日本語の原点はタミル語にある、といった研究をされていたようです。

似ているところを具体的にあげてみると、

- 疑問文の作り方が同じ
(日本語は語尾に「か?」をつけるがタミル語は語尾に「アー?」をつける)
- 文法・文章構成の語順が似ている
- 擬音語・擬態語の表現が似ている
- 基本母音(a, i, u, e, o)が同じ(長母音と短母音の違いはあり)
- その他、似ている言葉がたくさんある
(辛いと伝えたい場合、カーラと言えば伝わります。)

中でもいちばん面白いと思ったのは、擬音語・擬態語。

「すらすらと(日本語)」が「サラサランヌ(タミル語)」だったり、
「ひそひそ話をする(日本語)」が「クスクスッカ(タミル語)」だったり、
「ハキハキとした(日本語)」が「スルスルッパーナ(タミル語)」だったり、
「ワクワクして(日本語)」が「パラパラッパー(タミル語)」だったり(笑)、

日本語の原点がタミル語にあるのかどうかの真相は分かりませんが、いろいろな類似点があるだけでちょっと嬉しくなりました。

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タミル語話者の分布(wikiより)


③ タミル語ゆかりの日本語は九州弁に相当?!(参考)


④ 従来の日本語の起源の仮説(wikiより)

これまでにいくつかの系統関係に関する理論仮説は出されてきたものの、総意を得たものは無い。これまでの理論仮説で、類縁関係が強いと主張された言語系統には、以下のものがある。

朝鮮語との関係

文法構造における類似性が高いが、基礎語彙については一部単語の類似性が指摘されているものの偶然の一致の範囲を出るものとは言い難く、また古い時代における借用の可能性もある。音韻の面では、固有語において語頭に流音が立たないこと、一種の母音調和があることなど、アルタイ諸語と共通点がある一方で、閉音節であること、子音連結の存在、有声・無声の区別が無いなどの相違点もある。

高句麗語扶余諸語との系統関係

死語である高句麗語とは、数詞など似る語彙もあるという説。ただし高句麗語の実態はほとんど分かっていない。高句麗語は扶余諸語の一つであることから、扶余諸語との関係との見方もある。


アルタイ語族仮説では、日本語、朝鮮語は共にアルタイ語族の一員とする。朝鮮語との関係と同様に、文法構造での高い類似性、音韻面での部分的類似性がある一方で、基礎語彙については同系統とするに足るだけの類似性は見出されていない。


オーストロネシア系言語は、文法・形態は日本語と異なるが、音韻については発音体系が比較的単純で開音節であるなど日本語と似ており、基礎語彙についても一部類似性が指摘されている。また、日本語をオーストロネシア系言語とアルタイ系言語との混合言語だとする説もある。しかし、近年の研究ではオーストロネシア系言語は古くは閉音節だったとされ、また語彙の類似性についても偶然の一致の範囲を出るものとは言い難い。

ドラヴィダ語族との関係

インドのドラヴィダ語族、とりわけその1つであるタミル語との関連を提唱する説。

アイヌ語との系統関係

アイヌ語は語順(SOV語順)において日本語と似るものの、文法・形態は類型論的に異なる抱合語に属し、音韻構造も有声・無声の区別はなく閉音節が多い、などの相違がある。基礎語彙の類似に関する指摘もあるが、例は不十分である。一般に似ているとされる語の中には、日本語からアイヌ語への借用語が多く含まれるとみられる。総じて、目下、系統的関連性を示す材料は乏しい。一部では、古事記風土記のような口伝による伝承がアイヌ語で解釈可能であることから、縄文時代の日本語がアイヌ語と同系統の言語であるとする意見もある

中国語(古典中国語)との関係

日本は中国を中心とした漢字文化圏に属しており、中国語(古典中国語)は、古来、漢字漢語を通じて日本語の表記や、語彙・形態素に強い影響を与え、拗音等の音韻面での影響や、書面語における古典中国語の文法・語法の模倣を通じた文法・語法・文体の影響も見られたが、言語学的には系統的関連性は認められない。


⑤ 最新の日本語の起源の仮説(参考)


⑥ 江上波夫の騎馬民族征服王朝説(参考)


⑦ 騎馬民族征服王朝説への反論の反論(参考)


⑧ 日本語の起源と契丹古伝