自分が望む社会を支えるということ(前編) | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。

おはようございます。


日頃、私が大切に思っていることについて書きたいと思います。

少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。



昨日、偶然に作家の有川浩さんのブログを拝見しました。

有川浩さんは、「図書館戦争」シリーズや「県庁おもてなし課」、「空飛ぶ広報室」、「三匹のおっさん」シリーズなど数多くのベストセラー小説で知られる作家です。


たまたま市役所の後輩の丸山君がFacebookでシェアしていたので読むことができました。恐らく、Facebookで見かけなければ読むこともなかったでしょう。


ブログ 有川浩の『読書は未来だ!』
 より
11月14日記事 読書の未来
http://ameblo.jp/arikawahiro0609/entry-12095394357.html


(以下、上記ブログより引用)
 私も新人の頃は、同じ出版社の売れている作家さんの売上げで本を出させていただきました。
 いつか、その投資から、あなたの大好きな作家さんが生まれるかもしれません。
 一冊の本にはいろんな経費が載っています。未来への投資も載っています。
 皆さんが新刊書店で買ってくださる本は、未来の本への投資でもあります。本を一冊買うごとに、どうか誇ってください。「私は未来の本に、未来の作家に投資したのだ」と。



上記の部分は実は有川浩さんの『三匹のおっさん ふたたび』のあとがきから引用して、ご自身のブログで紹介されているクダリです。

引用部分も含めてブログの主旨は、読者が新刊本を新刊書店で買うことが、出版業界を支え、読者が書物を手に入れるという環境を守ることにつながる、ということ。


同感です。


実は私は、学生時代の一時期、出版業界に入ろうと考え、実際に行動に移した時期もありました。

最終的に、好きだという理由だけで入る世界ではないと他の道を選んだのですが、その入り口で勉強した様々なことの中に出版業界のビジネスモデルと苦境の話がありました。2001年に出版された佐野眞一の「誰が『本』を殺すのか」を、業界の先輩に勧められて読んだのもちょうどその頃。


その頃の経験と学んだことを踏まえて、私は就職して自分でお給料をもらえるようになってからは、新刊の書店で買える本については、古本屋で買わない、図書館で借りないというルールを自分に課すことにしました。


それはたくさんの紙の本の中から、自分が読みたいと思う本を選び、買うことができるという今の『環境』を守るために、消費者として出来る行動として私が自ら選んでいるものです。


ですから、これは選択であって正義ではありません


古本屋には古本屋の、図書館には図書館の価値があり、それを利用する人たちを否定するものでは無いのです。


私も学生時代は、新刊本が古本屋に出回るのを待って買ったり、1冊100円もしない文庫本を古本屋でまとめ買いをしてたくさんの本を読ませていただきました。その頃の蓄積に、今でも助けられていると感じることがあります。


でも、それを私が私自身に許せるのは学生時代まで


学生時代は安く本を読ませてもらい、自分の成長の糧とさせていただいたので、その分、社会人になったら、逆に消費し、支える立場になりたいと思っていますし、それが出版業界への恩返しでもあると考えているのです。


繰り返しになりますが、私の行動は正義ではなく選択です。


自分の行動が尊いもので、模範であり、多くの人が同じように行動するのが正しい、というものではなく、私が望む社会の実現のために、つまりは自分のために選択している行動です。


有川浩さんがブログで伝えようとしているのは、そのような行動を多くの人に選択してほしいということと同時に、本を愛する読者の皆さんの行動が出版業界を支えもすれば殺しもするということ、そして多くの読者が恐らくは無自覚であるそのことに対して、自覚を促しているのではないでしょうか。


今のように手ごろな価格で、清潔な紙に素敵な装丁と美しい印字の本を、好きな時に、一生かかっても読みきれないほどのたくさんの本の中から選ぶことができる、という私たち読者を取り巻く恵まれた環境を私は愛していて、それを守りたい、支えたいから、本を新刊書店で買う


これを出版業界以外にも普遍化して言ってみれば、自分が望む環境のためにお金を払うことで、その商品やサービスを消費することで、その供給者と供給システムを支える、ということ。


そうです。


これを読んでいる方はお気付きでしょうが、実はこの考え方は、出版業界に限らず適用され得るものです。


少し長くなりましたので、出版業界以外の話は後編で。

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