剣客商売を極める・二巻 辻斬り | 池波正太郎・三大シリーズをたしなむ

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2020年5月に当ブログを開設しました。

現在は「剣客商売」の本編・16巻の読みどころや魅力を紹介する「剣客商売を極める」シリーズを投稿しています。月1投稿ですが、こちらの記事も是非、チェックしてみてください。

剣客商売を極める 

二巻・辻斬り

 

 

みなさん、こんにちは。管理人の佐藤有です。

 

さて、剣客商売を極める第二弾も、剣客商売をより深く知り、楽しめる読みどころを紹介していきます。

 

まずは、この極めるシリーズ共通の企画である、「剣客商売を極める その二」から入りましょう。

 

剣客商売を極める その二 各編の題名の意味を知るべし 

 

これは「剣客商売」に限らず、「鬼平犯科帳」「必殺仕掛人・藤枝梅安」でも極めておきたいポイントで、各編の題名にはどのような意味が込められているのか、または誰を・何を指しているのかを予想しながら読み進めてみるのも、また面白いですよ。

 

今回取り上げる2巻を例にあげると、「辻斬り」は秋山父子が関わった事件を指し、「老虎」「悪い虫」は、その短編の主要人物を表しています。

 

一方、題名には本編と関係のない言葉もあり、商家の娘の誘拐事件に隠れた、ご隠居と当代の権力争いを描いた「三冬の乳房」がその例です。物語終盤、窮地を救われた娘は男装の三冬に恋心を寄せるも、三冬の乳房に触れて初めて彼(彼女)が女であることを知ったというものでした。

 

また、題名には小兵衛たちの何気ない日常の一場面を表したり、時には劇中での季節を示したりと、剣客商売の世界をより深く知るため、楽しむための要素が詰まっています。

 

時代小説というと、単語を聞いただけで難しいイメージがありますが、まずはこの題名はどこの場面を示しているのかなど、題名の由来を調べることに重点を置いてみると、すんなりと読み進められますよ。

 

  剣客商売 二巻 辻斬りを極める

 

 剣客商売 二巻 辻斬りの表紙絵

 

 

山崎屋卯兵衛の娘・お雪を救出する三冬

(「三冬の乳房」178~179ページを参照)

 

季節は師走。頭巾と言えば、悪役が顔を隠すために被るイメージがありますが、ここでは防寒目的で着用されています。ちなみに頭巾は、小兵衛の冬の外出時に欠かせない必須アイテムです。(月代を剃っているため、かなり寒そう・・・)

 

剣客商売 二巻の収録編

鬼熊酒屋

無頼者を相手に死に物狂いで立ち向かう鬼熊酒屋の亭主・熊五郎。実は、彼には身内にも知られたくない秘密を抱えており、ひょんなことから客人である小兵衛に見られてしまい・・・。

 

極めるポイント:熊五郎の凄まじさの源は?

気に入らない客には悪態をつくなど、熊五郎に対する評価は人それぞれですが、ここで注目しておきたいのは、熊五郎の凄まじさです。例え、身内でも決して自身の弱みを見せまいとする熊五郎の真意とは、それは、彼の過去を紐解くことで理解できるでしょう。

 

 

 

辻斬り

ある晩、知人宅から鐘ヶ淵へ帰る途中で辻斬りに遭遇した小兵衛。辻斬りの正体は、幕府の御目付役を務める大身旗本と知り…。

 

極めるポイント:秋山家と永井家の数奇な関係

秋山父子との攻防戦の末、ついに永井十太夫の辻斬りが幕府に知られ、秋山家との関係もこれで切れたと思われたものの、それから数年後に、小兵衛は、永井十太夫のゆかりの人物と思わぬ再会を果たします。

 

今回の極めるポイントは、本編とは関係がないものの、「剣客商売」を読み進めていくうえで、覚えておきたいエピソードとして取り上げました。

 

 

 

老虎

江戸見物に出かけた息子の消息を求めて、信州から江戸に来た四天流の遣い手・山本孫介。修行時代に山本道場の世話になった大治郎は、孫介の依頼を受け、息子・源太郎の行方を探すも…。

 

極めるポイント:四天流の右に出る者は無し!?

山本孫介が使用する四天流は、戦国時代の実戦さながらの術技を極める珍しい流派であり、道場を飛び出して野山をも修行の場とし、その厳しさは江戸剣術ではあり得ないものです。しかし、あまり聞きなれない流派に加え、山本道場はいわゆる田舎にあるため、江戸剣術界では田舎剣士などと馬鹿にされています。

 

しかし、いざ試合となると、相手に一刀も許させない強烈な一振りでなぎ倒し、場合によっては死者も出しかねない、危険な流派とも呼べるでしょう。田舎剣士・山本孫介と、地方の剣士を侮るような物言いをする江戸剣士・森川平九郎の試合は、剣客商売屈指の名勝負です。

 

 

 

悪い虫

10日間で剣術を教えてほしいと頼まれた大治郎。依頼主は、鰻の辻売りで生計を立てる又六で、「悪い奴にばかにされたくない」との理由から、強くなりたいと願うも…。

 

又六の修行の成果は?

悪い奴になめられたくないとの思いから、大治郎道場の門を叩いた又六でしたが、たった10日間で剣を扱えるほど強くなることは、到底不可能な話です。しかし、又六の思いを汲んだ大治郎は、父・小兵衛の協力を経て、短期間で又六を鍛える修行を編み出します。

 

果たして、又六に課された修行の内容や10日間の修行の成果はいかなるものか、元気な気持ちをもらえる温かい一編です。

 

 

 

 

三冬の乳房

和泉屋の根岸の寮へ向かう道中、山崎屋の1人娘・お雪の誘拐現場に遭遇した三冬。一方、根岸では、山崎屋の寮が大惨事に陥っており・・・。

 

誘拐事件を公にしたくない山崎屋

山崎屋は、大奥や諸大名家への出入りを許された小間物屋の名門であり、三冬によって発見された根岸の寮の惨事も本来であれば、お上に届けられるはずでしたが、山崎屋はこの一件を世間に知られたくないのか、口封じ用のお菓子を三冬に差し出します。山崎屋でいったい何が起きたのか、小兵衛の好奇心が事件の真相を暴きます。

 

 

 

 

妖怪・小雨坊

ある日の夕暮れ、鐘ヶ淵に突如現れた妖怪・小雨坊。醜い容姿を持つその男は、数日後、大治郎とも遭遇し、悪い予感が小兵衛の脳裏をよぎり・・・。

 

人の恨みを背負うこと・・・

「勝つたびに、生き残るたびに、人の恨みを背負わなけばならない」。秋山父子が忘れる頃に浮上する伊藤三弥との因縁。果たして、両者の因縁はどのような形で終止符が打たれたのか。

 

 

 

不二楼・蘭の間

鐘ヶ淵の隠宅の焼失を受け、不二楼の離れでの仮住まいを始めた小兵衛。暇を持て余し、蘭の間の襖絵を眺める中、訳ありの男女の客人が蘭の間に案内され・・・。

 

自分には関係ないと思いながらも・・・

ひょんなことから、蘭の間の客人の話を盗み聞きしてしまった小兵衛は、かつてお金を借り入れた高利貸の御家人・横川宅への強盗計画を知り、当初は無視するつもりでした。しかし、借入の際に出会った横川家の養子の不遇さが忘れらず、せめて彼の命だけは助けようと強盗犯を捕まえに乗り出すも、事態は思わぬ結末を迎えることとなります。

 

 

 

 剣客商売 二巻の時系列

安永六年(1777年)秋頃  

・小兵衛、鬼熊酒屋に通い始める

 

安永七年(1778年)秋頃

・小兵衛・熊五郎の交流が始まるも、まもなく熊五郎が死去する

・大身旗本・永井十太夫の辻斬りが発覚。秋山父子との防戦から半月後に切腹を命じられる

・四天流・山本孫介と、無眼流・森川平九郎の試合が、田沼家上屋敷で行われる

 

安永七年(1778年)冬

・又六、大治郎へ稽古を付けてもらい、又六と秋山父子の交流が始まる。

・12月、三冬、山崎屋卯兵衛の娘・お雪の誘拐事件に遭遇する

 

安永八年(1779年)

・1月、鐘ヶ淵に「妖怪・小雨坊」が出現し、隠宅を放火される。

・2月、小兵衛夫妻、不二楼の離れで仮住まいを始める。

 

  剣客商売の登場人物

秋山父子の協力者

傘屋の徳次郎

四谷の御用聞き・弥七の下っ引で、本作品には欠かせない主要人物の1人。内藤新宿で傘屋を営んでいることから「傘徳」とも呼ばれ、主に尾行や見張りを行う。

 

又六

洲崎弁天近くで鰻の辻売りを営む、歳は大治郎より1つ年下と見られる。土地の無頼者である異父兄に対抗するべく、大治郎に修行を申込んだ。「悪い虫」以降も秋山父子と交流があり、彼らの探索に協力する。

 

おしん・文吉夫妻

鬼熊酒屋の2代目で、熊五郎の養女夫婦。娘婿の文吉は、元渡り中間で、鬼熊の客人だった。おしんに惚れたことを機に、熊五郎の婿養子となった。夫妻の間に一女・おかよがいる。

 

熊五郎

鬼熊酒屋の初代亭主で、おしんの養父。「鬼熊酒屋」の終盤で死去するも、以降も名前のみ

で登場する。

その他

永井十太夫

幕府・御目付衆を務める千五百石の大身旗本。刀の試し斬りとして辻斬りを決行するも、小兵衛を標的にしたために、辻斬りが幕府に発覚した。その後、永井家は断絶したものの、数年後、永井家ゆかりの者が、小兵衛と思わぬ再会を果たし、秋山家との交流が始まる。

 

富治郎

浅草・聖天町に住む大工の棟梁。不二楼の亭主・与兵衛からの依頼で、小兵衛宅の新築を担う。

 

  剣客商売 二巻の雑記帳

 

 時代背景

安永七年(1778年)~安永八年(1779年)

 

主な出来事

安永八年10月1日(1779年11月8日)に薩摩藩の桜島で噴火が発生。後に安永大噴火と命名され、噴火は天明二年(1782年)まで続く。

 

 剣術道場・流派

市口孫七郎道場

中ノ郷・横川町にある直心影流の道場。永井十太夫の家来が多数通う。

 

山本孫介道場

信州・小諸の城下外れにある四天流の道場。門人は10名ほどで全員が農家の子弟。稽古は、道場内にとどまらず周囲の山野も活用し、昼夜問わず力づくの稽古が繰り広げられる。大治郎も、剣術の旅で2ヶ月ほど滞在した。

 

四天流

九州の成田清兵衛高重を流祖とする剣術。戦国時代の頃の実戦さながらの技術を用い、剣術を主体に居合や馬術まで極める。剣を振るうはもちろん、時には素手で組み合い、時には走り、飛びまわるなど、生半可な体力と気力では、稽古をこなせない。

 

森川平九郎道場

三ノ橋に道場を構える無眼流の剣術道場。ここ10年ほどで頭角をあらわした道場で、諸大名の庇護も多く、門人は200名を超えるとのこと。一方、道場自体はみすぼらしい。

 

 地理・名所

本所・横網町

鬼熊酒屋のある地区。小川宗哲宅のある亀沢町に近い。

 

浅茅ヶ原

熊五郎が薬養生所。近くに総泉寺がある。梅若丸の伝説のゆかりのある土地。

 

玉姫稲荷

熊五郎と小兵衛がはじめて言葉を交わした場所。

 

上野山下

現在の上野。近くには不忍池がある。

 

信州・小諸

城下外れに山本孫介の道場がある。

 

深川・木場

現在の木場。当時は、材木問屋や材木置き場があった。近くには又六が辻売りの鰻屋を営んでおり、人足たちが買い求めに来る。

 

洲崎弁天

深川にある江戸の観光名所の1つ。

 

押上村

現在の隅田区。日本橋から約一里半にある江戸の郊外。小兵衛宅からは、畑道を辿り東南へ一里足らずの場所。

 

最教寺

押上村にある日蓮宗の寺院。寛永年間に開基した地元の名刹。

 

浅草・聖天町

大工・富治郎が住む町。

 

専念寺

浅草・山谷町を東に切れ込んだところにある寺院。裏手には、線香問屋・大坂屋清右衛門の元妾宅が建てられている。ちなみに、大坂屋は檀家でもある。

 

駕籠重

山之宿六軒町にある駕籠屋。

 

 飲食

鬼熊酒屋

熊五郎とおしん・文吉夫妻が切り盛りする居酒屋。内部は、面積七坪に土間と入れ込みの畳敷が十畳ほど、奥が板場になっている。酒や食べ物が安くてうまいものの、熊五郎の毒舌が玉にキズ。熊五郎目当てに来る客も多く、「日に一度、鬼熊のとっつぁんの毒口をきかねえと、ねむる気がしねえ」とも言われている。

 

熊五郎の死後は、おしん・文吉によって存続され、客あしらいのよさが評判をよび、先代の時より、大繁盛している。後に、大治郎もここの常連になる。

 

桔梗屋

麹町平河町二丁目にある菓子舗。小判が入った将棋落雁が名物?

 

亀玉庵

浅草寺の境内から入った奥山にある蕎麦屋。内部は、入れ込み席と、西側に浅草田圃を望む奥座敷を備える。

 

又六の鰻屋

深川・木場の江島橋の袂で辻売りを行う。鰻は、丸焼きにしたものへ醬油などで味付けしたもの。非常にこってりしているが、肉体労働者からは好まれており、冷や酒と共に提供している。

 

槌屋

洲崎弁天社から北門へ出たところにある茶店。又六の辻売りの光景が見える。茶店を営む老婆は又六を知っており、彼の親孝行な性格や異母兄との関係などを秋山父子に打ち明けた。

 

大和屋

麹町七丁目にある菓子舗。名物・窓の月の底には小判がきらめく?

 

山城屋

泥鰌鍋が名物の小兵衛なじみの店。泥鰌鍋は、飯田粂太郎少年が3人前も平らげてしまうほどの絶品。

 

五鉄

本所二ツ目にあるしゃも鍋屋。弥七と下っ引き達のつなぎ所として活用された。「鬼平犯科帳」でも、鬼平と密偵たちのつなぎ場としても登場。

 

佐賀屋

小網町一丁目にある船宿。

 

湊屋

佐賀屋の隣に位置する船宿。

 

ふじ岡

麻布一本松の長善寺門前の茶店。

 

大金

小川宗哲宅の近くにある鰻屋。「だいきん」と呼ぶ。

 

三河屋

花川戸にあるしゃも鍋屋。

 

  剣客商売を味わう

ご飯もの

鴨鍋、鴨飯、蛤飯

 

汁もの

蕪の味噌汁、納豆汁、山城屋の泥鰌鍋、豆腐汁、蛤と豆腐・ねぎの鍋、三河屋のしゃも鍋

 

おかず類

里芋の煮物、大根の漬物、又六の鰻、鮒の甘露煮、薄切りの沢庵に生姜汁を垂らした香物

 

菓子

桔梗屋の将棋落雁、大和屋の窓の月(2品とも口封じ用として登場)

 

  佐藤有と剣客商売の小噺

 

小噺 その2:又六に学ぶ強い人間とは?

 

今回は、私が時代小説を読むきっかけとなった「強さ」にまつわる小噺をしましょう。

 

学生時代から気弱だった私は(今もそうですが)、人になめらたくない、躾に厳しい母親に立ち向かう勇気が欲しいとの思いから、「剣客商売」を読み始めました。

 

読み始めた当初は、高校生ということもあり、強い=悪い言葉遣い、例えば「OOじゃね~よ!」と言ったり、だらしない恰好をするなど、世間での不良を強さだと勘違いし、自分とは真逆な姿に、恥ずかしながら憧れていた時期がありました。

 

その影響もあり、高校・大学生までは「鬼熊酒屋」の熊五郎のような強さこそ、当時の私が求めていた強さだと思っていました。

 

しかし、大学進学を機に、親元を離れたことや社会人になってから直面した人間関係の難しさから、自分の中の強さの定義が徐々に変わり始めました。

 

そのきっかけは、職場での人間関係であり、針の糸より小さいことをいちいち取り上げては、人の悪く言う先輩社員の言動に違和感を覚えたことでした。今思えば、悪口の話題に取り上げた方と仲良くなりたいことへの裏返しとして、その人の悪口を言っていたのではと考えるようになりましたが、当時の私はなんて嫌な人だ、そんな小さいことでよくそこまで怒れるものだと。

 

時には自分が悪口の標的にされたこともありましたね。あいさつも無視するくらい私とは徹底的に口を利かない態度を取っていたのに、私の悪口となると人が変わったように饒舌になっており、当時はすごく嫌な思いをしましたね。

 

今となっては、たかが新卒を相手に30歳の女が何をやっているのか、やることがずいぶんと幼稚な人で、見ているこっちが恥ずかしいと、と呆れています。もう、あまりの子供っぽさに、笑っちゃいますね。

 

さて、話は本題は戻り、この経験を受けて嫌な思いや悔しい思いをした当時の私は、いつか熊五郎のように暴言の一言でも浴びせてやりたいと怒り奮闘でしたが、この時期に読み返していた「悪い虫」の一編が、卑劣な手段を使ってでも、憎い相手を打ち負かしたいと燃えていた私を押とどめました。

 

悪い奴に馬鹿にされたくないから強くなりたい、そのために剣術を教えてほしいと大治郎に懇願するシーンが当時の自分と重なり、最後には悪い奴の脅しも大したことはないと思えるようになり、どっしりと構える又六の姿が、次第にかっこいいと感じ始めました。(2巻166~170ページを参照)

 

口先で悪く罵り、武器を持って脅しにかかっても、それは自分がやられないための防衛手段であり、そうでもしなければ、相手より強く見せることができない、弱さの裏返しでしょう。

 

秋山父子との修行を受け、肝が据わった又六は、つい10日前まで恐いと思っていた異母兄の脅しを恐いと思わなくなり、大した人物ではないと考え始めます。そこから、又六の修行の成果を日常生活に生かせないかと考えた私は、まず、相手を観察することから始めてみました。

 

相手を観察することは、その人がどんな理由で自分に辛く当たるのかを知れると同時に、以外と小さいことで腹を立てていると思えば、その人に対して恐いとか嫌だなと思う感情が薄れてきます。

 

そして、似たような場面に遭遇しても、「また言ってるよ」と心に余裕が出来、ある程度の耐性が付くでしょう。かと言って、我慢のし過ぎは自分のメンタルを痛めることに繋がるので、適度に距離を取ったり、ストレスを発散させることもわすれずに。私の場合は、家族が寝静まった後にこっそり飲むビールが、心の栄養になっています。

 

本日の小噺は、半分以上は私の体験談のような形になってしまいましたが、又六のエピソードは、娯楽としてではなく、本当の強さとは何かを考えらせられる興味深い一編として取り上げたく、お話しました。

 

本当に強い人とは、わざと強がりを見せる必要などなく、常に冷静さを失わず、嫌いな相手に対しても優しさを与えることができる人、いつも穏やかに心に余裕があること、でしょうか。

 

「感情を制御できないものは未熟者」とも言いますしね。

 

まあ、私としては熊五郎のような強さも、まだ見習いたいですね。間違っても、自分が気に入らない人に対して暴言を吐くことではなく、自分の病気を知られまいと、家族の前では平気な振りをよそおい、誰もいないところで人知れず薬養生に励むような、良い意味での意地っ張りになりたいです。

 

 剣客商売を極める 二巻・辻斬りまとめ

 

剣客商売・2巻は、本編16巻の中で一番好きな巻であり、特に「鬼熊酒屋」と「悪い虫」はまた、別のブログ記事で語り尽くしたいほどの思い入れの強い短編です。

 

さて、次回の剣客商売を極めるシリーズは、「三巻・陽炎の男」を取り上げていきます。

 

3巻も過去の投稿記事の手直しが必要ですが、頑張って6月中に「3巻を極める」記事も、投稿できたらと考えています。

 

本日もだいぶ長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございましたほっこり