株式会社の役員変更登記の話です。
取締役や監査役に変更があると、
2週間以内に、法務局に登記申請します。
取締役や監査役は、株主総会で選任され、
原則として、選任された人が、
その就任を承諾することによって、就任の効力が生じます。
その登記申請の際には、
選任を証明する書類として「株主総会議事録」、
就任承諾を証明する書類として「就任承諾書」を添付する必要があります。
※他にも添付書類はありますが、ここでは割愛。
まず、「株主総会議事録」についてですが、
これは、全てのケースで作成が必要です。
「株主総会議事録」への押印はとくに規定がないので、
代表者の押印だけでも、議事録としてはOKです。
(但し、定款に別段の定めがあればそれに従います)
で、
その「株主総会議事録」のなかに、
①選任された人が出席している
②席上で就任を承諾している
のどちらの内容も記載してある場合には、
別途「就任承諾書」を作成しなくてもOKなケースがあります。
つまりは、
「株主総会議事録」の記載が一定の要件を満たしていれば、
代表者の印鑑だけしか捺されていなくても、
(就任承諾した人の押印がなくても)
「就任承諾書」として援用できる場合がある、ということです。
※ただし、実際に”援用”できるかどうかは、
細かくチェックしてみないと何ともいえません。
例えば…
・”席上”という文言が無かった為に援用できないケース
↑これは議事録の記載の問題ですね。
「その場で就任承諾した」ことが明確でないとダメだそうです。
・選任された人の”住所”の記載が漏れていた為に援用できないケース
↑これは、新任の取締役・監査役の場合。
再任・重任の場合は住所の記載が無くてもOKです。
仮に、”援用”はできる場合だったとしても、
他の規定によって、結局は「就任承諾書」を作成すべき場合もあります。
例えば…
・選任された人が就任承諾したことの証明として、
”実印”での押印が求められるケース
↑新任の取締役が就任する場合(取締役会非設置)、等。
ほとんどの中小企業の場合は、
登記手続で必要となる「株主総会議事録」等の文案は、
司法書士側で作成して提供しているのが実情ですが、(たぶん)
会社が、ある程度の規模になってくると、
社内で「株主総会議事録」等を作成する会社も多いので、
担当される方はご注意頂ければと思います。
ここ最近、
自社で議事録を作成する会社からのご依頼が何件か続きまして、
書類の内容を確認してみたところ、
問題なく議事録の記載を援用できた会社もあれば、
議事録の文言の修正をお願いした会社もありました。
また、ある会社では、議事録の文言を修正することができず、
追加で就任承諾書を用意してもらうことになりました。
自社で作成された登記関係書類については、
押印の前に、司法書士に確認することをおススメします。
万が一、押印の後に修正すべき箇所が見つかった場合、
場合によっては、大変なことになりそうなので。
※ちなみに、それくらいの規模の会社であれば、
「株主総会議事録」を援用できるケースだったとしても、
あえて「就任承諾書」も作成するケースも多い気もしますが、一応。
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司法書士 黒川雅揮
司法書士黒川雅揮事務所HP⇒http://k-legal.jp/