平塚棋院 | 碁会所探偵シホ&クニ

碁会所探偵シホ&クニ

初段を目指すシホ&クニです。
碁会所で打つのが大好きな私たちが,
お世話になっている碁会所、
初めて行ってみた碁会所をご紹介します。

碁会所探偵の取材には、毎回必ずドラマがあります。


碁会所にまつわるエピソード、

記憶に残ることば、

席亭のお人柄…。


今回ももちろん、

いい出会いがありました。


ということで、

今月はシホクニで、

木谷實九段のお膝下、平塚に行ってきました。



※駅東口にある詰碁の看板、さすが囲碁のまち








※ついつい購入 囲碁最中。美味しいんです



目指す「平塚棋院」は、

商店街のある賑やかな側とは反対の

南口を出て徒歩2分。


駅に近いのに静かな環境にある碁会所です。







しかも今回はちょっとした出来事が…。



「次の探偵は『平塚棋院』です」


そう調査員に連絡したところ、

Aさんから情報が入り、

つい先日行ってきたばかりだというのです。



誰とでもすぐに友達になってしまう調査員のAさん。

「平塚棋院」でも

一度訪れただけで、席亭と友好を結んでいました。


しかも、探偵することが決まるとすぐに

店に連絡を入れ、

(目的は伏せつつ)

シホクニという女性が行くのでよろしくお願いします、と

保護者のように話をつけてくれていたのです。



という前振りがあっての当日。


シホが店に電話を入れると

「もしかして、渡辺さんですか?」


到着した際には

「Aさんから訊いていますよ」


と、歓迎してくださったのでした。






そんな「平塚棋院」。

実は三匹のおっさん…じゃなかった

三人のダンディな席亭が、

共同で店を運営しています。


経営でなく運営なのは、

オーナーが別にいるからなのですが、

その経緯がまた、碁縁なんですね。



もともと「平塚棋院」は

17年前に田宮功さんがオープンし、

オーナー席亭として、

ひとりで店を切り盛りしていました。


ところが2年前、

その田宮さんが、店で営業中に倒れ

救急搬送されてしまいます。


このとき店に居合わせたのが

現在の席亭のひとり、加藤純一郎さんです。



加藤さんは、店のオープン直後から通う

常連でした。



田宮さんは一命をとりとめますが、

復帰の目処が立つ状態ではなく、

田宮さんの奥さまである富士子さんは、

店を畳む覚悟をします。



けれど「平塚棋院」は地元に根ざした碁会所で

お客さんにも恵まれている。


閉めてしまうにはあまりにも惜しい存在でした。


そこで立ち上がったのが

碁を初めてまだ日の浅い

今岡秀夫さんと、高橋洋一さんです。



加藤さんと共に

三人寄ればなんとかなる、碁会所を続けていこう!

と、店の続行を決めたのです。




※向かって右が加藤さん、左が今岡さん



当時を振り返り、


「この場所をなくしたくない気持ちは強かったけれど、

私一人だったらとてもできませんでした。

二人がいたから、よしやってみようと思えたんですよ」


と、加藤さんがいえば、



「私は級位者ですから、

対局の組み合わせなどもできませんのでね。

加藤さんがいてくれなければ、とてもできませんでした」


と今岡さん。



この日はお休みだった高橋さんとともに、

絆がとても深くて、

訊いているうちに思わず、うるっとしてしまうほど。


倒れた田宮さんは大変だったけれど、

いいお客さんに恵まれて幸せな方だな、と思いました。


そのことを思わず口にすると、


「それは田宮さんの人徳ですよ」

と加藤さん。

どこまでも控えめです。


こうして「平塚棋院」は、

なんと一日も休むことなく、

営業を続けることができたのです。




赤いセーターがお似合いの加藤さんは、

お話上手なムードメーカー。


若いころに囲碁を覚え、現在は五段。


現役時代は営業職だったことから、

すきまの時間に

東京の碁会所をかなり回ったのだそうです。


探偵の先輩ですね。


その経験から、

自分なりの「いい碁会所」のイメージが

何となくできていたといいます。


まずは、初心者、級位者に優しい碁会所。


ターミナル駅の大きな碁会所は別として、

地元の碁会所なら

「○○さん、いらっしゃい」

と、名前を憶えて温かく迎えてくれる店。


お客さんのほうも、

「今日は楽しかった」といって

帰っていく。



「結局は席亭の人柄が、碁会所の雰囲気を決めるんですよね」


う~ん、本当にその通りですね。





もう一人の席亭、

今岡さんは物静かなジェントルマン。



数年前、

「平塚棋院」で開催された、

市主催の囲碁教室に参加したのが、

囲碁との出会いでした。


教室が終わってからも続けて

仲間と「平塚棋院」に通うようになったところへ

田宮さんの入院があり、

席亭になってしまったのですから

碁縁は面白いですよね。


現在は2級の腕前。

(「強い2級ね」と加藤さん)



三人目の席亭、高橋さんも

教室で囲碁を覚え、現在5級。


高橋さんの詳しい情報はつかんでいませんので、

このブログを見て「平塚棋院にいかれた方、

情報をお待ちしています。



冒頭でも触れたように、

平塚といえば木谷道場のあった土地柄で、

「ひらつか囲碁まつり」の1000面打ちも有名。



「囲碁のまち」としてすっかり定着しているように思いますが、

実際のところはどうなのでしょう。



「囲碁が盛んなのは確かですよ」


でもそこには、大きなジレンマもあったといいます。



市が囲碁を応援しているため、

市民センターなどの公共施設を利用すれば

無料で打つことができる。



そのため有料の碁会所に人が集まらず、

閉店した店も多いというのです。

まさかの逆転現象というか

何とも皮肉な状況になってしまったわけですね。



お互いが共存を図ることはできないのか。


田宮さんが目を付けたのが、

「平塚市まちづくり財団」が主催する囲碁教室でした。



市民センターで開催される、春の子供教室。

その秋バージョンである

大人向けの「モーニング囲碁教室」の開催場所として

「平塚棋院」が名乗りを上げたのです。



そう、


席亭の今岡さん、高橋さんが参加したのが、

まさにこの教室ですね。




さらに教室に参加した人が

そのまま碁会所で勉強を続けられるように

月3千円で、毎日碁会所に来てもOKとしたところ、

これが効果大。



教室が終了した後も、

ネット碁や公共施設に流れることなく、

碁会所で打つ人が増えたのです。


短期の教室では

ほとんどの場合、その後のフォローがないため、

囲碁をやめてしまう人も多いそうですが、

これはなるほど、ありがたい企画ですね。



シホクニがお邪魔した日も、

二組の教室OBグループが、

熱心に仲間内で勉強していました。




※勉強中の教室OBグループの方たち



さらに加藤さんらが引き継いでからは、

一般の席料も変更しました。


初回のみ1500円かかりますが、

2回目以降は席料一日500円、

ワンコイン制にしたのです。

(一回限りの場合は1000円)



受付に置かれた箱には、

500円玉が無造作に置かれていました。





※この信頼関係もいいですよね。



そのほかにも、年3回のリーグ戦。


毎月1回第3日曜日の月例大会を開催。

参加費1000円(席料別)で、賞金も出るとあって、

人気の企画となっています。




また、

お客さんの名前と住所をパソコンで管理しており、

たとえば碁会所で具合が悪くなったときにも、

すぐに対応できるようにしています。


碁会所の高齢化が進む中で、

これは大事かもしれませんね。



現在、碁盤は20面。

将棋盤もありますよ。








コーヒーは自動販売機ですが、

お茶はセルフサービスで自由に飲むことができます。


「お茶を煎れるより、

お客さんと打つほうが、大事な仕事だと思うんですよ」


まったくその通りですね。


お客さんだった席亭の皆さんの目線が、

「平塚棋院」の魅力なのだなと痛感しました。






実はこの日、

シホクニは碁会所に行く前に

平塚市民センターの1階にある

「木谷實・星のプラザ」に立ち寄ってきました。






「新布石」の研究、

「木谷道場」でプロを育成することに力を注いだ

故・木谷實九段の展示室です。



残念ながら、見学に来ていたのはシホクニだけ。

駅から少し歩くのが問題でしょうか。


展示内容は面白かったですよ。






平塚にあった木谷道場の模型があり、

庭先に置かれた卓球台まで再現されていました。


子どもたちがここで暮らしていたのだなと

リアルに伝わる風景ですね。



「木谷道場ある日の献立」もユニークでした。

食品サンプルで再現されているのですが、

山積みのサバの味噌煮が衝撃的。





子どもたちに慕われていたという

美春夫人の愛情こもった手料理。


豪華ではないけれど、

きっと美味しかったのでしょうね。







「木谷實・星のプラザ」


問い合わせ 0463-32-2235

        (平塚市民部文化・交流文化振興担当)

住所     平塚市見附町15番号(平塚市民センター内)

入場無料










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■平塚棋院


住所    〒254-0807 神奈川県平塚市代官町4-15

電話    0463-22-5718


営業時間 昼12時~18時

定休日   木曜


料金    初回1500円、2回目以降500円

       (1回限りの場合は1000円)