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まだ景気回復実感が小さいうちにまず捉えておくべき経営3視点

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【1】景気回復期が企業経営最大の“危険期”…?
【2】やはり“増加傾向”にあった企業倒産件数!
【3】回復期に見られる“危険”の兆候とは…?
【4】一時的“競争過剰”現象への準備3ステップ

【5】準備3ステップの第2と第3は…


【1】景気回復期が企業経営最大の“危険期”…?


1》景気回復期に倒産が増す?
 昔から、企業倒産は景気のどん底時よりも、むしろ景気回復期に増えると言われてきました。不況のどん底にあって困難な頃より、先行きに少し薄日がさす時期の方が、経営の舵取りが難しいと言うのです。
 本当にそうなのでしょうか。統計を見ることにしましょう。

2》倒産件数激減?
 統計を見て、まず驚くのが、
2005年1年間の企業倒産件数は7,905件という数値
です。これは帝国データバンク(http://www.tdb.co.jp )が発表したものですから、その信頼性に疑いはありません。
しかし、倒産件数は、たとえば2001年には19,441件でした。しかも1989年のバブル期でも7,234件程度(いずれも帝国データバンク調べ)なのです。今、倒産件数は大幅に改善されたのでしょうか。
 過去のデータをチェックする前に、私たちの数値感覚を変えておく必要があります。なぜなら、1989年当時と最近では、
倒産企業の数え方が違う
からです。

3》やはり倒産は増加傾向
 2000年までの倒産件数は、任意整理と法的整理(強制整理)を総合した、いわば“総合廃業件数”のようなものでした。経営者が病気や高齢を理由に会社をたたんだり、新会社設立等のため意図的に旧会社を清算したりしても、倒産だったのです。
 一方21世紀に入った2001年以降は、両者を区別するようになりました。理由は定かではありませんが、社会の高齢化で“円満清算”する企業が増えるとともに、“法人化”がかつてのような聖域ではなく“経営の道具”として扱われるようになり、
経営が苦しくてやむなく倒産をする企業のみ
を特別にピックアップしなければ、景況を読む指標として役立たなくなったからかも知れません。
 こうした前提を捉えて、最近の統計をもう一度見直してみることにしましょう。


【2】やはり“増加傾向”にあった企業倒産件数!


1》倒産件数は増加傾向
 企業倒産を“法的整理”が統計化された2001年以降の件数で追ってみると、確かに“景気どん底”の2001年頃より、最近の方が件数は多いのです。
 しかも景気に明るさが見えたはずの2005年の倒産件数は過去5年で抜きん出て多い上に、2005年を四半期で見ると、4~6月2,013件、7~9月2,100件、10~12月2,291件と増加傾向を示しています。確かに厳しい環境が更に深くなりつつあることがうかがえるのです。

2》やはり“回復期”が最も厳しい…
 やはり以前から言われるように、全体的な景気回復の初期は、企業経営にとって非常に厳しい時期であるようです。
たとえば“うつ病”にかかった人も、病気のどん底状態より回復初期に自殺の危険が最も大きくなるのだそうですが、それと同様のことが、企業経営にも言えるのでしょうか。

3》危険を“具体的”に捉えて自社強化
 一般に“うつ病”患者が回復初期に自殺してしまうのは、回復によって“死ぬ気力”が生じたからだと言われます。それまで自分の内面に閉じこもり、心が冬眠しているような状況にあったのが、世の中との関係を持ち始めて、活動力を得始める…。それが時々、自殺という悲惨な“行動”につながるわけです。
 しかし“企業倒産”には、もっと
外形的、つまり具体的なマネジメント問題
があります。それは、理解不能の内面性ではなく、対処可能な課題が存在するということです。しかもその課題は、
倒産には無縁の企業にとっても経営基盤強化の視点から
示唆に富む指摘をしてくれる
テーマであるとも言えるのです。


【3】回復期に見られる“危険”の兆候とは…?


1》回復期に顕著になる“経営意識”の差
 ビジネスに“エモノの争奪戦”のような側面があることは、誰もが認めるところです。どの企業も、
競争に勝って自社事業を優位に導こう
とするのが経営常識です。
 しかし、そこには“程度の差”があります。そしてその、経営者の“願望や欲求”の程度差が、景気回復期の危機創出に、大きな役割を果たすのです。

2》攻撃的企業が目を覚ます!
 市場が元気ではない不況期には、他社を押しのけてでも優位に立とうとする企業も、それほど活発には動きません。活発に動いても、市場、つまり顧客に元気がないのですから、
動いただけの“元を取る”保証が得られない
からです。
 ところが、顧客に元気が出始め、“元が取れる”先行きが見えると、元気な企業は一気に活動を始めます。その活動が自然に競争状態を激化させ、たとえ誰もがそう望んでいなくても、
相対的に弱い企業の市場を奪う
形で展開される結果になるのです。
 更に進んで景気が十分に回復すれば、多くの企業が“エモノ”を獲得できますが、回復初期にはまだ不十分であるため、
取り合い競争は過酷に成らざるを得ない
のかも知れません。その分、経営の舵取りは難しくなります。

3》具体的にはどのようにあらわれるか
 そのため、たとえば取引先が注文の量を増やしながら品質や納期の条件を厳しくしたり、資金の支払条件を有利にしようとしたりするなら、それは“危険の始まり”かも知れないのです。
 一般の消費者が、料金ではなく“品質”に強い関心を示すような場合にも、どこかで“品質攻勢”をかけ始めた同業者が存在する証です。あるいは材料や商品の納入業者が、品薄状況を伝えてきたり製造や配送の変更を申し出たりするのは、すぐ後に“値上げ欲求”がある前兆だと見るべきでしょう。
 こうした兆候に十分な注意を払うべき時期が“今”なのです。


【4】一時的“競争過剰”現象への準備3ステップ


1》回復への“期待”や“楽観”はむしろ危険
 まず大切なことは、景気回復期は“これから事態が好転する良い時だ”という感覚を捨てることです。しばしば、
世の中景気が回復したのに、その実感がなかなかわかない
と言われますが、むしろ『景気が回復を始めたから競争が始まって、それが一時的に過剰だから苦しさが増したのだ』と正面から認めた方が、実感にマッチするかも知れません。
 そんな割切った感覚になると、漠然とした期待感ではなく、
競争のための準備に入ることが、むしろ自然にできる
からです。

2》競争激化への準備“3ステップ”
 その競争激化への準備には、大きく分けて3つのステップがあると思います。まず第1ステップは、
コストの動きの徹底把握
です。コストダウンという成果を急ぐ前に、
コストの小さな変化でもガラス張りで見える
ような数値管理体制をしっかり作ることが必要です。
 実際の競争激化が、どんな形で自社のコストに影響するか、その動きを捉えるのです。逆に、実体をつかまないまま、コスト○%カットという目標をたててしまうことは、周囲の変化が自社に及ぼす影響に鈍感になってしまうという危険をはらみます。ここでは成果より、実態把握が重要です。

3》特に重要なコスト管理
 その中でも、特に重要なのが“人材”に関するコストでしょう。B社では最近、従業員の顧客対応出張が増えて、交通費経費が拡大しているのを発見しました。どの顧客先で問題が多発しているかを見極めるだけで、問題の質が推測でき、“次の一手”や“防衛策”の準備が、それだけしやすくなります。
 また人件費自体についても、残業代の未払いなどで、度を越えて訴えられる企業に“業績が改善しているにもかかわらず経営姿勢を変えていない”ケースが多いことなどを考えると、大変なトラブルが起きる前に、適切な経営開示と経営状態に対する社内の理解共有が重要であることにも気付かされるのです。


【5】準備3ステップの第2と第3は…


1》第2ステップは“資金”の動きへの管理強化
 第2ステップは“資金管理”です。特に新たな契約や従来契約の変更に際して、実際の入金・支払条件がどうなってきているか、実体を把握し、
資金繰りが苦しくならない
よう、常に注意をして行く必要があるでしょう。逆に、自社が量的な拡大などをする際には、資金繰りが有利になる取引を正確に見つけ出して、それを重視・拡大しなければなりません。
 たとえば単に100万円の利益を出すという発想ではなく、最も少ない資金量で100万円を稼ぎ出す形態を見つけ出し、できるかぎり、そうした資金効率のよい事業に重点を移すべきだということですし、そうでなくとも、
必要資金量の動きが“見える”管理を行う
ことは、競争激化を切り抜ける重要なポイントになるのです。

2》第3ステップは“計画性”への意識向上
 第3ステップとして大切なことは、
計画性そのもの
でしょう。たとえ景気回復期であるとはいえ、値上げや取引先の変更、あるいはユーザーの選別は、思いついた時にできるわけではありません。たとえば家具の保全修理を営むG社では、
質の悪い材料を提供する業者を、その業者との取引がなくなっても困らないように1年間準備した後、厳しい態度で選別し、良質の業者だけを残して行った
と言います。時間をかけて準備したわけです。
 こうした“計画性”に従ったマネジメントが、危機的な時代に、かえって成長を果たす源になるはずです。

3》3視点で危険をチャンスに変える!
 景気回復が始まる初期には、ビジネスは競争の中で危険にさらされることが多く、そのため①コスト把握、②資金把握、③計画的行動の3つの視点が非常に大切になると申し上げました。
 今回は問題の全体を見渡したため、十分に事例をお伝えできませんでしたが、今後引き続き、個々の課題に沿った具体的な経営強化事例をお伝えしてまいりたいと考えています。

ご希望者には、レポートを差し上げますので、下記までお問い合わせください。
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そんなことが“黒字化”を実現?予算管理が事業を変える!

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【1】“赤字”続きに苦しんだA社に変化のきざし!
【2】行動開始の“引き金基準”を作った…?

【3】実践的な“予算管理”のための売上三分割法
【4】明確な“数値認識”は効果的“行動”を呼ぶ!
【5】社長の行動変化が“組織”と“業績”を変えた


【1】“赤字”続きに苦しんだA社に変化のきざし!


1》値下げ競争に巻き込まれて…
 ここ数年、値下げ競争に巻き込まれて、システムの設計製作業を営むA社は“赤字続き”でした。2004年から顧客企業の景気は回復傾向にありますが、価格競争は終わらず、すぐに赤字解消には至らなかったのです。
 しかし2005年の決算では収支を均衡させることができ、2006年の決算見通しでは、予想以上の黒字計上が可能になるようです。いったいA社に何が起きたのでしょうか。さっそく社長に、詳細を伺ってみました。

2》特別なことは何もない?
 新商品を出したり、リストラをしたり、特別な施策を打ったのかという質問に、社長は『特別何もしていない』と答えます。もちろん、本当に何もしていないわけではないでしょうが、
際立った施策があるのではない
ようなのです。
 では“黒字化”は偶然なのでしょうか。もちろん決して偶然ではなく、それは
社長の日常的な“行動”変化の成果
でした。

3》きっかけは“ダイエット”の話
 社長がご自身の経営姿勢を考え直すきっかけは、意外にも、知人の“体重減量(ダイエット)の成功”だったと言います。太り過ぎで医者から注意を受けた知人は、何と
1年間で15kgの減量に成功した
のです。しかも、そこには特別な秘策があるわけではなく、
実現できたのは毎日朝晩必ず体重計に乗る
という日常の“習慣付け”のおかげだそうなのです。
感覚的に“大丈夫だろう”と感じているだけでは、思わぬ食べ過ぎをしがちですが、毎日客観的に体重を測定すると、
食事療法や運動で調整せざるを得なくなる
ため、日々の生活自体が変わると言うのです。『夕食前に太っていることが分かると、自然に夕食は減らすし、食後に運動するものだよ』と知人は言ったそうですが、それだけでしょうか。


【2】行動開始の“引き金基準”を作った…?


1》行動開始の引き金基準
 もちろん朝晩体重測定をしても、目標値がなければ夕食を減らすほどのインパクトは生まれません。知人はまず、
1年間の15kg減量目標を、右肩下がりのグラフにし、
その上に毎日の実際の体重を書き込んで比較した
そうです。そして、目標グラフの体重を越えると調整をし、超えなければ『気持ちよく食べた』のです。
 右肩下がりの目標体重を超えると“行動”を起こす、という意味で、それは“行動の引き金”になりました。この行動が蓄積すると、しだいに実際値が目標値に近づいて行きます。
 『つらい時もあったけど、グラフで状況が明確だから逃げ道がなくて、結局やりとげた』と知人は言われたそうです。

2》事業も同じではないかと社長は思った
 体重よりも自社事業の赤字で苦しむA社の社長は、その時、かつて聞いたセミナーで知った、
予算管理の大切さを連想的に思い出した
のです。特に講師が『苦しい時期には、まず予算で黒字化をイメージできなければ実際にも黒字にはならない。予算で黒字化の見通しが立てば、意外に結果も黒字になる』と言い切った部分を、鮮明に思い出したわけです。
 そこで、減量に成功した知人のように、自分も
業績目標を予算として作り、それに実績を重ね合わせながら、差を埋めるように調整して行けば、現在の赤字地獄から抜け出せるのではないか
と考えました。しかし、その考えはスタートからつまずきます。

3》予算の作り方が分からない
 それは『予算の作り方が分からなかった』からです。体重のようにシンプルなもので、しかも15kg痩せようと数値まで決まっていればやりやすいでしょうが、業績の見通しをたてるというのは、何から考え始めればよいか分かりません。
 いくつか本を読んでもみましたが、ややこしいことが書いてあるばかりで、何かピンと来ません。結局参考にしたのは、異業種交流会で親しくなったB社社長の話でした。


【3】実践的な“予算管理”のための売上三分割法


1》業績予想を三つに分けて考える
 B社では、予算を作る際に、まず売上を三分割して考えるところから始めるのだそうです。その第一領域は、
①ほぼ確実に見込める売上
です。すでに受注の約束ができていたり、過去数年間、あまりブレないで売れたりしたものがここに入ります。B社の社長はこの部分を“売上確率80%以上の部”と呼んでいるそうです。
 第二領域は、B社の呼称では、
②売上確率五分五分の部
です。それは売上が見込めるとも言えるし、見込めないとも言える部分です。一応、いくらぐらいは売れると“期待を数値に置き直せる”ことが条件だそうです。

2》意外に大切な第三領域
 そして大切なのが第三領域で、これは
③純粋な“期待”値
です。赤字のA社の場合なら、上記の①と②では黒字化に届きません。そこで、期待値を加えて黒字の収支表を作るのです。B社の場合は長年黒字経営が続いていますから、目標額を定め、その目標に足りない部分を③として数値化しているそうです。
 ただ、そんな“机上の空論的数値”に意味があるのでしょうか。A社の社長も最初は非常に疑問でした。ところが、その疑問が最初の一年で氷解したのです。

3》毎日予算表を眺めた
 売上を決めた後、原価や経費を売上対比で作りました。これは過去の業績数値を参考に、比較的容易に置くことができたようです。もちろん、必ずそのとおりになると確信ができたわけではなく、想定しやすかったというだけです。
 そして新しい“決算期”が始まります。A社の社長は、減量に成功した知人の言葉を忘れず、
『極端なことを言うと毎日予算を見直した』
と言います。見直したと言うのは、順次売上が確定して行くに伴い、売上三分割の数値を順次組み替えたということで、売上高や利益額自体を日々変更したわけではありません。


【4】明確な“数値認識”は効果的“行動”を呼ぶ!


1》あらわれた一つ目の成果
 最初の成果は三カ月目頃に現れたそうです。それはむしろ“危機”でした。80%以上の確率で大丈夫と考えていた先が業務縮小に走り、同社への売上が半減することになったからです。
 予算の三分割ががらりと変わってしまいました。目標は遠のくばかりです。そこで社長は、その埋め合わせ先を必死になって探し始めたのです。
 かつて名刺交換した先を、その会社のホームページで一軒一軒チェックし、何か提案できそうな案件を探しました。『あんなに必死になったことは珍しい』と振り返るほど、懸命に売り込み先を考えたのだそうです。

2》“一軒”売れた!
 その必死さが通じたのでしょうか。名刺を頼りに電話をした先が1軒、既存のシステムを購入してくれることになりました。予算には織り込んでいなかった“快挙”です。
 しかも、その1軒に売った商品を、ダイレクトメールで他の名刺交換先に紹介すると、数件の引き合いが生まれました。社長は『結局、失った売上より、新規に獲得した売上の方が多く、それで一気に勢いづいた』と、当時を振り返られます。
 通常なら危機意識は持っても、不安に陥るだけで終わりそうな事件が、数値管理をしていたために、
マイナスを取り戻す行動を誘発する
結果になったわけです。

3》空白部分を埋める!
 一つの行動が実って、予算を眺める日課が面白くなった社長は、第三領域として単純な期待値のまま残している部分を、現実的な見通しで埋めてしまいたくなりました。
 そこで、社内の人材を総動員し、
既存の取引先への追加販売
新規の取引先への新規販売
に分けて、見込み先リストを作り、売り込み商品を決め、アプローチ・スケジュールを定めて、片端から取り組んで行きました。行動あるところに成果がついて来るのは自然な結果です。


【5】社長の行動変化が“組織”と“業績”を変えた


1》“利益主義”への自然な移行から…
 毎日のように業績数値を眺める社長は、だんだん
値引きによる拡販では、むしろ利益確保は難しい
という現実を具体的数値で捉えるようになります。そのため、取引先と粘り強く価格交渉ができるようになったのだそうです。
 そうなると『様子見をしていればA社は値段を下げてくる』と考えていた取引先が“観念”するようになり、徐々に五分五分領域の商談が促進されました。
 しかもその粘り強さは外注先との交渉にも生かされ、原価が下がる一方、納期が短縮されて販売機会が更に拡大したのです。

2》変わる社内の風土
 社長の行動変化は、そのまま社内に伝播し、
売れない言いわけが減り、ムダな出張や商談が減り
結果として予想外のコストダウンにつながった
そうです。
 『大変だったけれども成果があった。苦しい思いもしなければ、なかなか成果が出ないのはダイエットも経営も同じだろう。それが分かっただけでも、よかったと思う』と社長は言われます。その謙虚さの中に成功者の力強さを感じてしまいます。

3》予算は“行動”を変えるもの
 以上のように、予算管理は日々“目標と現実のギャップを直視し、そのギャップをうめる行動を促進する”ものであり、そうでなければ意味がありません。そのため、コンピュータなどで法則的に数値作りをしたものではなく、
一つ一つの数値を実践的に考える
ことが大事なのです。
 今回の事例では、売上拡大をイメージしやすい経営者を取り上げましたが、売上分析と同じように、コストを①絶対必要、②五分五分必要、③削減目標に分けて日々管理し、目標にあわせて行く方法も考えられるでしょう。コスト管理で価格競争力がつけば、必然的に売上拡大も容易になるはずです。
 いずれにせよ、シンプルな3分類で行動を促進する…、そんな努力法が想像以上の成果を生み出すもののようです。

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2006年のマネジメント最大の焦点は“新会社法”施行の影響…か?

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【1】2006年を一層“激動化”させる?“新会社法”
【2】簡単に新会社ができるとビジネス界は混乱?
【3】混乱回避のための情報公開義務が新たな問題か?
【4】事業承継対策にも“微妙”な影響が…
【5】新会社法の積極的活用を狙うケースも出る!


【1】2006年を一層“激動化”させる?“新会社法”


1》2006年は財政再建の年?
 これまで、政府が掲げる構造改革の象徴的テーマであった郵政民営化法案が成立し、政府の路線は徐々に、
財政再建
の方向に向かっているようです。もっとも普通国債だけでも500兆円を超える債務を抱えている今日、財政再建が急務であることは当然ですが、それは必然的に、
減税の廃止や税負担増、あるいは社会保障の見直し
などの形で、私たちにマイナスの影響を与えます。消費税も含め、今後税制改訂の行く先には予断を許しません。
こうした変化につきましては、本年も十分なウォッチを行い、適宜、皆様にご報告してまいりたいと思います。
そうした中で、まずとり上げたいのは“新会社法”です。

2》新会社法の2つの効果
 新会社法は、簡単に捉えれば“株式会社の設立を容易にする”制度です。そもそも財政が赤字になるのは、経済が不活性で国の税収が減ったからだとも言えるわけですから、それなら、
会社の数を増やして経済に勢いをつければよい
という発想が生まれても当然かも知れません。
 しかし、そこには成り行き上2つの問題が生まれます。その1つは、新会社設立の促進は、好むと好まざるとにかかわらず、既存の会社にも多大な影響を与え、その対応に追われる懸念があるということ、つまり“新会社法のマイナス効果”です。
 そしてもう1つは、新たに認められた権利を既存会社も活用できるという“新会社法のプラス効果”でしょう。以下、順を追って考えてまいります。

3》その前に“新会社法”とは何なのか
 その前に次項【2】で、新会社法自体の内容を改めて整理しておきましょう。その内容の重要ポイントを整理するだけで、実はこの法律が、
現実の経営スタイルや企業資産の捉え方に直接影響する
ものであることが、実感できるからです。そこでまずは新法の考え方の骨格部分を捉えることといたします。


【2】簡単に新会社ができるとビジネス界は混乱?


1》施行は2006年5月頃?
 新会社法は、2005年7月にすでに公布されていますが、実際に適用が始まる“施行”は、法務省のホームページでは2006年5月頃の施行となる予定だそうです。
つまり2006年初夏以降、株式会社の基本的な権利義務が大きく変わることになるわけです。何が変わるかにつきましては、
1人で1円の資本金から株式会社が設立できる
株主配当が容易にできるようになる
などの特徴が強調されますが、それは新規設立会社のみならず、既存の株式会社にも様々な影響を及ぼし得ることなのです。

2》“活力”と“乱立”は紙一重
 その最大のマイナス効果懸念は、会社の乱立です。従来なら株式会社には一定の社会的信用がありましたが、今後は、
取引先が株式会社でも信用に値するかどうか分からない
と“疑いながら”活動しなければなりません。特にインターネットの中で、大企業と中堅中小企業の垣根が急速になくなりつつある昨今、信用力のある会社とない会社の混在は、取引の混乱のもとになりかねないのです。
 しかも従来、社名登記に制限があった『同一・類似商号の禁止』がなくなり、不正の意図が立証されなければ、
老舗企業類似の名称を1円資本金“新”会社につける
こともあり得るのです。地域内活動では問題は小さくても、インターネット上の社名混同は大変危険で、ある企業では、
社名とロゴを新たに商標登録してでも防衛する
方法を今から計画しているのだそうです。

3》会社の“財産”も柔軟に変わる…?
 また株式会社の“配当”は、株主総会の決議によっていつでも可能となり、自社からの配当受け取りは機動的になるものの、取引先もいつ剰余金などを配当で社外に流出させるか分からず、
いつも目を光らせていなければならない
ケースも生まれるかも知れません。
 簡単に設立して簡単に倒産させられる会社ができれば、取引に使う神経は否が応にも高まらざるを得ないのです。


【3】混乱回避のための情報公開義務が新たな問題か?


1》決算“公告”義務
 こうした混乱は、すべての株式会社が“決算を公告”することで収拾されると法令は考えているようです。従来もあった“株式会社の決算公告義務”は、新会社法施行に合わせて特段に強化されると考えられます。
 もちろん株式譲渡制限会社(現在の未上場企業の大半)でも、毎年決算書を作成しているわけですから、それを公告すればよいのですが、公告のプレッシャーは決して軽いものではないはずです。今後株式会社は、中小企業であっても“公の器”としての義務が強化され、大きなルールの中に飲み込まれて行くことになります。

2》情報公開はプラスにもマイナスにもなり得る!
 もちろん、実際上は“新会社法”施行後の細かい取り決めや産業界の動向などに注目して行く必要がありますが、長期的には情報公開促進は避けられないと捉え
最低限でも適切な決算を“公表前提”ですすめる
ことが、今後非常に重要になって来るわけです。
 同時に、取引先や同業社の“決算を読む目”を養えば、業者選定や競合先との競争法にも、従来とは異なる観点が織り込めるようになるかも知れません。まさに、
数値を読む力の強弱でプラスにもマイナスにも働く
のが、決算公告などの情報公開制度なのです。
こうした状況下で、株式会社は任意に“会計参与”を置くことができるようになります。会計参与には税務または会計の国家資格が必要ですが、会社と第三者に対して社外取締役とほぼ同等の責任を負うため、企業にとっては適正会計のために、重要な“ポスト”になるかも知れません。

3》従来の有限会社は…
 新会社法施行後、従来の有限会社は株式会社へ移行することもできますが、そのまま何の手続きもせずに、特例有限会社に留まることができます。
株式会社に求められる“決算の公告”も、特例有限会社には適用されません。


【4】事業承継対策にも“微妙”な影響が…


1》株式に対する取り扱いが簡単になるということは…
 更にはたとえば、企業が臨時株主総会を開いて、あらかじめ譲渡人(会社に株式を売却する人)を指定せず、いつでも自社株を取得できるようになることで、
事業承継の際に問題だった納税資金を作りやすくなる
可能性もあります。相続発生後、会社が後継者の株を買い上げれば、後継者に納税資金が渡るからです。
 あるいは後継者がいない会社の経営者が、自社を他社に吸収合併してもらい、その
対価を現金で受け取って老後資金を作る
ことも容易になります。その吸収合併先が後継者の作った新会社なら、それは新しい事業承継手法になり得るかも知れません。

2》相続トラブル回避策には見直しが必要なケースも…
 また自社株が後継者とその兄弟で分割相続されるような場合、従来なら“相続トラブル”が生じかねないとされてきました。しかし新会社法では、相続等で株主が変わった場合、会社がその株式を売り渡す請求ができるように“定款”で定めることができるようになったのです。
 従来の代償分割(後継者が株式や事業資産等を自分の相続分を超えて相続し、その代償として自分の財産を他の相続人に渡す遺産分割制度)より飛躍的に簡素化されるわけですが、
そのため従来の対策自体を根本的に見直す手間が発生する
ことになります。場合によっては、生命保険契約なども検討し直す必要が出るかも知れません。

3》過剰反応せずに動向を注視
 同族企業、オーナー型企業、未上場企業など様々な名で呼ばれてきた中堅中小企業も、徐々にその“特殊性”を失おうとしています。もちろん、すべての特質が失われるわけではありませんが、従来の特殊性の上に立った“諸対策”の存在価値は、今後ますます微妙になって行くかも知れません。
もちろん過剰反応するのではなく、今後の動向に十分な注意を向けながら、必要性や効果が大きなものから順に、着実な対応を図る必要があるということを忘れるべきではありません。


【5】新会社法の積極的活用を狙うケースも出る!


1》新会社法“族”の登場?
 たとえば経営コンサルティングのF社では、従来なら雇い入れて役員にするような人材に、個別に株式会社を設立させて企業グループを形成するという経営形態をとっています。個々の人材の創意工夫をタイミングよく市場で展開するためには、小さな組織に分散した方が“機動力が増す”からだそうです。役職ではなく“独立会社”を任される人材は、従来よりも数倍“責任を持って考える”ようになるとも言います。F社の展開は新会社法施行により一層促進されるでしょう。
今後“新会社法”のプラス面を活用して、責任あるポストの社内人材の“実力主義評価制度”を更に徹底して、独立制度によって機動力を高めようとする会社も増えるでしょう。

2》あわてずに“動向を追う”姿勢が必要
 新会社設立ではなく、既存会社経営の視点に立つと、やはりどうしても新制度には、メリットより手間や不安が見えてしまうのは当然でしょう。本レポートも、どちらかと言えば、デメリット的な感覚が多くなりました。しかし、制度は“使い様”で、メリットにもデメリットにもなるはずです。しかも実際の施行細則いかんでは、様々な対応の余地も生まれるため、まずは落ち着いて、正確な情報を得る姿勢が重要でしょう。
 今にも世界が変わるかのように騒ぐ人もいるようですが、何が変わるかが具体的に見極められないうちは急ぐべきではなく、逆にそれが見えた時点では、躊躇することはないのです。

3》継続的フォローをいたします!
 冒頭に申し上げた税制面も含め、2006年も弊事務所では、皆様方に世の中の流れに応じた“経営情報”をお伝えして参ります。環境問題、高齢化問題、財政赤字など、ベースとしては、やや重苦しい課題を抱える“変革”や“改革”が続く中で、重要なテーマを見失わず、
経営の指針やヒントを虚心に得て行く
ことは、現代のように複雑な時代には、ますます重要になると考えるからです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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