会社設立に強い税理士・会計事務所/神戸市中央区 -5ページ目

意図的に“余裕”を持つこと それが実は“組織活力”の源泉…?

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【1】駅での待ち時間…、なぜそんな話をするか?
【2】人材の“やる気のなさ”と関係しているから
【3】やる気向上のために業績目標を下げるのか?
【4】意図的な“余裕”には想像以上の効果がある!
【5】“無理”が生む目に見えない利益破壊の回避策


【1】駅での待ち時間…、なぜそんな話をするか?


1》不可解な待ち時間
 東京都内を走る地下鉄“東京メトロ”(元営団地下鉄)の路線に千代田線があります。この線は、東京の西側では代々木上原(よよぎうえはら)という駅で小田急線(私鉄)に乗り入れ、東京の東側では綾瀬(あやせ)駅で、茨城県水戸を超え、宮城県の岩沼市にいたる常磐線(JR)と乗り入れています。
 もちろん、東京の地下鉄が水戸や岩沼まで直通運転することはありませんが、途中にある千葉県内の人口集中地である松戸(まつど)や柏(かしわ)を経て、我孫子(あびこ)くらいまでは、そのまま走ります。つまり、都心の赤坂駅で地下鉄に乗れば、眠ってしまっても千葉のJR駅の一つである我孫子まで行けるわけです。
 ところが、ほとんどいつも綾瀬の駅で、不可解な待ち時間を経験することがあるのです。

2》急いでいる時は不快だが…
 千代田線の電車は、綾瀬駅からJR常磐線に乗り入れて、千葉へ向かおうとする時、1分前後、駅で動かないことがあります。現在は変わっているかもしれませんが、車掌アナウンスは、
この電車は○時○分の発車です
というだけで、それ以上の説明はしません。急いでいる時は、その空しい?停車時間にイライラしますが、当然それは、
地下鉄とJRのダイヤ調整
であることは分かります。千代田線は、上野を始発駅とする常磐線に、綾瀬という途中駅から“割り込む”形になるからです。

3》なぜそんな話をするか…
 綾瀬駅での待ち時間はダイヤの調整弁の働きをし、そのため兵庫県の尼崎市で2005年4月25日に発生したような悲惨な電車事故を回避できる働きを持つものです。尼崎市の電車事故では、会社の体質など抽象的な事柄ばかりが指摘として目立ちますが、遅れを取り戻す調整弁を持つだけで、避けられたかも知れません。そして、そんな調整弁の重要性は電車事故のような悲惨なものばかりではなく、企業の日常の業績獲得活動にさえも、大きな影響を与え得る“具体的発想”なのです。


【2】人材の“やる気のなさ”と関係しているから


1》営業マンにやる気がない?!
 OA機器やオフィスの機材を販売しているA社のK社長の嘆きは、『営業マンにやる気がない』というものでした。それは、
『もう一歩がんばれば売れるのに…』
という印象なのだそうです。
 たとえばプリンターを購入した顧客に消耗品としてのインクを定期的に勧めるフォローを怠っているとか、顧客を訪問した際に“今どんな機器を使っているか”を観察して来ないというものです。『客が何を持っているかを知らなければ、提案もできない』というのがK社長の嘆きでした。

2》何とか実現しようとする意欲の喪失
 もちろん営業マンの意欲不足や経験不足は確かに問題ではありますが、それ以前にA社には、非常に厳しい販売目標の問題がありました。販売目標があまりに厳しいため、営業担当者は
『4月から始めて7月頃まではがんばるが、その時点でどうがんばっても年間目標を達成できないことが分かると、後は、がんばりようがない』
という感想を持つケースもあるそうです。
 K社長は、そうした負け犬意識?が嫌いで、あきらめかけた営業マンに激しい指導をするわけですが『やってもしかたがない』状況に追い込まれた後では、厳しくされればされるほど、やる気を出すより自閉してしまうのが人の常でしょう。

3》目標を下げることがやる気を引き起こす場合も…
 厳しい目標(ノルマ)のために、A社では営業担当者の定着率は非常に低く、それが顧客との信頼関係を形成できない原因になるという悪循環に陥っていました。
 それに気付かれたK社長は、ある年“目標の引き下げ”を断行したのです。年間目標達成が困難になった営業マンに、
どの程度ならできるか
を検討させ、妥協できる水準になるまで何度も検討をさし返した後で、年度目標ではなく“見直し目標”を達成すれば、それなりの“評価”をすることを約束したわけです。
 しかしK社長には“不安”がありました。


【3】やる気向上のために業績目標を下げるのか?


1》目標引き下げが定着したら意味がない!
 K社長の最大の不安は、
毎年目標の引き下げを問題にするなら、
当初の目標設定自体が無意味になりかねない
ということでした。年度初めの1~2ヵ月がんばって、それでできなければ、後は目標を引き下げればよいという風潮が組織に定着すると、それこそ“さらにやる気がそがれてしまう”からです。
 もちろん心理的には、実は『できもしない高い目標より、もう少しで達成できるという目標の方が人はやる気を出す』ものなのですが、もしそうだとしても、一度決めたことを安易にひるがえすのは、人の心が弱くなるという意味で、好ましいとは言えないでしょう。K社長の心配は自然なものです。

2》苦肉の策の“キャリー制度”
 そこでK社長は再び一計を案じます。それは、
引き下げた目標以上の成果をあげた場合、
目標を超えた部分は来期の業績にキャリーしてよい
というプランでした。つまり50件成約目標があって、55件成約すれば、5件は来期分にカウントできるということです。
 要するに“自動車のハンドルの遊び”のようなものを作ったわけです。その効果は意外にも絶大で、営業担当者は今期の目標達成ばかりではなく、来期の“貯金”を作るために、目の色を変え始めたのだそうです。それは想定外のことでした。

3》余裕を作ろうという“目標意識”の強さ
 この話には、流通業のB社も製造業のC社も同感されました。それは『ぎりぎりのところに人を追い詰めると、一つの失敗で緊張の糸が切れて人は自暴自棄か無気力に陥るが、一定の目標を達成してさらに余裕を積み重ねようとすると、人はどんどん貪欲に活動するようになる』ということです。
 『だから、最低限どれだけ必要かの目安をたて、それに余裕を持たせて年度計画を作り、それを超えたら“余裕”の作り方を考える、その方が前向きで活力のあるアイデアが生まれる』のだというわけです。


【4】意図的な“余裕”には想像以上の効果がある!


1》単なる“精神論”に終わらないために…
 もちろんA社、B社、C社の共感はある種“精神論”に聞こえますが、実はそこには重要な背景がありました。
 A社のK社長が、従来のやり方ではダメだと気付かれたベースには、実践的な経営計画を作ったという“取り組み”があったのです。経営計画として将来業績を計算する中で、まずK社長は、『営業マンの定着率の低さが大きなコストになっている』ことに気付かれ、さらには『営業マンの定着なしに顧客との関係を広げることが難しい』という実感を得たと言われます。
 『もちろん考えれば分かることだが、
数値を作るという具体的な行動を取り始める
と、漠然と考えるだけでは分からないことがいくつも見え始める』とも、K社長は言われます。

2》最低限のラインも決めやすい
 もちろん経営計画は、営業マンのためばかりに行うのではありません。K社長は、
『経営計画に取り組んでみると、今までどうやって年度目標を決めていたか、そっちの方が不思議になる。漠然と前年以上の業績にする、などと決めていたのだろうと思うが、それが結局無理を生んで利益を殺していた』
と振り返られます。
 考えようによっては、企業は長期的に好ましい利益を獲得し続けられているかどうか、あるいは長期的に利益を獲得し続けられる力を確実につけているかどうかが大事なのであり、前年実績を超えるだけが成功ではないのです。

3》事業における“余裕”の価値
 たとえば上記のB社では『販売商品を絞り込んで意図的に売上を落とし、経費も削減して利益を出した。それで自信がついたから、来年は新しい売れ筋商品を導入して成長を狙う』といわれます
 一旦売上を下げるという“余裕”を持ち、それでも利益は落とさないという“がんばり”を失わなければ、その分事業は強くなって目に見えない“発展力”が生まれるのかも知れません。


【5】“無理”が生む目に見えない利益破壊の回避策


1》目に見えない経営“事故”
 逆に、尼崎の悲惨な列車事故の大きな原因の一つは、遅れを取り戻すための“余裕”がなかったことにあるように思います。最新鋭の安全装置がなくとも、また組織全体の体質改善や運転者教育の抜本的見直しがなくとも、
キーとなる駅(ここでは尼崎駅)に至る直前区間を走る
ダイヤの余裕があと1~2分あれば
つまり、もっとゆっくり走っても遅れを取り戻せる区間を最後に作っておけば、運転者の無理やあせりは避けることができたということです。
 企業経営では、必ずしも電車事故のようなあからさまな事件は生じませんが、この手の“余裕を軽視する”取り組みは、実は組織の“やる気を根こそぎにしてしまう”という、目に見えない事故を起こしているのかも知れないのです。

2》無理の発見とその回避は…
 そうした悲劇的な“状況”を生む経営上の無理は、ちょっと先を読む経営計画の策定から見つかることが少なくありません。本格的な戦略計画ではなく収支見通し的な計画でも、単なる数値遊びではなく、『これを実現するのはちょっと厳しいなあ』という発見につながりやすいということです。
 しかも今期の業績だけではなく、2~3年の業績を見通しますと、今期に無理して来期の業績に悪影響を与えるより、
段階的に業績を積み上げて行けばよい
という、ある種の“余裕発想”を持つ基盤を形成することも容易になるはずです。

3》大切な計画的経営
 電車のダイヤ同様、昨今の経営は大きな競争の中でどんどん余裕を失う傾向にあるかも知れません。しかし、冒頭でご紹介した東京地下鉄の綾瀬駅の待ち時間のように、習慣化してしまえば、意外に余裕を持つ可能性は広がるものです。厳しい環境の中で、それでも余裕を持つことのメリットを考えれば、経営計画のように単なる数値遊びに見えるものにも、深い意味があることに気付かされるのです。


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社会“不安”の内容変化がビジネス・マネジメントに残す“教訓”

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【1】ついに“治安悪化”が社会不安のトップに…
【2】会社の通帳と印鑑と“時間”を盗んだ知能犯

【3】もっと詳しく知ってから…、では遅すぎる!

【4】マネジメントでも同じことがないだろうか?
【5】マネジメントには2つの流れが不可欠


【1】ついに“治安悪化”が社会不安のトップに…

1》内閣府の世論調査では…
 2005年4月に内閣府が発表した“社会意識に関する世論調査”の結果によると、日本社会が“悪い方向に向かっていると感じる”事項の中で、調査開始以来初めて治安悪化がトップに立ったとされます。そこで、下に2000年調査と2005年調査における“悪化している項目ワースト5”を比較してみました。
 これによれば確かに、他の4つは『景気』『雇用』『環境』『財政』で代わり映えしないものの、突如『治安』がトップ入りした光景が歴然とするのです。ただ2000年調査でも『治安悪化』は第6位に位置するのですが、第5位に『社会的風潮』が入っていることからわかるとおり、社会に対しては治安よりも風潮の方が多くの人に不快感を与えていました。



1

2》不安の“質”が異なってきた!
 しかし、最近の治安悪化への懸念は犯罪の数が増えたことよりもむしろ、その犯罪の“質の悪さ”による恐怖心の増大からきていると言えるかも知れません。
しかも特に、報道などで目立つ凶悪犯ではなく、窃盗などの“経済犯罪”に目を向けると、防犯は“気をつける”という程度の意識では果たされず、むしろ組織のマネジメント力そのものが問われているとさえ感じるのです。

3》人の意識の“虚”をつかれる!
 それは、以前ならば犯罪はとにかく防止することだけを考えておけばよいというのが基本でしたが、最近では、
犯罪に遭遇した、その“後”にどうするかが問題になった
と言えるからです。やられる前だけではなく、やられた後が問題だということです。たとえば、計量機器販売のA社では、次のように“複雑”な手口の犯罪被害を受けました。


 【2】会社の通帳と印鑑と“時間”を盗んだ知能犯


1》早朝の侵入犯
 都市部の住宅密集地域にあるA社が受けた犯罪被害は、いわゆる泥棒でした。しかし、その手口の巧妙さを見ると『震えてくる』と、A社の総務部長が言われます。その手口とは、概ね以下のようなものだったそうです。
 A社では通常、総務部の事務員が8時25分に出社します。その事務員の方は、毎日同じ電車に乗るため、出社時間も一定しているのです。その事務員さんが、会社の入り口にある扉に、いつものようにキーを入れると、これが回りません。おかしいと思って引き抜こうとしたら、引き抜くこともできないのです。
 事務員さんが鍵穴と奮闘していると、いつものように次々に社員の皆さんが出社してきました。しかし、何が起こっているか分からず、ただ玄関口で呆然とするばかりです。

2》2階の窓が…
 総務部長が出社したのは8時50分前頃で、異常な事態を見て、とにかく非常口から入ろうとしたのですが、そこでもキーが抜けなくなってしまいました。パニックになりながら、ふと見上げると、2階の窓が破られているのです。
 大慌てで、若手社員に壁をよじ登らせて、破られた窓から中に入れました。しかし鍵は内側からも開けられず、はしごを探して総務部長が窓から中へ入れたのは、ようやく9時20分。中で金庫が破られ、小口現金のほかに、預金通帳と印鑑が盗まれていたことが判明しました。ただちに警察には連絡したものの、銀行に電話をした時には、もう10時近くになっており、口座からは多額の預金が引き出された後だったそうです。

3》入り口の鍵穴に流し込まれていたものは…
 鍵穴にさしたキーが抜けなかったのは、そこに強力接着剤が流し込まれていたからでした。犯人は、
鍵穴に接着剤を流し込んで、盗難発見を遅らせるとともに、
パニック状態にし、その間に銀行口座からカネを奪った
わけです。
 総務部長が『背筋が寒くなる』と言ったのは、そんな犯人の巧妙さと計画性でした。


【3】もっと詳しく知ってから…、では遅すぎる!


1》総務部長の無念
過去に窃盗被害の経験があった総務部長は、金庫にはほとんど現金を置いていませんでした。そして、通帳は金庫に印鑑は鍵がかかった引き出しに、別々に保管していたのです。
 しかし、机の中の印鑑が盗まれているかどうかをチェックしなかったために対応が遅れたことは否めません。安全策を講じていることが裏目に出たかも知れません。しかも、
自社の銀行口座番号を覚えているわけではない
ために、当初は銀行に電話すべきかどうかも迷ったそうです。そんなわずかの時間のズレが大事を招いてしまったのです。

2》何が“問題”だったか
 更に総務部長は『後から、もっと早く警察に電話していればよかったと言われましたが、多分警察が来ても同じように中に踏み込んで何が起こったかを確認したと思います。問題は警察への通報ではなく、私たち自身の行動なのです』と言いながら、
『しっかり頭の中が整理されていないと、
いざという時には、あわてるだけで何もできない』
と指摘されるのです。そして、頭が整理されていないため、目の前の“事件”を、もう全て終わったかのように思い込んでしまい、“次に何をしなければならないか”に思いが及ばなかったことが最大の問題だと言うのです。
しかし『しっかり頭の中が整理されている』とはどういうことでしょうか。そしてそれは、どうすれば実現するのでしょう。

3》頭の中を整理する…?
 総務部長が言われるのは、こういうことです。入り口の鍵が開かなかった時点で、冷静に考えれば、それが泥棒であれ何であれ、異常であるという“事態”は明確です。だから、本当に泥棒かどうかを確かめる前に、
念のために銀行支店に顔を出し、
はっきりするまで口座の出納を一時停止してもらう
ことができていたら、大事はなかったということなのです。
 『もっと詳しく知ってから…』ではなく、今知っていることで何ができるかを考える方が重要だと言いたいわけです。


【4】マネジメントでも同じことがないだろうか?


1》社長の号令で…
 ところが泥棒のような巧妙な犯罪への遭遇ではなく、日常的なマネジメントでも『もっと知る』ことを優先してしまって、今できることを軽視するケースが少ないとは言えません。
 たとえば資金繰りの悪化が、徐々に目立ち始めたB社では、『原因究明と早期改善』の社長命令の下、役員会で継続的な改善策検討がなされていました。ところが、現実を見ると、
キャッシュフロー管理の本を読む役員や、他社の改善事例を調べる部長などの他、誰も現実を見ていない
ことが、すぐに明らかになったのです。
 勉強が悪いとは申しませんが、まずできることを見つけ出さなければ、泥棒の前に呆然と立ち尽くすのと変わりません。

2》現実をチェックすれば“答”が出た!
 そんな中で、B社の社長の“業績チェック”が始まりました。月々の試算表から始まって、特に巨大化している売掛金の条件を一つ一つ見直して行ったのです。
その結果、最も儲けが大きいと考えられ、最も営業現場が売りやすいと感じていた商品が、最も金食い虫だったと分かります。その商品は、マージンはよくても支払条件が悪いため、売れば売るほど利益は増えても、資金は不足するという構造を持っていたわけです。
 こうなると、資金ショートを緩和するためには、その商品の売り方を考えなければなりません。実際には、様々に検討が重ねられたのですが、結論としては、
その商品を若干値下げして、現金決済に極力近づける
ことで、改善成果をあげました。

3》勉強よりも“今できることを探せ”
 資金繰りでは一応の成果を出したものの、改善検討に参画できず、結果として“勉強”だけに終わった役員会メンバーに、社長の怒りが爆発しました。
 それは『本を読むより現実を調べろ!』『他社を見るより自社を見ろ!』というもので、もちろん正論そのものなのですが、もう一歩先の感覚も必要かも知れません。


【5】マネジメントには2つの流れが不可欠


1》勉強か現実かではなく…
 マネジメントには、勉強か現実かではなく、両方が必要なことが少なくありません。たとえば泥棒に入られたA社では、若手が泥棒被害の実態を把握している間に、総務部長が銀行に走るという同時並行が必要だったでしょうし、B社では徹底したキャッシュフローの実態調査と、キャッシュフロー管理学習の両方が必要だったと思います。
 なぜなら、B社では確かに主力商品の売掛金問題は軽減されましたが、投資に関する優遇税制利用で、当期の納税額を削減するという方法は思いつかれなかったからです。前者は調査で明らかになりますが、後者では確かな情報収集が必要です。

2》学びが増えれば気付きも多い
 もちろん、緊急事態を前にして、本を読んだり他社事例を調べたりするのでは、手遅れになるケースは少なくありません。しかし日常的な学習は、
気付きを増やして現実把握を促進する
ものだと思います。
 A社の泥棒の話でも実は近くの警察署が同様の手口を“ちらし”で紹介しており、日々の“防犯学習”を怠らなければ、
あっ、鍵穴に接着剤を流し込む泥棒の手口だ
と気付き、すぐにでも銀行に“走る”ことができたでしょう。

3》実態把握と学習の両者のご支援が私どもの役割
 私どもの会計事務所では、防犯に関するご支援はできませんが、キャッシュフローや業績管理、あるいは税金を必要以上に納めないための諸施策などを、
御社の実態を捉えながら推進するためにご支援をする
ことが重要な役割だと考えています。そして、そのために、今後も様々な形で“実践的な情報発信”を行って行きたいと考えています。
 しかし、成果は私どものご支援だけで出せるものではございません。日々の確実な業務遂行や相互コミュニケーションに関し、更なるご協力関係を実現させて行きたいと考えています。


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激動時代の新しい経営キーワードは…“うまく”やるより“長く”やる!

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【1】“お好み焼屋”と“レストラン”の悲喜
【2】偶発的な経営者“緊急座談会”?
【3】経営力の基礎は“大きさ”から“長さ”へ
【4】“うまく”やるより“長く”やるのが大切な時代!
【5】“長く”やれる事業創りの“基礎”になるもの


【1】“お好み焼屋”と“レストラン”の悲喜


1》大通り沿いのお好み焼き屋
 ある都市の幹線道路沿いに、お好み焼き屋がありました。テーブル16席に10席程度のカウンターがあるだけの小さな店でしたが、立地もよく繁盛していました。
 ところが、その隣にレストランができました。しかも、そこは一流店を退職したシェフが本格料理を振舞う店で、味もなかなかのものだったのです。当初、お好み焼き屋のオーナーは、
料理が違うから客層も違う。そんなに競争にはならない
と思っていたそうです。むしろ『2店になった方が、客寄せができてよいのではないか』と楽観視していたほどです。
 ところが、1年もしないうちに事態は深刻化します。

2》周辺のマンション完成で…
 マンション・ブームで近隣に次々に、新世帯が増えるにつれ、レストランは連日満員でもお好み焼き屋は閑散とする日々が続くようになりました。マンションの住人は、イタリア料理を好んでも、お好み焼きは食べないようなのです。
 しかも、満席のレストランとの対比で、
お好み焼き屋の閑散としたイメージが更に客を遠ざける
という悪循環に入ってしまいました。『隣のお好み焼き屋、いつ閉店するかなあ』などと、レストランで噂話をする客も増えるほど“陰と陽”が対峙していたのです。
 ところが事態は再び“回転”します。

3》今度は、お好み焼き屋が連日満席?
 しばらくして、その幹線道路沿いに商用ビルが完成しました。今ブームになっている通信販売関連企業の自社ビルですが、そこには常時3千人前後の従業員やパートが働いています。
 その3千人の新顧客層が殺到したのは、レストランではなくお好み焼き屋でした。原因は商用ビルの中に大型の“フレンチ・レストラン”があったことです。安くて美味しいビル内レストランは、それまで繁盛していた近隣レストランと“かぶって”しまいます。外で食べるならお好み焼き…、いつの間にか、そんな風潮が定着し、お好み焼き屋は連日満席になっていたわけです。


【2】偶発的な経営者“緊急座談会”?


1》お好み焼き屋の圧勝は続くか…?
 建設業や出版業、あるいは商店や医者など、様々な形で経営やビジネスにかかわる人が多い、その地域では、最近、
お好み焼き屋は再び“落日”する
という噂話で花が咲くことが多いのだそうです。
 その理由は、店内に清潔感がないこと、テーブルと椅子が良いものとは言えないこと、焼きあがるまでに時間がかかり過ぎることだと言います。関西でなら(最近は分かりませんが)、お好み焼き屋に清潔感は求めませんし、客が自分で焼くスタイルが普通ですから待ち時間も気にしません。しかし当地域では、
すみませーん。これどけてくださーい!
などと、油で汚れた“店の備え付け雑誌”を指差したり、ティッシュペーパーで、テーブルの油汚れを丹念に拭いたりする客が、OLばかりではなくファミリーにも多いのです。

2》何が大切なのか…
 閑散とし始めた元繁盛レストランの中で、隣の繁盛店の“再”落日を肴に酒を飲みながら、ある日、経営者仲間で、ちょっとした議論が発生しました。建設業の経営者Aさんの話から始まったのです。それは、
『バブルで儲けて、その後どん底で、やっと最近のマンション・ブームで息を吹き返したと思ったら、瞬く間にブームが去って行く。落日という意味では、うちはお好み焼き屋の“一歩先”を行っているかな』
という冗談とも本気ともとれない言葉からでした。それが、
『大企業が倒産したり、経済の帝王的な人が逮捕されたり、そういう悲惨な事件をこんなにたくさん見てしまうと、自分の事業についても考えさせられる。昔は、事業を大きくすることが成功だって、素朴に思えたのだけどなあ』
という出版業のB社長の話で、本格的な“議論”を呼んだわけです。

3》事業の“成功”って何?
 そしてその“議論”は、“事業の成功とは何か”というキーワードから、“急展開”を見せました。


【3】経営力の基礎は“大きさ”から“長さ”へ


1》大きなものが強かった!
 うどん屋チェーンを経営するCさんが、話の流れを受けて、
『昔は事業を大きくすれば、それがそのまま強さの象徴だった。強くて負けない事業は永続する。だから、事業を大きくすることばかり考えていた。ところが、最近増やしたチェーン店の一つででも、O-157のような事件が発生すれば、チェーン全体のイメージダウンで、本体の存続まで怪しくなる。店を増やしてチェックが難しくなった分、逆に事業は弱くなっていると感じることが多い』
と言い始めました。
 しかし、それは話題の源となっているレストランとお好み焼き屋の話に通じているのでしょうか。

2》永続させる努力が不足している!
 チェーン店経営のCさんが言いたかったことは、事業、あるいは経営といえば規模拡大や売上拡大ばかりが先行して、
多少の浮き沈みはあっても永続できる“強い事業”を創る
という意識に欠けていたのではないか、という反省でした。
 お好み焼き屋は、最近の繁盛を背景に、土日返上で店を開けていますが、客がテーブルを拭いたり、不潔感が漂う備品を嫌がったりしていることに気付かない…。それはやはり、売上拡大に夢中で、永続する強い商売にしようという思いが薄いのだということです。

3》冬の時代を生き抜いた時は立派だったのに…
 しかし、隣のレストランが繁盛して、閑散としていた時期を乗り越えたお好み焼き屋のパワーを侮ることはできません。しかも、以前繁盛していた時期に店内リフォーム提案を受けた際、
『今後どうなるか分からないから資金を使いたくない』
として、お好み焼き屋のオーナーは改装を断ったのだそうです。
 その慎重姿勢が、どん底になっても“資金不足”を起こさずにがんばれた原動力になりました。『しかし、それが今度は客離れの原因になる。もう改装しないと限界だよ』と言うCさんの熱の入った言葉に、しばし一同沈黙をしてしまったそうです。長い沈黙の後、商店主のDさんが話し始めました。


【4】“うまく”やるより“長く”やるのが大切な時代!


1》必要な“継続パワー”
 商店主Dさんの話を要約すると、D商店はこれまで常に、長くやることばかりを考えたと言います。世の中が財テクやバブルで騒いでいる時も、バブル崩壊後の値下げ競争の中でも、長く生き残るためにはどうするか、ばかりを考えたそうなのです。それが(謙遜なのでしょうが)、自分の店のような小さな事業を健全に育ててきた基礎だと言うわけです。
 だから、もっと規模が大きいビジネスでも、目先のことに一喜一憂せず、継続パワーを増せるかどうかに焦点を絞って考える必要があるのではないかと提言したわけです。

2》改装投資が永続パワーを生むかどうか
 “長くやるって?”、と聞く仲間に、Dさんが指差したのは、ついこの間まで繁盛していた“落日レストランのオーナー・シェフ”でした。シェフが平気な顔をしてニコニコしていられるのは、浮動客がどんなに減っても、店を離れない固定客を大切に思うからですし、その思いから、
固定客が注文するメニューを充実し、浮動客が好む料理を
品切れにして、食材の仕入れもしていない
という工夫をしているからなのです。
 それを聞いたシェフの『だって、いつまでもこうやって、皆さんが話に花を咲かせられる店でいたいじゃないですか』という言葉には、店を長生きさせるために、あえて自分の得意料理を品切れにした経営感覚と心意気が垣間見えるのです。

3》継続する強さを正面から考える時代
 経営環境は激変を続けています。“食”のような安定ビジネスでも、栄枯盛衰が数年単位で繰り返される時代なのです。しかも、規模が大きいとか大きなチェーンを持っていることが、必ずしも強みにはならず、かえって経営不安を増すことさえないとは言えません。
 そんな中で、継続するパワーを獲得するために、私たちは今、何を考える必要があるのでしょうか。


【5】“長く”やれる事業創りの“基礎”になるもの


1》施策や手法は千差万別
 お好み焼き屋の内装投資回避の例を引き合いに出すまでもなく、事業を継続させるための施策は千差万別でしょう。しかも、時期や状況により、改装を控えたから資金を保ててよかったとか、改装しなかったから客が遠のいた(そのため売上が減り資金がなくなった)など、同じ施策が、ある時には効果的で別の時には逆効果であることも少なくないのです。
 そうした中では、特定の施策や手法にこだわり続けるのではなく、その時々で最高の施策を選び出す“経営眼”を養うことが大切でしょう。

2》“経営眼”を養う視点
 経営眼の基礎として最も大切な視点は、
資金管理=キャッシュフロー管理
だと思います。施策や手法は時とともに、あるいは経営環境とともに変化しますが、事業の基礎となる資金は、その役割を急速に変えることはないからです。急速に変わらないものこそ、激動期には“経営を冷静に評価する”尺度になるはずなのです。
 改装をすれば一時的に資金はなくなりますが、改装後の増販で、それは簡単に取り返せるかも知れません。もちろん逆もあり得ます。そのために、資金の増減を基礎に、経営プランを立てて先行きを“読む”姿勢を蓄積することが大切なのです。
 もちろん、経営プランは“あてが外れる”こともありますが、たとえ外れた時でも、『行き当たりばったりで行動する時より、はるかに実情が見えて、早急な対処を取りやすくなる』と、言われるケースが少なくありません。

3》一つの視点で全体を見る!
 “木を見て森を見ず”という言葉があります。それは一本の木(たとえば目先の売上)ばかりを見て、森(将来の事業)を見ないことを戒めるものですが、逆に“森を見ないでも土を見ていれば木々の健康は手に取るように分かる”と言う人もいます。その“土”にあたるのが、事業では“資金”ではないかと思えるのです。森の土ならぬ事業の資金について、今後もご一緒に考えて行きたいと思います。


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