そんなことが“黒字化”を実現?予算管理が事業を変える! | 会社設立に強い税理士・会計事務所/神戸市中央区

そんなことが“黒字化”を実現?予算管理が事業を変える!

☆☆ レポート概要 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【1】“赤字”続きに苦しんだA社に変化のきざし!
【2】行動開始の“引き金基準”を作った…?

【3】実践的な“予算管理”のための売上三分割法
【4】明確な“数値認識”は効果的“行動”を呼ぶ!
【5】社長の行動変化が“組織”と“業績”を変えた


【1】“赤字”続きに苦しんだA社に変化のきざし!


1》値下げ競争に巻き込まれて…
 ここ数年、値下げ競争に巻き込まれて、システムの設計製作業を営むA社は“赤字続き”でした。2004年から顧客企業の景気は回復傾向にありますが、価格競争は終わらず、すぐに赤字解消には至らなかったのです。
 しかし2005年の決算では収支を均衡させることができ、2006年の決算見通しでは、予想以上の黒字計上が可能になるようです。いったいA社に何が起きたのでしょうか。さっそく社長に、詳細を伺ってみました。

2》特別なことは何もない?
 新商品を出したり、リストラをしたり、特別な施策を打ったのかという質問に、社長は『特別何もしていない』と答えます。もちろん、本当に何もしていないわけではないでしょうが、
際立った施策があるのではない
ようなのです。
 では“黒字化”は偶然なのでしょうか。もちろん決して偶然ではなく、それは
社長の日常的な“行動”変化の成果
でした。

3》きっかけは“ダイエット”の話
 社長がご自身の経営姿勢を考え直すきっかけは、意外にも、知人の“体重減量(ダイエット)の成功”だったと言います。太り過ぎで医者から注意を受けた知人は、何と
1年間で15kgの減量に成功した
のです。しかも、そこには特別な秘策があるわけではなく、
実現できたのは毎日朝晩必ず体重計に乗る
という日常の“習慣付け”のおかげだそうなのです。
感覚的に“大丈夫だろう”と感じているだけでは、思わぬ食べ過ぎをしがちですが、毎日客観的に体重を測定すると、
食事療法や運動で調整せざるを得なくなる
ため、日々の生活自体が変わると言うのです。『夕食前に太っていることが分かると、自然に夕食は減らすし、食後に運動するものだよ』と知人は言ったそうですが、それだけでしょうか。


【2】行動開始の“引き金基準”を作った…?


1》行動開始の引き金基準
 もちろん朝晩体重測定をしても、目標値がなければ夕食を減らすほどのインパクトは生まれません。知人はまず、
1年間の15kg減量目標を、右肩下がりのグラフにし、
その上に毎日の実際の体重を書き込んで比較した
そうです。そして、目標グラフの体重を越えると調整をし、超えなければ『気持ちよく食べた』のです。
 右肩下がりの目標体重を超えると“行動”を起こす、という意味で、それは“行動の引き金”になりました。この行動が蓄積すると、しだいに実際値が目標値に近づいて行きます。
 『つらい時もあったけど、グラフで状況が明確だから逃げ道がなくて、結局やりとげた』と知人は言われたそうです。

2》事業も同じではないかと社長は思った
 体重よりも自社事業の赤字で苦しむA社の社長は、その時、かつて聞いたセミナーで知った、
予算管理の大切さを連想的に思い出した
のです。特に講師が『苦しい時期には、まず予算で黒字化をイメージできなければ実際にも黒字にはならない。予算で黒字化の見通しが立てば、意外に結果も黒字になる』と言い切った部分を、鮮明に思い出したわけです。
 そこで、減量に成功した知人のように、自分も
業績目標を予算として作り、それに実績を重ね合わせながら、差を埋めるように調整して行けば、現在の赤字地獄から抜け出せるのではないか
と考えました。しかし、その考えはスタートからつまずきます。

3》予算の作り方が分からない
 それは『予算の作り方が分からなかった』からです。体重のようにシンプルなもので、しかも15kg痩せようと数値まで決まっていればやりやすいでしょうが、業績の見通しをたてるというのは、何から考え始めればよいか分かりません。
 いくつか本を読んでもみましたが、ややこしいことが書いてあるばかりで、何かピンと来ません。結局参考にしたのは、異業種交流会で親しくなったB社社長の話でした。


【3】実践的な“予算管理”のための売上三分割法


1》業績予想を三つに分けて考える
 B社では、予算を作る際に、まず売上を三分割して考えるところから始めるのだそうです。その第一領域は、
①ほぼ確実に見込める売上
です。すでに受注の約束ができていたり、過去数年間、あまりブレないで売れたりしたものがここに入ります。B社の社長はこの部分を“売上確率80%以上の部”と呼んでいるそうです。
 第二領域は、B社の呼称では、
②売上確率五分五分の部
です。それは売上が見込めるとも言えるし、見込めないとも言える部分です。一応、いくらぐらいは売れると“期待を数値に置き直せる”ことが条件だそうです。

2》意外に大切な第三領域
 そして大切なのが第三領域で、これは
③純粋な“期待”値
です。赤字のA社の場合なら、上記の①と②では黒字化に届きません。そこで、期待値を加えて黒字の収支表を作るのです。B社の場合は長年黒字経営が続いていますから、目標額を定め、その目標に足りない部分を③として数値化しているそうです。
 ただ、そんな“机上の空論的数値”に意味があるのでしょうか。A社の社長も最初は非常に疑問でした。ところが、その疑問が最初の一年で氷解したのです。

3》毎日予算表を眺めた
 売上を決めた後、原価や経費を売上対比で作りました。これは過去の業績数値を参考に、比較的容易に置くことができたようです。もちろん、必ずそのとおりになると確信ができたわけではなく、想定しやすかったというだけです。
 そして新しい“決算期”が始まります。A社の社長は、減量に成功した知人の言葉を忘れず、
『極端なことを言うと毎日予算を見直した』
と言います。見直したと言うのは、順次売上が確定して行くに伴い、売上三分割の数値を順次組み替えたということで、売上高や利益額自体を日々変更したわけではありません。


【4】明確な“数値認識”は効果的“行動”を呼ぶ!


1》あらわれた一つ目の成果
 最初の成果は三カ月目頃に現れたそうです。それはむしろ“危機”でした。80%以上の確率で大丈夫と考えていた先が業務縮小に走り、同社への売上が半減することになったからです。
 予算の三分割ががらりと変わってしまいました。目標は遠のくばかりです。そこで社長は、その埋め合わせ先を必死になって探し始めたのです。
 かつて名刺交換した先を、その会社のホームページで一軒一軒チェックし、何か提案できそうな案件を探しました。『あんなに必死になったことは珍しい』と振り返るほど、懸命に売り込み先を考えたのだそうです。

2》“一軒”売れた!
 その必死さが通じたのでしょうか。名刺を頼りに電話をした先が1軒、既存のシステムを購入してくれることになりました。予算には織り込んでいなかった“快挙”です。
 しかも、その1軒に売った商品を、ダイレクトメールで他の名刺交換先に紹介すると、数件の引き合いが生まれました。社長は『結局、失った売上より、新規に獲得した売上の方が多く、それで一気に勢いづいた』と、当時を振り返られます。
 通常なら危機意識は持っても、不安に陥るだけで終わりそうな事件が、数値管理をしていたために、
マイナスを取り戻す行動を誘発する
結果になったわけです。

3》空白部分を埋める!
 一つの行動が実って、予算を眺める日課が面白くなった社長は、第三領域として単純な期待値のまま残している部分を、現実的な見通しで埋めてしまいたくなりました。
 そこで、社内の人材を総動員し、
既存の取引先への追加販売
新規の取引先への新規販売
に分けて、見込み先リストを作り、売り込み商品を決め、アプローチ・スケジュールを定めて、片端から取り組んで行きました。行動あるところに成果がついて来るのは自然な結果です。


【5】社長の行動変化が“組織”と“業績”を変えた


1》“利益主義”への自然な移行から…
 毎日のように業績数値を眺める社長は、だんだん
値引きによる拡販では、むしろ利益確保は難しい
という現実を具体的数値で捉えるようになります。そのため、取引先と粘り強く価格交渉ができるようになったのだそうです。
 そうなると『様子見をしていればA社は値段を下げてくる』と考えていた取引先が“観念”するようになり、徐々に五分五分領域の商談が促進されました。
 しかもその粘り強さは外注先との交渉にも生かされ、原価が下がる一方、納期が短縮されて販売機会が更に拡大したのです。

2》変わる社内の風土
 社長の行動変化は、そのまま社内に伝播し、
売れない言いわけが減り、ムダな出張や商談が減り
結果として予想外のコストダウンにつながった
そうです。
 『大変だったけれども成果があった。苦しい思いもしなければ、なかなか成果が出ないのはダイエットも経営も同じだろう。それが分かっただけでも、よかったと思う』と社長は言われます。その謙虚さの中に成功者の力強さを感じてしまいます。

3》予算は“行動”を変えるもの
 以上のように、予算管理は日々“目標と現実のギャップを直視し、そのギャップをうめる行動を促進する”ものであり、そうでなければ意味がありません。そのため、コンピュータなどで法則的に数値作りをしたものではなく、
一つ一つの数値を実践的に考える
ことが大事なのです。
 今回の事例では、売上拡大をイメージしやすい経営者を取り上げましたが、売上分析と同じように、コストを①絶対必要、②五分五分必要、③削減目標に分けて日々管理し、目標にあわせて行く方法も考えられるでしょう。コスト管理で価格競争力がつけば、必然的に売上拡大も容易になるはずです。
 いずれにせよ、シンプルな3分類で行動を促進する…、そんな努力法が想像以上の成果を生み出すもののようです。

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会社設立支援:神戸の柴崎公認会計士・税理士事務所