シャルルの亡骸 -3ページ目

5:さぁ、裏切りのベルを鳴らせ!

始めにお詫び…。
前回のお題を一つ欠番してしまいました。せっかくのお題を出来なかったこと、本当に申し訳ありませんでした。
一生懸命考えてくださったお題を今後はこのようなことがないように努めたいと思います。
本当にすみませんでした。


*****
微妙に黒雨風?みたいなお話です。
っていうか、きっと雨丸にとっては裏切るも何も最初から仲間なんて思ってないんじゃ…と
思ったら負けです…!


*********************************






裏切りってなぁんだ?

 

 

 

くすくすと囁かれた声が風に乗って、耳に届く。

塞いでしまいたい。今からでもそれは遅くない。塞いでしまえばいい。ついでに目も閉じて、何も見えなくしてしまえばいい。そうしたら。そうすれば。きっと――――。

 

こんな絶望を知らずにすむのに。

 

 

「な…んで、だよ…。お前は、俺のパートナーだろ…?」


声が震える。喉が凍りつく。なんて情けない。

課の班長たる自分が、こんなことでは示しがつかない。

そんなことを思っても誰もそんなことを気にしないだろうけど。

だって、今この場に立っているのは、否立っていられるのは自分とパートナーだったはずの彼だけなのだから。


「ん~そうですね。確かに、俺はあなたとパートナー関係にありました。ただ一つだけ、語弊がありますね。俺は“あなたの”パートナーじゃないですよ」



あなたが”俺の”パートナーだったんですよ――――。

ふふっと楽しそうに笑う彼との距離は僅か一足分。ほんの少し歩を進めれば、掴める距離。

だというのに、その距離が果てしなく遠いのは何故だ。


「ね、王太班長。今、どんな気持ちですか?」

「どんなって…」


どんなって何だ。今抱いてるこの感情に言葉を付けろというのか。こんなにも荒れ狂った胸の内は言葉になんて言い表しようもない。

それは正に、想いの裏切り――――。

いつまでも黙っている王太に、雨丸は一歩進んで耳元で囁いた。

 

 


「さぁ、絶望という名の舞台の始まりです。裏切りの開幕ベルから始まるなんて、すっごく素敵な舞台でしょう?」



 

瞬間。膝から力が抜け落ちて、地面に手をついた。そうか、この感情は…。

 

砂利を踏む音が聞こえた。瞬時に、男前を掴んで刀を出す。金属と金属がぶつかる高音の音が響く。

顔を上げれば、残酷に笑う雨丸が銃を片手に男前と鍔迫り合いをしていた。


「それでこそ、王太班長ですよ。観客をがっかりさせないようきちんと踊ってくださいね?」

「はっ、冗談。お前こそ、最期まで舞台から降りるなよっ!」


思いっきり力をこめて、銃を押し返す。きいんと甲高い音が響く。

身軽に後転して、雨丸が間合いを計る。王太が刀を構え、雨丸を睨みつける。






カーテンフォールには、まだ早い。

舞台は今始まったばかり。

 

 

さぁ、裏切りの開ベルを聞き逃すな

 

 

 

《彩雨長編》5:さぁ、裏切りのベルを鳴らせ!


【4:失われた時の中で求めたその正義とは】の続きです。












―――もういいかーい?



―――まーだだよ。



―――・・・もういいかーい?




―――もういいよ!






【5:さぁ、裏切りのベルを鳴らせ!】






「護衛・・・ですか?」


「いや、今回のは護衛じゃなくて護送。ただ守るだけじゃなくて、移動しながら守らなきゃなんねーんだ。まあ簡単に言えば前回の任務よりもワンランク上の任務だな」


「ワンランク上、ですか・・・」


「そんなにキバんなって雨丸! 俺達は空港まで連れて行くだけだからよ!」



王太に背中をパシンッ!と叩かれた雨丸は。
その威力に一瞬「うっ!」となりながらも、いつもの笑みを浮かべて「はい!」と答えた。

しかし一歩前を歩く王太についていきながらも、その表情が僅かに曇っている。
その原因は、前よりも大変な任務というのも一つの理由だが、本当の理由は護衛対象の人物。

先日、雨丸達が護衛を頼まれた人物でもあり、別の犯罪に絡んでいるかもしれない人物。


前の事件のあと、彼の元に一通の手紙が届いたのだ。
その手紙の送り主は、先日彼を殺そうとしていたけれどもWSによって捕らえられた女性。
どうやら犯行を犯しに行く前に手紙を送っていたらしい。

彼女自身、自分が成功するとは思っていなかったのだろう。

その手紙の内容は、犯行予告。
自分が失敗した時のために、プロの殺しにも依頼をしているとのことだった。


一般人とプロとの犯行では大きく違う。


その依頼が真実かどうかはわからないが、いつどこで狙われているか解らない恐怖に。
男性は国外へと逃げることにしたのだ。

彼は、専用の護衛を持ってはいるが、やはり心配だったのだろう。
国を出るまでの護衛にWSを依頼してきたのだ。


そして今日は、その護送対象の出国の日。


罪を犯したかもしれない人物が逃げ出す、日―――。


何かが胸にわだかまる。
本当にそんなことをしてもいいのかと心が叫ぶ。

けれども、自分が考えていることは全て憶測でしかなくて。


何かが胸にわだかまっているのを気にせず、与えられた任務に集中するために、雨丸は自分の両頬を叩いた。






□□□






「うわーやってくれたね、依頼人。ま、WSがどれだけ護衛しても、ボク達はボク達の仕事をやるだけだけどね?」



ね、彩花―――?



楽しそうな声が静かに響き渡る。
そんな蜜歌の声に、隣に立っていた彩花は珍しく笑みを浮かべながら答えた。



「そうですね―――」


「あれ、今日はやけに楽しそうだね?」



「―――――とても・・・素敵な日になりそうな予感がするんですよ」



何かを思い浮かべるように、愛しむように浮かべるその笑みに、蜜歌がピクリと反応する。
けれどもそれ僅かなもので、蜜歌は彩花にばれない様に誤魔化した。


けれども、突然彩花が何かを小さく呟いたのが聞こえた。


何を呟いたのかは聞き取れなかったけれども、タイミングがタイミングなだけに。
蜜歌は自分の先ほどの反応がばれてしまったのだろうかと少し身体を強張らせたのだが。

当の本人である彩花は由良と比良、そして氷魚が向かった建物を見つめていた。



「どうしたの?」



蜜歌が少し心配気に尋ねるが、彩花はその見つめている先に集中していて―――。




蜜歌は何かのデジャビュを感じた気がした。




けれども最近の出来事を思い出してみても、彩花が自分の言葉を聞き流したり無視したことなどなくて・・・。



・・・最近じゃない・・・・・・?



ゆっくりと蜜歌の意識が昔へと遡り、見つめる彩花の背が何かと重なりだす。

それはまだ彩花の髪が肩より少し長い時の頃。
周りには木々が生い茂っていて。
薄暗くて。
自分はこうやって、別の方向をじっと見つめている彩花の背を見ていて。



『どうしたの・・・?』



何も無い、木だけが立ち並んでいる方向を見ている彩花が気になって声をかけたけれども、彩花はこちらを気にしてはいなくて。



『・・・・・・見つけた』



そう、呟いて―――走り出したのは―――――。




思い出したッ・・・!




10年前の『あの時』と同じ状況に、蜜歌の中で焦燥感が沸き起こる。
あの時は自分のパートナーが側にいたこともあるけれど、彩花にそのまま置いていかれて。

彼にとって自分は、世界のその他でしかないのだと思わさせられた瞬間だった。

でも今、自分のパートナーは彩花で、彩花のパートナーも自分で。
置いていかれるわけが―――。



「見つけた・・・・・・ッ!」



あの時と同じ声と言葉が蜜歌の耳に届く。
そしてそのまま、蜜歌が側にいることすらも忘れているかのように、彩花は走り、蜜歌から離れていった。


直後。
何かが始まり、終わるのを伝えるかのように。


彩花が向かっている建物の上部が爆発し、音が鳴り響いた。


比良達が仕事を開始したのだろう。


離れたところで、その爆発による粉塵をじっと見つめる蜜歌。
もちろん側には、さきほどまでいた彩花の姿はない。


それは。

あの時と同じ光景―――。



「置いていかれないわけが、ないのにね―――――」



誰に聞かせるわけでもなく呟く声には、何の覇気も込められていない。

蜜歌自身、雨丸が見つかった時からこうなることは解っていたのだ。
ただ。
そうなった日にちが早まっただけで。


蜜歌は、何も見たくないかのようにゆっくりと目を閉じ。
そのまま上に顔を上げて、瞼を開いた。


場所が場所なため、瞳に映るのはあの時のような満天の星空では決して無いが。
高く聳え立つ建物の隙間から見ることの出来る空には、ポツリポツリといくつかの星が光っているのが見えた。


重なってはいるが、全く同じではないその光景に。


あの頃とは同じではなく、けれども何も変わっていないことを改めて思い知らされる。


時間が経てば何かが変わると信じていた自分は、なんて愚かなのだろうか。



―――さて、これからどうしようか?



今更、縁の一員として普通に働くなどという事は出来ない。

・・・なら。




「―――彩花に、殺してもらおうかな」




爆発による騒ぎが起こっている中、蜜歌の綺麗な声が空に響き渡った。






□□□






「―――――なあ、あの女にいくら貰ったん、だ? その倍・・・いや、十倍払ってもいい・・・!! だから助けてくれ!」



耳に届く、男性の声。
でもその言葉に興味もなければ、その存在すらにも関心はない。

ただ己の眼に映るのは、大切な、限りない愛しさだけがこみ上げてくる人物のみ。




―――ねえ、大丈夫だよ。


ボクがいるから。ずっといるから。


たとえ、身体が離れてしまっても、必ず見つけるから。絶対に心までは離れないから。


心配しないで? 不安にならないで?



だから君も―――。



ボクの手を取って―――――?




「見つけた・・・・・・こんな所に隠れていたんだね、めぇ―――」




場に相応しくない柔らかい声が天井の無い建物に響き渡った、その直後。



鈍い銃声音が一つ、音を立てた。






―――全ての出来事に意味があるのだとしたら、この音が示すのは何?






→『6:綺麗事はゆびさきで紡いだ』


4:失われた時の中で求めたその正義とは


いつもながらギリギリ。

今回はあまり書いたことのない人と彩花さんでお送りします。

けどあの人にしろ王太にしろ何かの訓練であんな強さを手に入れられるなら(素質等の問題はあろうけども)縁の意味が薄れる感じがするんですが。

あの二人はどうしてあんなに強くなったんですか先生・・・・!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





罪を赦し給え!
願わくば彼の者に安らぎの終焉を。
その御手に救われる事を赦し与えたまえ。
神よ。
もし彼が貴方の存在を信じることが出来たなら!!












別人だと自分が思ったのはしょうがないことだろう。
自分が知っている彼らは、いつも二人でいたからだ。
あまり周囲を寄せ付けない片割れ。
まるで半身をとられることを拒絶するように、彼はいつも半身の傍に居た。
だからこそ片割れが彼の傍にいないことはありえないと思っていた。
女装していたので、気づかなかったと言うこともあるが。
それでも最後に会った時、同じ色彩の瞳は柔らかく穏やかに。
彼とは違う瞳。
同じなのは、色彩だけ。
片割れ以外のパートナーなんて、彼が認めるはずがない。


『貴方の正義とはなんですか』


気まぐれだったのだろう過去の質問。
彼が他の者に自分から話しかけるのは、とても貴重なことだった。
自分たちとは違い、半身を重んじる。
だからと言って、自分たちが片割れを蔑にしていたわけでもなく、ただ、意思を尊重しただけ。


『誰かのための行いが正義ですか。
 自分の欲のためにしたことは悪ですか。
 欲望は突き詰めれば希望であり願いです。
 そして「誰か」の為に起こした行動も、最終的には自分の欲に繋がります』


では、悪とは何か。
正義とは、一体何を指すのだろう。


『この子と一緒に居たいと願う事は罪ですか』


自分たちと違った形の絆が、そこにあった。


『ボクは、貴方たちみたいに強くなれない』


コワイんですよ。
亜麻色の髪を撫でながら呟いた彼の姿は、普段の大人びた彼とは違う。
自分たちと同じ十にも満たない『こども』だった。



















王女の付き添いで、また日本の地を踏み、栄児と話す機会を得た。
自分の隣には、今護るべき相手。
目の前にはWSの上層部の女性と、栄児が一人。
近くにもう数人エイジが控えているが、今自分が話す相手はソファの後ろに控えている子どものみ。


「WSの・・・いや、お前の正義とはなんだ?」


自分の正義は何かと。
問うた瞳だけが同じだった。
その色彩が生きていることを知ったのは、少しだけ前の話。


「誰かのための行いが正義か?自分の欲のためにしたことは悪なのか?
 欲望は突き詰めれば希望であり願いでもある。
 そして『誰か』の為に起こした行動も、最終的には自分の欲に繋がる」


社会の秩序を重んずるならそれも良いだろう。
それがWSの仕事だと言うのなら。
だが、それを認めるのならば、あちらの言い分も検討する余地もあるはずだ。
ないとはいえないだろう。
お前たちが『正義』なら、不公平を甘んずるなよ。


「『この子と一緒に居たいと願う事は罪ですか』と、あの時問われた意味が今はよく分かる」


只管。
彼は願いの為にまっすぐで。
あぁなんて純粋な絆だろう。
道を別つことも出来ただろう事を、かれはけしてしなかったのだ!


「裁けるのか?WSが、お前が」


自分だったら、もし少女が何処かへ連れて行かれたなら、地の果てでも追いかけていく。
個人の感情は罪だろうか。
集団の感情は正義だろうか。
何かに縛られたそのラインで判別しろと言うのなら、この世界で彼らは何処で生きていけばいいのだ。


「先に奪ったのは、そちらだというのに」


記憶を。
彼を。
そのまま一緒に連れていかせていたら。
こんな事態にはならなかっただろう。
心配そうに自分を見上げた少女に、柔らかな表情で微笑を向けて。


「私や、彼からしたら『罪人』はお前たちWSだ」


その同じ表情で、一つ、彼らの中では見つかるはずもない罪状を、
考えられるはずもない罪を青年ははっきりと突きつけた。













もし神がいないなら、代わりに私がお前たちが『正義』でないと宣告してやろう。

『正義』など、この世界にあってたまるものか。



『アルゴさんも縁の一人だったら』

ちなみに彼の片割れは別の国で護衛役を務めているという裏設定。

3:シャボン玉のように消えたその願いを探す

捏造おーいえー。

寿と雨丸です。

お題の『探す』が既に過去形。

文体を少し変え見ましたので読みにくいやもしれません。

あ、あと十分・・・・!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







あの人のいるところにもきっと海はあるのだろう。白と光に反射してまぁ青色に見えなくもない濁りと透明が寿の足元をさらって行く。悪戯に遊ばれている髪が目の際へ及ぼうが、唇へとその筋が張り付こうが、彼女はピクリとも動かなかった。いつも、置いていかれる。そう思っていても、彼が泣かないかぎり少女が泣くことはけしてなかった。彼。は、けしてなかない。『海へ行こう』と日差しが強い夏の日に海へ行こうと彼が言った。潮のにおい。日の光が肌を焼き。青色は眩しき時間を涼やかな音と共に埋め尽くして。あぁ、二度と訪れる事のないあの世界は、水平線の向こうにあるのだろうか。揺れる車体の中で睡魔と闘う自分が洩らした一言に、あの人がまるで妹との会話を楽しむように微笑んで『来年も、皆で行こう』と儚い言葉を紡いだのを、記憶の欠片として自分はまだ持っているのに。あの人はもう二度と此処へ還って来ない。彼の元へも。自分の場所にも。水平線の向こうへ消えてしまった亜麻色の笑顔が、波と共に海のそこへと沈んでいく。あぁ、さよなら、さよなら、さよなら。ささやかな夢。穏やかな瞳。もう二度と遇うことは無いでしょう。探すことも諦めました。音はけして紡がないけれど。ココロにだけなら、その四文字を浮かべても構わないでしょう?だから変わりに音にするのは別の四つ。波が引いていく感覚と一緒に、この言葉もあの人の所へ届けばいい。「うそつき」あなたがそちらへ行くと言うのなら。私は、私世界を守るまで。今度こそ、誰一人失くさないように。





















「・・・めぇ?」
「んー」


淡い色彩の貝殻を一つ拾って、亜麻色の青年は猫のように目を細めた。
足元には寄せる波。
暫くの間貝殻と波を視界に移していた青年は、ふっと笑って振り返りざまに貝殻を海へと放り投げる。
小さな死骸を青色の中へと捧げるように。
欠片を沈めていくように。
空へ投げられた淡い色彩が、太陽の光に一瞬だけ煌めき、青色に融けるのを見届けもせず、
自分を呼ぶ声の方へ足を向けた。


「バイバイ」


未練なんて、何も無く。
ただ波の音だけが情景を誘って―――・・・・・・












消えた願いはささやかな事だったのに
     それすらも探すことをやめてしまった。

失われた時の中で求めたその正義とは

次、というか続きです。


今度は、雨丸と引き離されてすぐの彩花?


彩&蜜歌

かなり、荒れております。彩花の感情が。


なんだかまともな文章じゃない気がするんだけど、気になる方のみ進んでください。












どうして。

あの時手を取ってあげる事が出来なかったんだろうか?


大事な。

大事な。


かけがえの無いパートナーだったのに。


喪ったら生きてなんかいけないと。

そう、分かっていたのに。


引き離されることが。

何よりも恐ろしいことだったから、これを選択したのに。


どうして、君はここに居ないの・・・?











失われた時の中で求めたその正義とは











WSに入り込んできたあのバカとしか言いようが無い、あいつらと取引をしたのは。


めぇが無意識にだったけれど。

外に出たがっていたことを知っていたから。


いつも居る部屋が。

私達の居るべき場所で、与えられた場所で、居なくてはならない場所だと知っていたけれど。


明るい外に。


めぇが惹かれていたのを知っていたから。


だから、選択をした。

外へ進むことの出来る、道を。


その結果が。

パートナーの喪失・・・・・・。











「彩花。どうするの? これから」


「蜜歌・・・・・・」


真音が、めぇの死を告げてきたその瞬間に。


殺していた。

パートナーである蜜歌の目の前で。


あの時、私にパートナーを殺されて。

それでも私と共にあることを望んだ蜜歌を。


私は呈の良い人形にしてめぇの代わりに仕立て上げる。


めぇが見つかれば処分して。

見つからなくともWSへの丁度良い復讐の材料にして。


「蜜歌・・・。これを取り付ける前に、一応確認して差し上げます」


「何を?」


「私と共にあることを、後悔しても遅いということを理解していますね?」











私は貴方を見てあげることは無いでしょう。


私のめぇは貴方では在りません。

人形にして傍に置いても、貴方がめぇに替わることはありえません。


貴方は、私の為にすべてをささげることになるでしょうか、私は貴方に何かを返すつもりなどさらさら有りません。

めぇが見つかれば貴方は要らない。


まぁ。

見つからなくとも、私は貴方を捨てます。


WSを道連れにしてもらいますが、ね。


私は、愚かな選択故にめぇを喪ってしまったようなものです。

貴方は目の前でパートナーを捨てた。


もう、戻れない場所に私も貴方も居ます。


でも、一度だけ聞いてあげましょう。


私の傍らで、私の人形として、道具として生き続けることを。

途中で辞めることはしませんね、と・・・・・・。











「しないよ。彩花。めぇの代わりに、WSを壊すまでずっと隣に居るよ」


「愚かですね、蜜歌。でも・・・・・・ありがとうございます」


手に持っていたそれを、蜜歌の首に付けながら私は答えた。




私からめぇを奪った貴方達から、私は世界を奪ってあげますよ。


正義と言われて、良い気になって。

間違いなどありわしないと考えているお前達WSに。


正義など何処にもないのだと叩きつける。


人など。

人間など。


感情や見方しだいで、正にも悪にもなる。


貫くことが出来る一定の正義と言う名の定義は何処にも存在していないのだから。




それが、私の見つけた。


私の真実であり。

私の正義だ―――・・・・・・。