太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?
内容「BOOK」データベースより
大人気シリーズ・ビブリア古書堂の事件手帖も第6弾!固定ファンを獲得している事から新刊発表の度に特設コーナーが設置されるという人気ぶり、しかも本書が発売されると作中で登場する作品も売れるというのだから本屋さん出版業界には嬉しいシリーズ作品ではないでしょうか?残念な事に、前作5弾と今作のあとがきでビブリアシリーズは終盤であと1,2作品で完結と書かれています・・・これはファンだけでなく、出版業界の痛手といえるでしょうが、残る作品を是非とも楽しみたいものです。
あくまで予想ですが、完結してもスピンオフ系か短編形式で復活するのではないかと思っています^^
第6弾にしてミステリーに磨きが掛かった印象を受けます!過去の作品に関しては正直な所、古書関連の膨大な知識や取材力を使ったゴリ押しで出来た謎が使用されているなどと一般的な読者にはついていけない推理が必要なので、謎解きやミステリーとしては微妙に感じる所がありました。しかし今回は違いました!あまり多くを語るとネタバレになってしまいますので触りだけ・・・
ビブリアシリーズは古書関連の事件と、主人公二人の恋愛模様という二つの要素が魅力の作品ですが、今作はこの二つの要素を見事にミステリーに絡めてきた印象を受けます!謎解き部分に専門的な知識は必要ではなく、きちんと読んでいれば納得のいくミステリーを書いている。シンプルなんだけど登場人物の台詞や情報、相関関係を考えていけば謎にたどり着く事ができるという云わば王道ミステリーなのです。シリーズ6作品目にして、シンプルだけど面白いって感じさせるミステリーを書くのはやはり凄い事ですね、過去作品の中で一番ミステリーらしい作品だったといえます。つきあい始めて、ちょっとおのろけの二人にニマニマするだけではなく、ちょっと注意深く観察していましょうw
さて、シリーズ通しての物語は・・・残すところ栞子の母子の確執といった大きな題材が残っているだけなので当然母子を絡めた物語展開だろうと予想していたのですが・・・その前にワンクッション置いたなって感じるのが今作品でした。母子の前に、主要登場人物の祖父母世代の物語が登場する内容、人気シリーズの延命ではないか?と最初は疑ったのですが、まぁ上手に登場人物の相関関係を膨らました印象も受けますので、これはこれで母子の物語への足固めをした一冊だったのだと後々評価できる作品になるのではないかと読後には感じています。 また、母子の対決を前に栞子の意思表明が顕れた作品でもあります!本書は古書関連の事件が勃発する物語ですが・・・古書を手に入れるためならば手段を選ばないとする偏愛狂(コレクター)が多数登場する物語、主人公の栞子自身もその気質を持ち合わせており、その母はもっと色濃くなっている事から母子の確執が生まれています。そんな二人の決闘・決着を前にして栞子はどんなスタンスで望むのかを明確に示しています!これは胸熱の展開ですね♪
今までどこか陰や危ない雰囲気を出していた栞子が見事脱皮した印象でしょうか、シリーズは好きなんだけどなんだか栞子がちょっと・・・なんて人もこれで払拭されたのでは?この変化も是非楽しんでいただきたいものです。物語も終盤・佳境突入です、どうなることやら楽しみです。
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014-12-25)
売り上げランキング: 337




