『幻の女』 ウィリアム・アイリッシュ | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった……ただ一人町をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。彼は気晴らしにその女を誘ってレストランで食事をし、カジノ座へ行き、酒を飲んで別れた。そして帰ってみると、けんか別れをして家に残してきた妻が、彼のネクタイで絞殺されていた! 刻々と迫る死刑執行の日。唯一の証人「幻の女」はどこに? サスペンスの詩人の、不滅の名作。


内容紹介より


妻殺しの嫌疑を掛けられた男、離婚必至の夫婦仲という動機に加えて絞殺の凶器は彼のネクタイ!状況証拠は完全に分が悪い男だが・・・絶対的なアリバイがあった!夫婦喧嘩の後に彼は街に繰り出し、バーでオレンジ色の奇妙な帽子を被った女と出会っていた、互いに素性を一切明かさずに時間を共有する事だけを目的とした男女・・・男は本来妻と向き合う為に準備していたディナーと演劇鑑賞をその女と共有した・・・はずだった。


帰宅後に妻の死を知り、逮捕された男。その夜のアリバイを強く主張するのだが・・・バーにディナー場所、そして演劇場の全ての関係者が口を揃えて男は1人で居たと言う、最初から存在していなかったの如く消え去った女・・・アリバイ消失というミステリに死刑宣告というタイムミッリットが迫る!果たして幻の女は存在したのか!?


ミステリ王道ホームズに現代のミステリ魔術師ジェフリー・ディーヴァーを読んだ後ではどんなミステリも翳るのでは・・・との心配なんて杞憂でした。ミステリの世界は奥が深くそして偉大であると思い知らされる一冊でした。そして「幻の女」はミステリ作品と断じるには惜しい作品でもあります、というのは冒頭の男女の特殊な一夜を描く場面は下手な恋愛物語よりも心を動かされますし、アリバイの証言が得られず混乱する男の姿はそこらのホラー作品顔負けの恐怖感が出ています。

各章が死刑執行○○日前となっており・・・どんどんカウントダウンしていくのも物語に焦燥感を出すのに一躍買っていますし、実際に調査をしている容疑者男性の無二の友人の焦り具合も良いスパイスを出しています!一つ一つが凄く高い水準で構成されており物語の完成度がうなずける作品!でもって肝心要のミステリ部分の構成が凄いのだから手に負えない!本当にそうくるのかぁ!!と何度唸った事でしょうか。それに最後の部分では、正直これは奇をてらってストーリーが破綻しているのではないかと思ってしまう場面が存在するのですが・・・それもきちんと回収してくれます!本当に凄いミステリ作品。


「幻の女」の冒頭文 “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった”

は多くの人々に影響を与え、様々な所で引用されているとの事です。ちなみに「幻の女」が国内で翻訳出版されたのは半世紀前の事で以後長くミステリ作品の上位を占めている名作との事です。ミステリ好きには超有名な作品・作家って事ですね♪本当に面白い、最高のミステリ作品。


幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))
ウイリアム・アイリッシュ
早川書房
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