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ほんとなかよし

本紹介ブログ(と格好つけてる読書感想ブログw)
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ネタバレ自重・的外れで独断偏見に満ちているけど
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だったらいいな・・・

中国の密航船が沈没、10人の密航者がニューヨークへ上陸した。同船に乗り込んでいた国際手配中の犯罪組織の大物“ゴースト”は、自分の顔を知った密航者たちの抹殺を開始した。科学捜査の天才ライムが後を追うが、ゴーストの正体はまったく不明、逃げた密航者たちの居場所も不明だ―果たして冷血の殺戮は止められるのか。ドンデン返しとサスペンスの天才ディーヴァーの大人気シリーズ第四弾。


冷酷無比の殺人者“ゴースト”は狡猾な罠をしかけ、密航者たちのみならずライムの仲間の命をも狙う。愛する者たちを守るには、やつに立ち向かうしかない。真摯に敵を追う中国人刑事ソニーの協力も得、ライムはついにゴーストの残した微細証拠物件を発見する―見えざる霧のような殺人者は何者なのか?大人気シリーズ第4弾。


内容 「BOOK」データベースより


第一作「ボーンコレクター」と第二作「コフィン・ダンサー」の舞台は本拠地(ホームタウン)ニューヨーク、第三作「エンプティチェアー」でノースカロライナの田舎街へ出張したライムが再びニューヨークに舞台を戻すのだが・・今度の相手は遥か地球の裏側(中国)からやってきた蛇頭(スネークヘッド)通称ゴースト(中国名・鬼)!少なくとも十一人の殺害と十五人の女性移民レイプにより国際指名手配(レッドノーティス)されている世界で最も危険な密入国斡旋業者であるゴースト、米国と中国両国に政府レベルの関係(グワンシー)を持つ脅威の存在の男は顔写真はおろか存在自体がまさにゴースト!ゴーストが指揮する密入国船を見事にライムが発見する事から物語が始まる、追跡に気付いたゴーストは船ごと密航者を抹殺し始める、全ては自分の痕跡となるものを消し去るため・・・爆破により沈む船から命からがら逃げ出し国内に潜伏した密入国者家族2組、同じく船を脱出したゴーストは逃げ出した家族を標的に国内で暗躍を開始する!密入国者を殺害する可能性を見落としていた罪悪感を感じるライムは密入国者家族を追跡しゴーストを捕まえる事を決意する!どちらが密入国者家族に早く近づく事が出来るかのデッドレースの火花がきって落とされる。果たして結末や如何に?今作は舞台がニューヨークに戻っただけでなく、悪役が物語冒頭から巻末まで悪人という第一作のテイストが復活しているのでグッド!ライムシリーズの悪役は超一級の悪(ワル)ばかりなのだが、今作ゴーストも凄い。まず殺人や強姦が完全にビジネスや快楽の延長線上でしかなく淡々粛々と行なわれる点、過去登場の様々な殺人者に比べて恐怖や焦りといった人間的な感情を見せる一面を持ち合わせつつも冷酷無慈悲に事件を起してゆく二面性に驚かされるのではないだろうか?ゴーストは最初から最後まで確信犯である、それだけにとても恐怖が募るのではないだろうか。前三作以上に犯罪者って言葉がしっくり来る犯人である。

さて、本作を読んで一番印象的なのは、文字通り地球の裏側(中国)からゴーストを追いかけてきた中国公安局刑事ソニー・リーの存在ですね!彼の事を友人だと思って好きになるのはきっとライムだけじゃないと思いますね、それ程までに憎めない良いキャラクターです!この人物の登場だけでもライムシリーズ第四弾の価値はあるように感じます。毎回度肝の抜かれる展開を迎えるライムシリーズですが、本作でもあっと驚く展開が満載なので大満足間違いなしでしょう!個人的にはシリーズ通じて登場しているさる人物の尻に火が付いた場面が一番心臓に悪かった・・・読書をしているとごく稀に次のページや行を読むのを躊躇ってしまう瞬間が訪れるのですがまさにその瞬間を味わった気分です。本当に平常心で読むのが難しい、そのぐらい面白いのがライム作品の、ジェフリー・ディーヴァーの作品の良さなんでしょう。オススメの一冊。

余談、第二作で登場した二挺拳銃刑事ローランド・ベル、第三作で登場したある人物と意気投合したやらなんやらで・・・そういった物語通しての関係性や楽しみが増してくるのもシリーズファンには楽しみな所です。ただし、一話完結型作品であるのでライムシリーズを知らない人にも十二分に楽しめますので心配無用です。



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脊椎手術のためにノースカロライナ州を訪れていたライムとサックスは、地元の警察から捜査協力を要請される。男一人を殺害し二人の女性を誘拐して逃走した少年の行方を探すために、発見された証拠物件から手掛かりを見つけるのだ。土地勘もなく分析機材も人材も不十分な環境に苦労しながらも、なんとか少年を発見するが…。


町の問題児だった“昆虫少年”を無事逮捕したが、尋問するうちに少年の無罪を信じたサックスは、少年とともに逃走する。少年が真犯人だと確信するライムは、サックスを説得するが、彼女は聞こうとしないばかりか、逃走途中で地元の警察官を射殺してしまう。少年が嘘をついていたことも判り、状況は絶体絶命のデッドエンド。


内容 「BOOK」データベースより


リンカーン・ライムシリーズ第三弾「エンプティ・チェア」。前2作品の舞台ニューヨークから遠く離れたノースカロライナへ(脊髄手術の為)訪れたライム、プライベート訪問にも関わらず怪事件の依頼が舞い込む、手術を快く思っていないパートナーサックスの思惑と、以前共同捜査したローランド・ベルの従兄弟であり現地警官の頼みもある事からしぶしぶ事件の捜査に乗り出す事になる、地元で“昆虫少年”と忌み嫌われ殺人事件と女性誘拐件を起したとされる少年の足跡を辿るべく科学捜査の幕がきって落とされる!待ち受けていたのは、科学捜査に不慣れでむしろ足手纏いな現地警察と機器すら揃っていない環境、まして勝手知ったるニューヨークであれば砂粒一つから隅から隅まで知り尽くすライムも現地では右も左も解らない!状況は“陸にあがった魚”状態であった、類稀なる機転と天性の知性でどうにか少年確保に漕ぎ着けるのだが・・・舞台の町が抱える闇はとてつもなく深いものだった、蜂の巣を突くとはまさにこの事と感じる終盤の展開は度肝を抜き読者を恐怖と驚きの連続に叩きのめしてくれる。絶体絶命の危機をライム達はどう乗り切ってゆくのか!?

「エンプティ・チェア」はライムシリーズで第三作品目となるが、前半部分(上巻に該当)では正直侮って読んでしまうかもしれない、作品の中心となる“昆虫少年”、昆虫に関する豊富な知識や経験があり人並みはずれた行動をする人物である、ある種のプロフェッショナル・スペシャリストな印象を受ける人物であるが、不思議と恐怖を感じたり悪を感じる事が少なかった、前回までの猟奇殺人者“ボーン・コレクター”凄腕暗殺者“コフィン・ダンサー”に比べると悪役として見劣りする印象を受けるのであるが・・・あまりネタバレはしたくないが、これも作者の術中だったのかもしれないと読後だからこそ感じる。むしろ“昆虫少年”という存在に隠れて存在する真の悪の姿を見た時に読者はライムシリーズ特有の絶対悪との対決という爽快感に包まれる事になるだろう。悪の描き方が毎回上手いジェフリー・ディヴァーだが、今作品も胸糞の悪さは超一級品である、しかも社会悪的な描写が多く、やるせなさや腹が立つ気分は際立つと思う。今にして思えば、あちらこちらに散りばめられている伏線を見落としていた自分に嫌気がさす。毎度の事ながら一切の無駄のない物語がディーヴァーの作風なのだが、一風変わった“昆虫少年”が登場する事で油断させられていたのかもしれない。これも全て作者の計算だと思うとゾっとする。いやぁ~しかしハズれが無い!ライムシリーズはどれを読んでもグッド!ライム作品の中でリンカーン・ライムとアメリア・サックスの関係性の話題は尽きないのだけど、今作品で気付いた事がある、もちろん第四頚椎損傷という肢体麻痺を抱えるライムにとってアメリアはまさに手足となり目となり耳となる存在でありお互いを補っている関係性である事は明白であるが、天運を持っているとしか思えない、強運でピンチを打破する力を持つアメリアに運に見放されたと思っていたライムは強く惹かれたのじゃなかろうかと感じるようになってきた。主人公好都合主義ではないが、アメリアの危機回避能力はダイハード級といえるでしょう、またそのハラハラドキドキの展開をライムと同じ感覚で読者も味わえる所が作品の素敵な面でもございます。“エンプティ・チェア”街が抱えている闇はまさに蜂の巣、どこから何が飛びだすかは不明!!



エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫)
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FBIの重要証人が殺された。四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムは、「棺の前で踊る男(コフィン・ダンサー)」と呼ばれる殺し屋の逮捕に協力を要請される。巧みな陽動作戦で警察を翻弄するこの男に、ライムは部下を殺された苦い経験がある。今度こそ…ダンサーとライムの知力をつくした闘いが始まる。


殺し屋「コフィン・ダンサー」は執拗に証人の命を狙う。科学捜査専門家リンカーン・ライムは罠を張って待ち構えるが、ダンサーは思いもよらぬところから現れる。その素顔とは。そして四肢麻痺のライムと、その手足となって働くアメリア・サックス巡査の間には愛情が育っていくが…。サックスにダンサーの魔手が迫る。


内容「BOOK」データベースより


リンカーン・ライム第二弾!“棺の前で踊る男(コフィン・ダンサー)”は“私の最大の武器は人を欺く事”と巧妙な偽装や変装、類稀なセンスに超人的な嗅覚で一度狙った獲物は必ず仕留める凄腕天才暗殺者。過去に部下を殺され取り逃がした宿敵の登場にリンカーン・ライムが挑む!武器密売人を告発する証人3人が暗殺されるのが先か、ダンサーを止めるのが先か?殺しの天才VS捜査の天才、勝負の行方は?今作品の見所は、やはり“狩人(ハンター)”対決!爆弾知識に狙撃の腕、心理戦にも長けた文字通り命を狩るコフィン・ダンサーと、微細証拠物件や現場状況証拠を積み重ね圧倒的な犯罪学知識で犯人の足跡を狩るライムの攻防戦!ダンサーの偽装にライムの罠が互いに火花を散らす、そして最後の最後まで両者一歩も譲らぬ展開は度肝を抜かれる事になる。この二人の対決は好敵手って言葉がピタリな印象。物語の舞台は、“ハドソン・エア・チャーターズ”という個人航空会社の証人3人が登場する事から空港や飛行機内の場面が多いのだが、ジェフリー・ディーヴァーの取材力と言うのか風景描写や関連知識の豊富さに驚きを覚える、ミステリーの為に専門知識を習得するレベルを遥かに超えている印象である。おそらく専門書顔負けの知識量だろう、一流の小説家に必要な技術の一つに物事の表面を捉える力が他人より特出していれば良いと言われる、だが超一流のディーヴァーは物事の本質まで知らねば気がすまないのではないだろうか?天才ライムを描く事が出来るのはやはり天才という事なのだろうと改めて感じる。さて、豊富な知識ついでに言えば、暗殺者や暗殺手法、特に爆弾と狙撃に関する知識も素晴らしいものがある。これら要素は、物語や事件を構成するだけでなく登場人物の個性にも直結する訳で、暗殺知識関連により“コフィン・ダンサー”の天才的な暗殺力に魅力はぐっと高まるのである。天才天才と連呼しているが、本作には第三の天才が登場する、それは暗殺対象の証人の一人、パーシー・クレイである。同じく証人である夫と航空会社を経営すると同時に天才的な飛行機パイロットでもある、彼女の存在がこの作品では一際輝いて見える事だろうし、アメリア・サックスとライムの愛情を深める大きな要因にもなっているので欠かせない登場人物の一人ではないかと思う。サックスを初め様々な捜査協力者達一人一人を紹介したいのは山々だけども魅力的過ぎる人物を一人一人挙げていけばキリが無い程素敵なのがディーヴァーの作品である、個人的にはスカーフェイスがシリーズから退場になったのは誠に残念でならないが今後に期待出来そうな二挺拳銃ベルの登場等が嬉しい所か?最後に、本作品のそう来たか感が尋常じゃなかった事だけはお伝えしたいと思う、とってつけたようなどんでん返しではなく全体に絶妙に配置されていた伏線が見事に炸裂する時に全身に震えを感じる事になるだろう。予想や推理がミステリーの楽しみ方というが、もはやそういった水準を超えて、驚愕や戦慄を感じる事に快楽を感じる事が醍醐味なのだと知る一冊。オススメ!



コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫)
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コフィン・ダンサー〈下〉 (文春文庫)
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ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた…女はどこに!?NY市警は科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだが…。


連続殺人鬼ボーン・コレクターは被害者の周辺に、次の犯行現場と殺害手口を暗示する手掛かりを残しながら次々と凶悪な殺人を重ねてゆく。現場鑑識にあたるアメリア・サックス巡査は、ライムの目・耳・手・足となり犯人を追う。次に狙われるのは誰か?そして何のために…。ジェットコースター・サスペンスの王道を往く傑作


内容 「BOOK」データベースより


米国サスペンス界の巨匠ジェフリー・ディーヴァーが贈るリンカーン・ライム(以下ライム)シリーズ第一弾。緻密かつ綿密な物語構成に無駄や隙間が無く読者は常に驚きと期待の連続である、全ての描写や物語に後の伏線や意図が隠されており圧巻である。ミステリー部分はタイムリミット(時限式)サスペンスとなっており、連続殺人鬼“ボーンコレクター”とライム陣営の秒単位の攻防戦は冷や汗もので凄い!科学捜査の専門用語等が登場するが文庫版に用語解説があるのは嬉しい配慮である。ライムは首から上と左手薬指しか動かせない頚椎損傷肢体麻痺である、圧倒的な頭脳と科学捜査センスを駆使して凶悪犯罪者を追い詰めるという双極性が魅力の人物として登場するのだが、決して特異性を出す為だけの設定では無い点だけ注意が必要である。第一巻「ボーン・コレクター」では犯人との捜査攻防と同時にライム自身の自殺問題が主軸として物語を飾る事となる。自ら命を絶つ事すら儘なら無い状況下に置かれた人間の精神の極限まで高められた絶望感や失意の感情は壮絶としか言えず、物語はライムが死の医者と接触するところから開始されるのである。科学捜査の好敵手とも言える“ボーン・コレクター”の登場や、最愛にして最良のパートナーであるアメリア・サックスとの馴れ初め話や捜査仲間の登場等と、様々な出来事が発生する第一作目、ライムが如何に生きる活力を見出すかも必見である。一癖どころか捻じ曲がった性格のライムの人生最大の決断すらも捻じ曲げる程に複雑で意外な結末は読者を震え上がらせると同時に最初から最後まで計算され尽くしたであろうジェフリー・ディーヴァーの構成力を見せ付けられる事になるだろう。ミステリーを読むならジェフリー・ディーヴァーを読めと言う人がいるが納得の作品である。本作品は映画化もされており(ラストネームは違うのだけど)アメリア役をアンジェリーナ・ジョリーが演じており、彼女自身の劇場公開作品初主演作品でもあり映画ファンにとっても印象的な作品であると言えそうです。さて、私はライムシリーズ第八作「ソウル・コレクター」を読んでいます、ライムとアメリアのコンビだけでなく(本作では一級刑事、ソウル・コレクターでは警部補の)ロン・セリットーやSWAT隊ESU体調ボー・ハウマンなどお馴染みのキャラクターが登場しているのが嬉しい点ある。が、スカーフェイスのジェリー・バンクスが「ソウル・コレクター」で登場していないのが気になる所・・・最後に本書の注意!現在第九作「バーニング・ワイヤー」が発売されているライムシリーズですが、絶対全て読んでみようって思わせる作品です、まだ2作品しか読んでいませんが甲乙どころか両作素晴らしく一層シリーズを愛する事になっています。本書を読むならば全て読む!ぐらいの意気込みでどうぞ!!



ボーン・コレクター(上): 1 (リンカーン・ライム)
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ボーン・コレクター〈下〉 (文春文庫)
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関連リンク ´д`)つ ソウル・コレクター

記憶を一部喪失した雨村慎介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。


内容 「BOOK」データベースより


東野作品はどうしてこうも読者の感情を弄ぶ事が上手いのだろうか、帯にある“東野圭吾の描く悪い奴等”とはまさに的確表現で、登場人物の多くに不快感を感じさせられる事だろう、それは道徳や良心といった分野における嫌悪感に違いない。年間1万人の死者を生み出す交通事故を題材に被害者の無念と加害者たちの打算を痛烈に描いている、加害者の一人雨村慎介は過去の記憶・自身が引き起こしたとされる死亡交通事故の記憶を喪失する事から物語が開始されるのだが、事故の真相や記憶を追い求める事で複雑に絡み合った加害者の打算や被害者の無念、遺族の想いといったものが解き明かされていく事になる。また、「ダイイング・アイ」の題名通り、死に際の目が引き起こすオカルト的要素はホラー色が強く、ホラーミステリーと捉える事ができそうな作品である。人気作品を多く生み出す東野圭吾さんには珍しく、否定的な意見が多い作品のように思える。読者レビューはあまり読まないで自身の感想を書く私だけども内容検索などで嫌でも目に付いたレビューを見ると意外に酷評だった。本当に意外だ。確かに他の作品に見えるような美しい話ではない、死亡事故といった重い題材に加えて悪人を描くという加害者側の汚さや醜さを描いている作品であるので不愉快極まりない作品である事は当然である。また、途中に挿入される性描写に関する指摘も多く、過激だとか不要ではないかといった意見も多い。読み方は人それぞれ好きに読めば良いと思う。私はとても良い作品だと思った(普段は作品を面白いかどうかで判断するが、今回は良いと表現する)。まず、冒頭部分被害者視点が登場する以外は全て加害者側の視点中心で描かれた作品なのである、交通事故に限らず事件の被害者の無念といった意味でこれ以上の視点は無いだろうと思う。死人に口なし、死者の無念はどうやって晴らせば良いのか?本当にそう感じさせる作品である。私は読書中ずっと被害者の死が置きざりにされているなと感じ続けていた。それだけに少しオカルトめいた展開ではあるが、天罰的な終り方に不思議な爽快感を感じた読者も多かったのではないかと思う。また自身の刑量を他の犯罪刑量と比較して軽いなと本音を漏らす主人公の姿にゾっとしない人は自分の良心を改めてみる必要があるだろう。どこかの大陸から微小化学物質が飛んでくる事で健康被害の可能性があると言われれば戦々恐々するくせに我々は制度化され慣例化された交通事故に対する恐怖心のようなものは一切持ち合わせていない・・・オカルト的な展開は賛否両論分かれる所ではあるが、果たしてこの展開が無ければ物語になっただろうか?そうまでしなければ死亡交通事故を再認識出来ない程に我々には当たり前で意外でもなんでもない事になってしまったのではないか?その影で当事者は苦しみ無念の想いを感じているのではないだろうか?「ダイイング・アイ」が見つめるのは読者の良心のような気がする・・・深読みしすぎだろうか・・・

最後に、性的描写に関して・・・私は被害者の生きたいと願う執念の行動だと読みました。ネタバレになるといけませんが、被害者女性は生前子どもがいなかった既婚女性でした・・・そして性描写で登場する台詞には“妊娠する”“子を宿す”とある・・・これ以上に執念的な台詞はないでしょう?この台詞を読んだ時に背筋に走った寒気は半端ではなかった。たった一つの台詞や文章で読者の心を揺さぶる作品。一級品です。



ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)
東野 圭吾
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