襲われた女性たちは皆、残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。バージニアの州都リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に、全市が震え上がっていた。犯人検挙どころか、警察は振回されっ放しなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官ケイにも魔の手が―。MWA処女作大賞受賞の傑作長編。
内容 「BOOK」データベースより
一般的に「検屍官」シリーズと呼ばれる、検屍官ケイ・スカーペッタがヒロインの推理小説シリーズで有名なパトリシア・コーンウェル。第一弾作品にして「検屍官」の題名で発売された本作品はアメリカ探偵作家クラブからエドガー賞処女長編賞を受賞、以後シリーズ化され20作品に到達するミステリー界の不動の地位を築いている。日本においてもベストセラーとなっておりミステリーの話題に必ず挙がる有名シリーズである。
「検屍」または「検死」は英語訳に当てられた言葉で、日本では「検視」に該当する。変死や異常死体を解剖・分析し事件・事故の捜査・解析をする行為を指す、米国では検死官(Coroner)、国内では検察官が行っている。旅行ツアーガイドに家政婦さん、物理学者に学校教師と今やミステリーもの探偵職種に垣根は存在しないと言えます、探偵や刑事が事件を紐解くミステリーは本格派や純粋と呼ばれ区別されるようになっているそうです。様々な職業の特色や専門知識を基に事件や事故を解明していく作品が跳梁跋扈する昨今のミステリー界が出来上がる創世記に生まれた作品群の中の一つが「検屍官」ではなかろうか?米国捜査における正式名称が存在する職業なだけに正統派とみなして十分であるが、刑事ほど矢面に立って捜査するのではなく影に隠れて日の目をみない職業にスポットライトを当て作品を仕上げた点がコーンウェルの一流作家ゆえの着眼点であったと言えるだろう。ヒロインである検屍官ケイ・スカーペッタの人物像も素晴らしい、検屍官としての腕は超一流で仕事ぶりは周囲にも認められているのだけれども男性優位の警察署内で長年仕事をこなして来た事から女性蔑視や軽蔑に対する極度の劣等感にも似た感情を持っている、部下や部内の人からは厚遇されているものの他部署などからは職務的な扱いしか受けていない点も面白い!ミステリー探偵ものと言えば一目置かれる存在が一般的なのにあくまで普通の職業人・検屍官としてそれ以上でも以下でもない扱いを受けているのである。バージニア州リッチモンドで発生した連続強姦殺人を追う警察、物的証拠を得つつも犯人に繋がる決定的な証拠を得れぬまま後手に回ってしまう、犯行はエスカレートし残忍で残酷になっていくなか、警察内部では不祥事が発覚する、政治的なダメージを恐れた上層部はやがて検屍官組織に罪を擦りつけようと陰謀を仕掛けてくるのだけど、凶悪犯罪者逮捕に精神的ストレスを感じていたケイ・スカーペッタは内部圧力にコテンパンにのされてしまう!圧倒的な逆風の中で自暴自棄になりそうな主人公の姿・・・しかしこれは彼女の潜在能力を発揮するための試練だったとすれば?本書が検屍官ケイ・スカーペッタのシリーズ第一弾である事から彼女が開花する瞬間を読者は目の当たりにする事だと思う。恐らくその快感を味わってしまうと・・・シリーズ突入♪となる。ミステリーファンならば必見だし、それ以外の読書家さんも超名作シリーズ“検屍官”は外せない作品といえる。




