>オリジナルフルアルバム
>タイトル:ジェニースター
>アーティスト:ジェニーハイ
>リリース日:2021年 9月 1日
>記事作成日:2022年 7月 5日
聴きました!
“気分だけでもロッキン2022”シリーズ⑥!
小さい子どもがいるので、炎天下の夏フェスなんてもっての外なんですが…気分だけでも、味わいたいじゃないですか。
ロッキン参戦当時にやっていたように、まだ聴いた事のないアーティストの曲を“予習”です。
今回は、ジェニーハイ。
ついに、さけては通れなくなった…(笑) ずっと気になってたんですけどね、なんかこう色モノの感じがしちゃって。他ジャンルの方が音楽活動に参戦するパターンにあまり良いイメージが無かったのでこのバンドも避けてきてたんだけど、先日聴いたDISH//さんの『X』に「先入観からの偏見も、食わず嫌いも、良くないよ」と学ばされた事もあるので、これを機会に聴いてみるかー、と。
『華奢なリップ』
ちゃんみなさんをフィーチャーした曲。ちゃんみなさん…いつの間にか大人気アーティストになっていらっしゃった。ぼくが最初に聴いたのは2018年の『CHOCOLATE』だったんだなぁ。随分とお久しぶり。当時、「トラックにもうちょいオリジナリティが欲しいな」なんて思っちゃった記憶があるのですが、今回はもうオケが川谷絵音製ですからね。その辺はもう、無条件に良かった。
ちゃんみなさんのソロ作は「ヒップホップのMC!」って感じのイメージだったんですが、洒脱で緻密な生音の上から聴こえてくるそれは“ボーカリスト”って感じでした。ちょうどゲスの極み乙女での絵音さんのように、ラッパーとボーカリストの中間みたいな佇まい。
『夏嵐』
疾走感はあれど、だけど“燦々に注ぐ太陽の下”というよりは“夜風に夏の匂いが混ざる深夜”の空気感なのは、絵音さんのアレンジの真骨頂。たまりません。
「夏休み 心は休めない」とか…絵音さんはホントに、コピーライターにもなれると思う。
『バイトリーダー典子』
アレンジはゲス系。でも、ゲスでは絶対に歌わないようなストーリー(笑)
正直、率直に言うと「歌詞、ちょっと“狙い過ぎ”じゃない?」と思うところが無くはないけど…でも、やけに印象に残ってしまうのは確かです。
『BABY LADY』
喋るようなボーカル。なのに、物凄く音楽的。なんとも形容がし難いけれども、凄く、「手の込んだ音楽を聴いてるなぁ」という感じがする。そんな、凄く漠然とした事しか言えないのがもどかしくもある曲。
『コクーンさん』
端々に、絵音さんのナチュラル上から目線が炸裂する歌詞(笑) いや、批判じゃなくて、それが心地いいんだ。
イッキュウさん、このバンドでは物凄くドレッシーな雰囲気を醸し出していらっしゃいますが、この曲にはほんのり、そこはかとなく、悪戯っぽさが出ていて好感。
『良いんだって』
Aメロから、既にメロディラインが鬼キャッチー。で、メロディアスな曲なのかと思ったら、ガッツリとしたラップパートへ。
カッコいい曲なんだけど…そもそも、どちらかというとちょっと苦手な芸人さんたち(詳細は後述)が居るバンドなワケですが、その方々もラップを披露していて。声が聴こえてきた瞬間にその方々の顔が浮かんできてしまって、ちょっとなんかう〜んってなっちゃうんですよね(ぼくが“聴きに行ってる”のに、なんかすいません)。
イッキュウさんと絵音さんがラップパート全部を引き受けているような構成だったら、多分ものすごい好きな曲になっていたと思うのだけど…。
『ルービックラブ』
言葉遊びというか…歌詞の意味がどうこうというよりも、「歌ってて楽しいだろうなぁ」だし「聴いてて愉快だな」の曲。更に言うと、特にギターパートなんかは「演奏してて楽しいだろうなぁ」でもある。
難しいパズルを完成させていく快感みたいに、テクニカルな言葉と音が数学的にハマり合って出来上がっている曲に聴こえる。
『ジェニーハイボックス』
上手に反感を煽る曲(笑) 絵音さん、完全に煽ってる。でも、それがもう露骨過ぎて、ちゃんと“ネタ”に昇華されてるから好感。
他にも、「音楽面ではそこまで“みんなが騒いでた”印象は無いぞ?」とか、「そこまで自分たちで“才能 才能”言っちゃえるレベルなのか?」とか…一周回って好感持てる感じ。ジェニーハイボールの営業とかね(笑)
でもやっぱり、根本に、リズム隊の芸人としての顔にちょっとあまり好意を持てていないので、その名前と声が出てくるところで真顔に戻ってしまう…。
『卓球モンキー』
でもやっぱり、ベースの骨太な佇まいには、感服せざるを得ない。普通に、音楽として、好き。ぼくが大好きな超絶ベーシストである休日課長を抱える絵音さんが、一緒にバンドを組もうと思うだけの事はあるなと思います。
話は変わって。
テレビにおけるピー音って、最初は「放送に耐えられない内容を伏せる」っていうシンプルなモノだったと思うんだけど、いつの頃からかもう一つの用途が出来たと思っていて。その“もう一つ”とは、テレビに出る側は“ボケの1スタイル”という認識。観てる側は“疎外感発生装置”。こういうズレが、「テレビがつまんなくなった」の要素の一つだと思ってるんだけど…この曲でも、その感じ。別にイッキュウさんが何に失敗したのかなんてあまり興味はないのですが(すいません)、「あぁ、やっぱりそういう安易な内輪ネタみたいなのを使っていく人たちなんだぁ」っていう。「そういう表現、面白いでしょ?」と言われているようにぼくは感じて、「いや、別に面白くはなかったっす」と思ったというお話。なんか、この曲に対してどうこうとかいうよりも、テレビが主戦場の人たちが未だにこのテレビ的な手法を面白がってるんだなぁというのにがっかりした感じのほうが強いかも。
『クリスとマス』
アーバンなサウンドに、並行世界のイベントかな?っていうくらいにビミョウに(そして絶妙に)“違う”クリスマスのお話が乗る。
子どもの頃のクリスマスへのワクワク感…あれを見失ってからどれくらい経つだろう? でも、何故だか分からないけど、この曲を聴いて、あのワクワク感がちょっと感じられた。今コレを聴いてるのはうだるような暑さの7月なので、真逆の季節のイベントを恋い焦がれる気持ちが、クリスマスを待ち遠しく思う子ども心とオーバーラップしたんだろうか。
『ジェニースター』
どんどん出てくるな、リズム隊(笑) アルバム前半の曲はそんな事ないのに。
ラップ曲。ここで歌われている事は、すべて真理(笑) そりゃ、そのロジックで言ったら「ガッキーがwin」ですよね。
『シャンディー』
ものすごいキラーチューンというか…メロディが物凄くキャッチーですよね。でも、決して“安易”ではない。バースのマイナーテイストの空気から、一気にサビでメジャーの空気に変化。笑いは緊張と緩和と言うけど、ぼくは音楽においても、短調と長調のコンビネーションにグッとくる気がする。
あくまでもサバサバと告げられる「お別れよ さいなら さいなら」が、逆にセンチメンタル。
そんな、計12曲。
やっぱりね…やっぱり良かった。好きなサウンドだった。好きなアレンジだった。
ゲスの極み乙女が、段々とテクニカルで玄人好みな感じになってきている気がして。わかりやすくてキャッチーなものが好きなぼくとしてはちょっぴり残念だったんだけど…「ぼくが好きだったゲスの極み乙女は、ここに居た!」って感じの作風だった。
ぼく、お笑いも比較的好きで(テレビは滅多に見なくなっちゃったんで“最近の人たち”は存じ上げないのですが、好きな芸人さんのはDVD買って観てます)。バカリズムさんとかアンジャッシュさんなどのソレのようにロジカルに組み上げたネタや、さまぁ〜ずさんのように気さくで飾らない雰囲気のフリートークなどが大好きなんです。反対に、高圧的であったり敵対的な物言いのフリートークや、不条理なネタなんかは凄く苦手意識があって。そういうのが苦手な人にとって、小籔さんやくっきーさんって…ねぇ?(苦笑)
そういうのがあって、敬遠してきたバンド。でも、音楽が絶対にイイ事は分かり切ってたので、なんかこう勝手に“目の上のたんこぶ”みたいになっちゃってたんですよねぇ…。
今回意を決して(?)聴いて、「ほぉらやっぱり好きなヤツだった!」っていうのと、「やっぱり“芸人”としての苦手さを拭い去って聴くのは難しかったな」というのの、その両方が率直な感想でした。
フェスだったら、“裏”次第では観に行くかもなぁ。
お気に入りは、
#01 『華奢なリップ』
#02 『夏嵐』
#07 『ルービックラブ』
#11 『ジェニースター』
#12 『シャンディー』
この作品が好きなら、
・『音楽』/東京事変
・『ガーラ』/DADARAY
・『Mirrors』/RAMMELLS
などもいかがでしょうか。
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