>オリジナルフルアルバム

>タイトル:X

>アーティスト:DISH//

>リリース日:2021年 2月 24日

>記事作成日:2022年 6月 30日






聴きました!


“気分だけでもロッキン 2022”シリーズ⑤!

コロナ禍なうえに赤子が居るため夏フェスなんて夢のまた夢…と言う事で、ラインナップの中からまだ聴いた事のないアーティストを中心に聴いてみて、気分だけでもロッキンを味わおうとするシリーズ!


今回はDISH//さん。お名前はよく耳にするので、多分今もっとも旬のバンドなんだとは思うのですが…これまで、ほぼ聴いた事がなくて。『猫』のみ、ラジオか何かでかかってるのを聴いた事があるのみ。あいみょんさんが楽曲提供をした事は知っているし、みょんさんのセルフカバーver.は以前から大好きだったんですが。


取り敢えず…色んな勘違いをしてました(笑) ボーカルの北村匠海さんは、“DISH//のボーカルとして”よりも先に役者さんとしてそのお名前を拝見していたので、そもそもが“よくある、俳優が片手間でCD出してみました!みたいなヤツ”だと思ってたんですよね…更には、“グループって事は、そんな感じの役者さんが何人か集まって、テキトーにユニゾンする感じのお気軽ボーカルグループなんでしょ?”とか勝手に決めつけていたんです。更には、割と最近(2〜3ヶ月前くらい?)まで“DASH//”だと思ってたし(笑) つまり、“流行りの俳優さんが、その他何人かと組んでアイドルグループみたいにユニゾンで歌を歌う、企画モノのダッシュというグループ”だと思っていたという事です。なんか、色々とすいません…。全然違うじゃないか!(笑)




『ルーザー』

もう、最初の曲のイントロからして、「思ってたのと違」かった(笑) リズム隊、特にベースがもの凄く存在感を放っていて、野太いのにグルーヴィなサウンドに心奪われる。ホント、例えは悪いかもしれないけど、この“動けるデブ”みたいな音、すんげー気持ちいいわ! ちょっとニューミュージック的でもある、湿度高めのアレンジとボーカルラインも、懐かしいのに新しくて、結果気持ちいい。


『QQ』

かと思えば、もう、まさに最新のトレンドをそのまま音にしたような、洒脱な曲へ。中音域にギュッと集まった邦楽的な音と言うよりは、低音域から高音域まで満遍なく音が分散した感じの洋楽的なオケ。オシャレを煮詰めて型に嵌めて冷やしたようなオシャレ曲(笑)


『ニューノーマル』

で、今度はそこと反対に、もの凄く邦楽的な曲。どのフレーズもとにかくコッテリとしていて、聴いた人の耳をガッチリ掴む気満々の感じ。“どこを切り取っても漏れなくキャッチー”なのがJ-POP…まさにその感じ。


『猫〜THE FIRST TAKE ver.〜』

この曲が入ってたので、このアルバムを選びました。ホントはオリジナルのほうが入ってる作品にしたかったけど、あの曲、アルバムには収録されてないんですね!

シーンを席巻しているTHE FIRST TAKEですが…その音源をボーナストラック扱いでアルバム収録する作品は多くありますが、本編の中に組み込んで構成する作品には初めて出会ったかも。個人的に、スタジオアルバムは“ファーストなテイク”よりも“ベストなテイク”で構築していてほしいと思っているので、そういう意味では「オリジナルを収録してくれても構いませんでしたのに…」とは思ってしまうけど、まぁそれは個人の好みの問題なので。ボーカルのリズムが一瞬走るところがあったりして、そういう意味で“ライブ感” “タイムリー感”はあって、それはそれで面白いですしね。

アコースティック編成のこのアレンジも、中々良いですね。ぼくはみょんさんのバージョンを先に聴いていて、そっちが大好きだったんだけど…北村さんの歌声も凄く良い。この方は歌声もイケメンというか、スタイリッシュでシュッとしていて、どちらかというと草食系の佇まいだと思うんですが…そういう佇まいの男声がこのストーリーを歌う事で、曲が持つ感傷と喪失感と寂寞感とが強調されてグッと来てしまう感じはある。みょんさんの凛とした媚びない歌声以上に、感情移入しやすいかもしれない。


『あたりまえ』

泣きのギターソロが哀愁を増幅させる、ロックバラード。ストリングスがガッツリと入ったバラード。ぼく的にはもうちょっとバンドが“強く”出ていても良いのかな?とも感じるんですが、まぁストリングスを前に出して繊細に仕上げるというアプローチも素敵は素敵ですよね。


『Seagull』

やはり、この方々の楽曲って、ほんのり懐かしさを感じさせるものが多い気がするんですよね。それは歌謡曲的な懐かしさの場合もあるし、90年代J-POP的な場合もあるし…この曲は、ちょっと、ひと昔前のジャニ系アイドルの曲っぽい懐かしさを感じました。アッパーな中にもほのかに濃ゆいものが混ざっていて、さらりとは聴けない(褒め言葉)。


『rock'n'roller』

その名の通りのロックチューン。でも、ガレージロックとかパンクロックみたいな“いわゆる”ロックというよりは、ラップロック(ミクスチャーロック)感の強い“今風”なほうのロック。

ギターの歪みが気持ちいい。


『NOT FLUNKY』

今度は、ちょっとユーモアも感じるアッパーチューン。ちょっと、ヒゲダンのフレーバーも感じる(パクりカブりの話ではないですよ!)。

四つ打ちのビートに煽られ、適度にチャラいメロディに気持ち良くなる。


『君の家しか知らない街で』

打ち込みのビートが洒脱な、R&Bフレーバーのミドルチューン。それでも変わらず存在感を示し続けるベースラインが、やっぱり好きだ。

前曲からの落差が凄い。そして、そのどちらにも“取ってつけた感”が無いのがより凄い。ちゃんと自分たちの“魅せ方”が分かっておられる感じがして、「アーティストとして凄いなー」とつくづく思う。マジで、タレントさんが集まってテキトーにユニゾンするボーカルグループだろうなんて勝手に勘違いしてて、申し訳ない気持ちでいっぱい。


『僕らが強く。』

エモーショナルなロッカバラード。3連のリズムは、感情の起伏を分かりやすく表現出来る一方で、上手くやらないとありきたりで野暮ったくなっちゃいかねないとぼくは思っていて。でも、この曲は、“ちゃんと”芯を食ってる感じがして好き。多少ベタな感じはありつつも、メロディラインの音符の並べ方に緩急があって、だからつまり曲にメリハリがあって、非常に聴きやすい。聴き手の中に流れる熱い感情を、程よくドラマチックに彩ってくれる感じ。


『バースデー』

取り敢えず、ゴリゴリのバラードでアルバムを締めたりしてなくてよかった(笑) そんなベタな事は、今このバンドはやらなくて良いんじゃないかと思います。

終わりの曲なんだけど、むしろ“次”を感じさせるようなアッパーチューン。アルバムの一曲目とかに置かれていても違和感が無い気がする。




そんな、計12曲。


タレントが片手間でやってる音楽だなんて、勝手な勘違いをしていて申し訳ない限りですよ(笑)

作詞、作曲、編曲のどれにもタッチせずに、じゃあ歌声に特筆すべきものがあるのかというとそうでもなくて…「誰々が楽曲提供!」とか「何々のタイアップ!」みたいなものだけで一点突破しようとするタレント系アーティストを散々見てきたので、ぼくはタレント系アーティストが好きじゃないんですが。このバンドは、確かにタレント業もしている方々だと思うんですが、ちゃんと自分たちのバンドの音を理解していて、魅せ方も分かっていて、そして何よりもちゃんと音楽を楽しんでる感じがして良かった。「やらされてやってる」のでもなく、「マルチなところを見せつけたくてやってる」のでもなく、音楽をやりたくてやってる人たちの音に、ぼくには聴こえました。

ひとつ残念だったのは…ぼくは「このバンド、ベースが特に存在感があっていいな!」と思っていたのですが、ベーシストさんだけサポートミュージシャンなんですね。別にサポートミュージシャンを使うのが悪いだなんて一切思ってませんが、好きな音を出していたプレーヤーがそのバンドの人じゃなかったというのをあとから知った、このちょっとだけモヤッとした気持ち(笑)


強いて言うなら…ボーカルの方、凄くスタイリッシュで甘い歌声だと感じたんですが、バンドのサウンドに厚みがあるので、時々ボーカルがオケに押し負けているように感じる瞬間があったかもしれない。でも、単に“太い”(極端な話、デスボイスみたいな 笑)声で歌うというのは作風を(そしてタレントイメージを)壊してしまいそうな気がするので、倍音を膨らましたりして“厚い”歌声を駆使出来るようになるとより良いかな?と思いました。ギターで例えると、エフェクトかけて歪ませるのではなく、出力を上げて“圧”を増す感じ。

…まぁ、クソ余計なお世話なんですけども(笑)


この作品を聴いて、改めて、“食わず嫌い” も “偏見”も良くないなと、そう思いました…。


フェスだったら、割と積極的に「行ってみたい!」な感じかも。






お気に入りは、

#01 『ルーザー』

#04 『猫〜THE FIRST TAKE ver.〜』

#06 『Seagull』

#08 『NOT FLUNKY』

#09 『君の家しか知らない街で』

#10 『僕らが強く。』






この作品が好きなら、

・『ハッピーエンドへの期待は』/マカロニえんぴつ

・『エスカパレード』/Official髭男dism

・『Wonderland』/Novelbright

などもいかがでしょうか。






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