>オリジナルフルアルバム

>タイトル:ハッピーエンドへの期待は

>アーティスト:マカロニえんぴつ

>リリース日:2022年 1月 12日

>記事作成日:2022年 2月 16日






聴きました!


マカえん最新作!

インディー盤『アルデンテ』でどハマりして、メジャーデビュー後のブレイクで「ぼくだけが知ってるナイスバンドだったのに」といじけた気持ちになったバンド(笑)

メジャー以後、ちょっと楽曲の雰囲気が変わった気がするけど、まぁ今の作風も全然嫌いじゃないです。




『ハッピーエンドへの期待は』

タイトルチューン。

なんか、通常であればアルバム終盤で流れてきそうな曲調っぽいなぁと、ぼくはそう感じました。曲調がどんどんと変わっていくトリッキーな構成は「色んなタイプの曲のあとに、“味変”的にどうですか?」って感じで配置される気がするし、メッセージ性は強いけどクドさやアツさは控えめな感じの歌詞もアルバム後半でよく見かける感じがある。それが、一曲目。


『生きるをする』

アッパーチューン。確か配信シングルだったような。

全然悪くないんですけどね…ぼくが期待値を上げちゃってるからだと思うけど、「あれ、こんなにありがちなアレンジをやる人たちだっけ?」って、率直にそう思ってしまいました。ヒットチャートが意味をなくして久しいですが、2020年代の今、カウントダウンTV的なもの(深夜時代のアレ)を作ったら、こんな感じの曲が3曲に1曲くらいの頻度で流れてきそうな…。


『八月の陽炎』

ほんのりと緊張感?感傷?哀愁?…そんなものが香るのが良いですね。基本的にはアツいロックチューンなんだけど、ウエッティな要素がほんのり混じる事で深みがグッと増してる。素材の甘みを岩立たせるために、敢えてほんのちょっと塩を入れる料理のテクに似た感じ。


『好きだった(はずだった)』

もう、タイトルからして好き。たった数文字のこのタイトルに、色んな感情が詰まってる。それは、曲を聴いたあとに残る感覚と一緒。幸せがあったからこそ沁みる切なさとか、信頼があったからこそ生まれる疑念とか、そういうものが鼻の奥にツンと来る。

そして、サビのメロディの恐ろしいまでのキャッチーさ。メロのキャッチーさこそがこのバンド最大の武器だとぼくは勝手に思っているので、それが炸裂しているこの曲はもう大好物中の大好物。


『メレンゲ』

ギターとボーカルは奔放。一方で、ストリングスは非常に落ち着きがあり優等生的とすら言える。同じ“ウワモノ”の温度感の違いが、なんか面白い。“鼓舞されてる”のか“落ち着かされてる”のか(笑) うん、独特で凄く面白いです。


はしりがき

シングルでしたね(ちなみに、上記の『メレンゲ』も同じシングルのカップリング)。

「アレンジが」というよりは「テンションが」パンキッシュ。弾けるような勢いと、甘酸っぱさ。この曲をシングルで切るあたりに、率直に言って「さては売れる気満々だな?」と思った記憶が(笑) いや、そういう野心は好きですよ。


『キスをしよう』

アコギ弾き語りで、メロウな曲をエモーショナルに歌い上げる…新しい球種を放ってきたな、と思いました。フルアルバムをコンスタントに出していかなきゃいけないメジャーアーティストとしては、球種は多いほうがいい。

この切なさ、温もり、そして切なさ(プラス切なさ)は、ティーンにはたまらないんじゃないでしょうか。“愛”よりは“恋”のほうの現役世代に、ジャストフィットな感じ。もしくは、“恋”からは退いたシニア世代が、あの頃を懐かしむのにも最適。


トマソン

配信シングル。そっちの感想でも書いたけど…アレンジに色んなアイデアが盛り込まれ“過ぎ”ているように感じ、ちょっとまとまりに欠けるかな?という印象。オケがゴチャゴチャしているのもあって、歌詞も入って来づらいと感じちゃったし…。


『裸の旅人』

この曲も、シングル『はしりがき』のカップリングでしたね。

どこか猥雑というか、アダルティというか、苦味が先に来る感じのクセの強い曲。今回聴き直して思ったのは…上述のようにどこか斜に構えたクセの強い味付けの曲なのに、サビの最後の部分にだけ急にメジャー感の強いメロディが差し込まれていて、それが「個性」とも言えるのかもしれないけどもぼくはちょっと「違和感」と受け取ってしまったな。


『TONTTU』

率直な感想としては、「何を聴かされてるんだ⁉︎」(笑)

曲の構成要素を挙げると…❶B'z的な、ちょっとメタルっぽくすらある分厚いサウンド ❷昭和のバトル系アニメのテーマソングテイスト ❸寸劇 という感じ(笑)

ま、おふざけノリのサウナの歌ですな。


『ワルツのレター』

歪んだギターとラウドなリズム隊に“太さ”を感じる曲。でも、その“太さ”には前曲と通じる部分も感じるため、こっちは(基本的に)真面目な曲なのにおふざけ曲っぽく聴こえてしまう瞬間があって脳が混乱(笑)


『なんでもないよ、』

なんか、随所で巧い事を言っている歌詞が好き。で、巧い事を言いまくってるのに核心は言葉にしていないのがまた巧い。“、”に込められている、言葉に出来ない(敢えてしない?)想いに、聴き手が思い思いの気持ちを込めて聴く事が出来る。小田和正さんの「ら〜ら〜ら〜らら〜ら〜♪」の、令和版といった感じ(笑)


『僕らが強く。』

3連のリズムには、力強さと軽やかさの両方が宿っている。だから、胸に迫ってくるものがあるのに決してクドくはない。

そして、ベースの音が素敵。凄く存在感があって、でも他の音との調和も凄く取れていて。理想的なバランスのベースラインだと思います。


『mother』

序盤、「ラストにして遂に、奇をてらわないストレートなロックバラードが」と思い、2Aで驚く(笑) メロディはそのままに、ビートの刻みがガラリと変わる。更には、その後再び序盤のロックバラードテイストに戻るという。まぁ正直、「面白いと言えば面白いけど、聴き手としてはどういう感情で向き合ったら良いか分かりづらい曲だな」とも思った(苦笑) じっくり聴くには構成がトリッキーだし、ライトに聴き流すには重たい。




そんな、計14曲。


アルバム全体の感想としても、『mother』のところで書いた感想に似てるかなぁ。構成やアレンジやスタイルが独特なものが多くて、それを「面白い!」と思えるのか「ついていけない」と思ってしまうのかによって印象が分かれる…要は、聴き手の側の柔軟性が求められる作品なのかな?という感触でした。

ピッチングで例えると、ジャイロボールとかナックルボールみたいな珍しい球種が次々に放られてくる感じ。そこで「おもしれー」と思うのか、「…いやいや、そんでストレートのキレはどんなもんなのよ?」と思うのか。ぼくは、後者に近かったなぁ。インディー時代が、もっとストレートとかカーブみたいな分かりやすい球種が多かったと思うので。


面白い曲は多かったけど、ちょっとだけ、置いてけぼりを喰らうような感覚になる部分もある作品でした。ざっくりしたイメージとしては、前半はナードマグネット的なパワーポップで、中盤はキュウソネコカミ的なユニーク系で、終盤はback number的な真面目ロックって感じに思えました。


『TONTTU』を面白がれるほど、ぼくはこのバンドに親近感を覚えてはいなかった様子(苦笑)






お気に入りは、

#03 『八月の陽炎』

#04 『好きだった(はずだった)』

#07 『キスをしよう』

#12 『なんでもないよ、』






この作品が好きなら、

・『透明になったあなたへ』/ナードマグネット

・『モルモットラボ』/キュウソネコカミ

・『blues』/back number

などもいかがでしょうか。






サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)











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