透明になったあなたへ>オリジナルフルアルバム>タイトル:透明になったあなたへ>アーティスト:ナードマグネット>リリース日:2019年 6月 12日>記事作成日:2019年 7月




聴きました!
ここ何年か、新譜は必ずチェックするようにしているバンド。メロディが圧倒的にキャッチーで、パンキッシュで、何故だか歌詞がしみったれてて(笑)   サウンドは瑞々しくて甘酸っぱく、歌詞はしょっぱい。一粒で2度美味しい(?)バンドですね。


USのポップソング『You are my sunsine』を、ラジカセで雑にRecしたような『Intro』からスタート。この曲、めっちゃいいですよねぇ。英詞だから意味なんて全然分かんないんだけど、爽やかで人懐っこいのに圧倒的に切ない。この曲の世界観がこのバンドのボーカルの方の声の佇まいによく似合っていて、すごく短い曲なのにすでにグッと来てしまう。「カバー曲」っていう感じでもなく、あくまでオープニングSE的にさらりと聴かせてくれるのもいいです。
本編開始、『アップサイドダウン』。ぼく的には「これぞナードマグネット!」って感じ。ヤンチャな音に、センチメンタルな歌詞とメロディ。こんなにも「すっと」入ってくるロックチューンは、そうそう無い!
歪んだギターが気持ちいい、『FREAKS & GEEKS』。跳ねるサビが、これまた心地良いんです。でも、エネルギッシュで人懐っこいサウンド&メロディの上に、えらくしみったれた歌詞が乗る。このギャップこそがナードマグネットの持ち味だとも思いつつ、「なにもそんなにツンケンした物言いをしなくても」とも正直思う(笑)
『バッド・レビュテイション』。ヘヴィなサウンドのギターロック。しかしながらやはりボーカルラインはキャッチーで、歌詞は毒っぽい。そう言う意味での「構成」には変化は少ないんだけど、似通ってるとか(それによって)飽きがくるっていう感じではないのが素敵。アレンジとプレイの「変えない部分」と「変える部分」のバランスの取り方が絶妙なんでしょうね。
テンポを少し落として、牧歌的な雰囲気の『透明になろう』。いやしかし、歌詞は相変わらずチクリとした言葉が混ざっていて。でも、他の曲に比べると優しさが優ってるのかな。単語としてはシニカルなものもありつつ、ストーリー的には幸福感がありますもんね。
オモチャっぽいギターの音が曲の雰囲気によく似合っている『I'm Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance With You (Cover)』。取り敢えず、タイトル長くない?(笑)…って思ったけど、カバー曲なんすね。ぼくはオリジナルを聴いた事がありませんが、「英詞」って事を除けば「ナードマグネットのオリジナル」って言われても簡単に納得しちゃうくらいにしっくり来てる曲。メロディアスで、適度にユーモラスで、そこはかとなく感傷的で。
派手過ぎないバンドアンサンブルが逆に印象的な『虹の秘密』。やはり、キャッチーなのに切なさもある構成は継続。この組み合わせは完璧だと思うし、曲ごとにその両者の塩梅を調節する事で一切飽きを覚える事無く聴けちゃうんだよなぁ。ほんと、素晴らしいとしか言いようがない。
言葉の持つイメージ的に、「ロック」っていうよりも「ロカビリー」って感じの『テキサス・シンデレラ』。アレンジのキャッチーさに目が行きがちですが、演奏陣の器用さにも眼を見張るものがありますよね。ヤンチャで奔放な雰囲気をまといつつ、実はかなりしっかりとしたプレイをしているという。それがよく分かる曲。勢い重視のようでいて、全くそうではない。
タイトルがもうジュブナイル、『家出少女と屋上』。ボーカルの方の雰囲気(声、歌い方)は、こういう内容の時にもっとも活きると思う。若者特有の歪さや、葛藤や、希望や、絶望。ジェットコースター的なメンタルを、瑞々しいオケに乗せて歌うのにもっとも適したボーカリスト。
『Song For Zac & Kate』。ゴキゲンなアッパーチューン…なのに、またしてもセンチメンタルが香る。うんうん、その調子であらゆる角度からあらゆる温度感でしみったれてくれ(笑)   もう、本当に大好きだ、このバンドのこのしみったれ具合。
夏の終わりの曲、『COMET』。ボーカルラインも高音で推移する、テンションの高い曲。テンションは高いけれども、やっぱりスコーンと突き抜ける訳でもない曲。あぁ、うたた寝から覚めた瞬間の理由の分からない切ない気持ち…このバンドの曲はそれにそっくりなんだ。そんな事を、「夢を見てたのはきっと僕だった」なんてフレーズから思ったりしました。
終盤に来て遂に突き抜けたような、スッキリしたかのようなサウンドになった『THE GREAT ESCAPE』。それはよく晴れた秋空のように、感傷的なんだけれどもとても澄んでいて清々しい、そんな曲。歌詞も、しみったれた感じは「ない」とは言い切れないけど、それすらも肯定して前に進もうとする感じがして、グッと来ます。
ラストは『HANNAH / You Are My Sunshine』。オリジナルの曲の最後に、アウトロ的に『You Are My Sunshine』がくっついているという、珍しい構成。サウンド的にはアッパーで厚みもあるんだけど、きゅんとする感じは本作収録曲群の中でも有数な感じで。『HANNAH』と『You Are My Sunshine』の「温度感」というか、そのきゅんとする感じの「きゅんとし具合」もよく似通っていて、まるまるトータルで「いい曲だなぁ」と思いました。


そんな、計13曲。
今回も、とにかく聴きやすいロックンロールでした。聴いてると気持ちが揺り動かされるアツさがあるんだけど、一方できゅんともする。そのギャップが面白くて、気持ちよくて。このバンドのサウンド、本当に大好きです。
歌詞も、今回も大いにしみったれていた。しみったれていたんだけれども、「痛々しい」のは無くなってた。シニカルでトゲもあるんだけど、ヘタレ感が無くなってるというか。ちょっと、強さが増したような。
フルアルバムというボリュームでも一気に聴けちゃう、素晴らしいアルバムだと思う。




お気に入りは、#01 『Intro』#02 『アップサイドダウン』#05 『透明になろう』#07 『虹の秘密』#09 『家出少女と屋上』#12 『THE GREAT ESCAPE』#13 『HANNAH / You Are My Sunshine』




この作品が好きなら、・『ジブンセンキ』/Suck A Stew Dry・『HO17』/HOLIDAYS OF SEVENTEEN・『27』/SUPER BEAVERなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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