>オリジナルフルアルバム

>タイトル:Q

>アーティスト:Mr.Children

>リリース日:2000年 9月 27日

>記事作成日:2022年 4月 28日

>1回目の感想はこちら






久しぶりに聴きました!


ミスチル30周年という事で、過去作(特に昔の方のヤツ)を改めて聴き返し中。

結構、特に好きな曲だけをピックアップしたり、曲のテーマとか雰囲気とか別にまとめたようなプレイリストを作って聴いちゃう事が多いので、アルバムをまるっと聴くのは凄く久しぶり。久しぶりに聴く事で、新たに気付く事や誤解が解ける(=「勝手に拡大解釈が進んでたけど、違かった!」みたいな)事も多し。




『CENTER OF UNIVERSE』

今でも時々ライブでやる曲なので(25周年記念Tourの際には映えある一曲目に選ばれてましたね)、今聴いても“懐かしさ”は薄いけど。

このアルバムはミスチル作品の中でもかなり異色というか、遊び心に振り切れた作品だと思うのですが、それを端的に表現しているオープニングナンバー。スロウなリズムと無機質なオケから始まるのに、最終的に各パートが遊びまくる奔放なアレンジに展開するし。RAD野田さんのようなマシンガンラップ的なパートもあるし、そもそもサビでこんなに“張らない”メロディ展開はミスチルにしては珍しいような。

なんだかよく分かんないけどなんだか聴いてるとアツくなる曲。


『その向こうへ行こう』

前曲からブランクゼロでこの曲へ突入。

タイトルだけ見れば「まさにミスチル!!」と言いたくなるような、「きっと希望と勇気とに満ちたポジティブメッセージに溢れているんだろう」と思うような、そんな曲だけど…そういう感じでは、正直ない(笑) 裏切られる快感。

ぼくは、何だかよく分かんないこのアルバム(褒め言葉)の中でも突出して何だかよく分かんない曲(褒め言葉)だと認識しています(笑) 「ひなびたベイビーサラミ/もう一度フランクフルトへ」という歌詞の意味が分かったのは、大人になって久しくしてからだったなぁ。

そして、ミスチル作品の中で数少ない、作曲クレジットが“Mr.Children”の曲(“桜井和寿”ではなく)。


『NOT FOUND』

名曲。いやほんと、数あるMr.Childrenの楽曲の中でも屈指の名曲だと、ぼくは思います。でも…もしかしたら、その魅力に気付いたのはシングルリリース直後ではなくしばらくしてからだったかも(もちろん、リリース直後から大好きではありましたが)。なんちゅーか…武骨なんですよねぇ。ハードボイルド。3連のロッカバラードというスタイルが既にいぶし銀なんだけど、演奏も骨太だしボーカルはワイルドだしMVの桜井さんは男らしさのカタマリ。とにかく男臭く、浮ついたところのないカッコいい曲。

更に凄いのは、その後時々ライブで披露されていく中で、その武骨な男らしさがどんどん増して濃くなって、つまり曲の魅力が進化し続けているんですよね。『重力と呼吸Tour』での、Jenさんのドラムソロから始まるあのパフォーマンスは、この曲のひとつの完成形に到達した印象がありました。DVD観てるだけで、興奮で呼吸が浅くなり汗ばんでくるんだ。ぶっちゃけ、このテイクを目の当たりにしたあとでスタジオ音源を聴くと、少々の物足りなさすら感じてしまいます…。


『スロースターター』

ミスチルって、ギターロックチューンはそれ程多くない気がするんだけど、この曲は完全にギターが中心のロックチューン。歌詞は正直“添え物”として、この曲はあくまでもサウンドを楽しむべきモノだと思っています。別にテンポが特別速いとかリズムがやたらに小刻みとか、そういう事では一切ないんだけど、なんかアドレナリンが出てくる感じがする。

確か、サッカーの“ゴールシーン総集編”みたいな映像に合う音楽みたいなコンセプトだった気が。


『Surrender』

渋い…恐ろしく渋い曲。男の哀愁というか、女々しさというか、もはや滑稽さすら感じるような。いや、それが良いんですけども。多分、『星になれたら』『LOVE』『my life』等の曲を生み出しながらそのまま病む事なく活動休止をする事もないまま波乱のない活動を続けている世界線があったなら、この曲は生まれていない気がします。失敗とか挫折とか苦悩などを、認知し、向き合い、それすら見せていくという手法を手に入れた人にしか書けない世界観な気がします。

ウッディかつアナログなサウンドなんだけれども、でも『深海』の頃ともまた違うアナログ感なんだよなー。凄くいい。


『つよがり』

これもまた、前曲とは全然別の方向から渋い曲。“君”のつよがりを歌っているようでいて、実際には“僕”のつよがりが滲み出ている曲。

歌詞もさる事ながら、この曲はとにかくメロディが秀逸なんだ。どこのどの瞬間を切り取っても美しく、そして品がある。そして、そんなメロディを“過不足なく”ドラマチックに魅せるアレンジ。やり過ぎた下品さはゼロで、かと言って埋没するような地味なものでもない。歌詞にもあるような“凛とした”雰囲気のある、極上のバラード。


『十二月のセントラルパークブルース』

12月のセントラルパークなんて、華やかさとラブしかない気がするんですけどね。 “ブルース”とある通り、ロンリーハートが歌われとります。キリスト教圏はどこでも、クリスマスは最高の幸せ者と最強の落伍者という2つの分断を産むんですね(笑) ぼくも、後者の記憶ばかりが脳裏に浮かぶぜ…。

とは言え、とにかくユーモラスでテンションの高い曲。ミスチル史上屈指の、“どの曲にも似てない曲”だと思う。曲調でカテゴライズしても浮くし、アレンジの雰囲気でカテゴライズしても浮くし、歌詞の方向性やテンションでカテゴライズしても浮くし(笑) 良いですよね、この個性。


『友とコーヒーと嘘と胃袋』

時々無性に聴きたくなる曲。これもまた、他のどの曲にも似てない独特な曲ですよねぇ。強いて言うなら、この曲と『十二月のー』が同じカテゴリになるのかな(笑)

途中、桜井さんがひたすらに何かを熱弁するパートあり。うん、これは“ラップ”でも“語り”でももちろん“音声のサンプリング”でもなく、“熱弁”。ライブだったら、「ボーカル、ギター、そして熱弁。桜井和寿!」と自己紹介すべきところ。


『ロードムービー』

ここ数曲のとっちらかり(笑)を、冒頭のグロッケンだけで見事に落ち着かせている。有無を言わせぬ世界観を持った、クールで都会的な雰囲気の曲。グロッケンは小林武史Pらしいですが、メンバー4人のワイワイキャッキャを一言で静かにさせたような感じがして、ちょっと面白いんだ。

“サビ”というより“Bメロ”に近い雰囲気のサビは、だけどそうであるからこそ強烈なインパクトとドラマ性を醸し出していて。「世の中にはこんな構成の曲があるんだ⁉︎」という、目から鱗な体験も当時しました。大学の頃には仲間と自作曲を作って学祭でライブをする程度の事はしていたぼくなんですが、この曲を聴くたびに、自分書く曲の平凡さと退屈さを知らしめられて創作欲を削がれたものです(笑)

5分に満たない尺の中に、映画か連ドラくらいのドラマが詰まっている、ブラックホールくらいの凝縮感の曲。


『Everything is made from a dream』

親しみやすいマーチ調の、キャッチーな曲。オケだけ聴けば、小学生とかに鼓笛隊でやってほしい系。でも、歌詞には皮肉や批評性があって、だから「わぁ可愛い〜」だけでは終われない曲。

上記のように、雰囲気は割と可愛らしくて親しみやすくて、例えばNHKの『みんなのうた』とかで流れててもおかしくなさそうな雰囲気なんだけど…実はこの曲、終始キーが高いですよね。サビで高音に突き抜ける曲は多いけど、この曲はAメロからずっと高め。やった事ないけど、カラオケとかで歌ったら地味に疲れるんだろうなー(笑)

ちなみに、過去のライブでは間奏の“語り”が野沢雅子さんみたいな声のバージョンになっていましたが…あれ野沢さんなんでしょうかね。


『口笛』

シングル曲。甘いラブソング。このスウィートなラブソングは本来“Mr.Childrenのメインストリーム”なハズなんだけど、これだけクセの強い曲が集まった本作に入っていると“カウンター”に聴こえるから面白い。「何かの皮肉なんじゃないのか?」と邪推してしまうような(笑)

徹頭徹尾、甘いラブソング。


『Hallelujah』

ここへ来て急に重厚な、そして深淵な世界観へ。

結構、ギターが効いてる曲だと思います。でも、“ギターロック”って感じとはちょっと違うのかな。バンドの力強さと、鍵盤やストリングスの流麗さと、祈るような願うような歌声と…三者のバランスが等分で、凄く聴き応えがある。その辺の雰囲気的に「のちの『and I love you』に通じるものがあるなぁ」と思ったんですが、そういえば『andー』はこの曲のコード進行をベースにしてたんでした。全然違う曲だけど、佇まいに近いものがある2曲。


『安らげる場所』

ラストは、桜井さんのひとり語りみたいな曲。アコギとピアノがゆったりと刻み、終始優しく柔らかく展開する。音が少ない分、桜井さんの歌声と歌詞の内容とを存分に堪能出来ます。

凄く優しくて柔らかい、陽だまりのような曲なんだけれども…でもその“陽だまり”は春というよりも秋のソレのようで、そこはかとない感傷と寂寞感が鼻腔をつつくんですよね。ツンと来る。冒頭で「10月の」とはありますが、単にそのワードがあるからというのではなく、アレンジも含め全体的に、秋の切なさを湛えている曲。




そんな、計13曲。


本作がリリースされた時はぼくはまだ10代のガキンチョだったのですが…ガキンチョに、この作品の魅力は中々分かるまい(笑)

ミスチルのアルバム史上、最も“自分本位”の作品であるとぼくは思っています。つまり、発信者(=ミスチル)が自分たちの満足感と達成感とを優先して作った感じ。勿論そもそもがホスピタリティに満ちたバンドなので、「聴き手がどう思うかなんて関係ない」とまでは思っていなかったのでしょうが、でも、「どう受け止められるか」よりも「自分たちが満足出来るか」かに重きが置かれているのではないかと、ぼくは思います。

「ミスチルって、真面目な人たちだと思ってたけどこんなに遊べる人たちなんだ〜」というのを知れたのが、楽しい。だけどガキンチョのぼくはそんなに柔軟ではなかったので、「もっと“いつもの”が聴きたいのに!」と思っていた可能性は高い。


小林Pから離れてセルフプロデュース体制に移って以降の作品は、アプローチの方法は違えども本作の制作環境にもしかしたら近いのかもしれませんね。例えば『REFLECTION』収録の『未完』の無邪気さも、『重力と呼吸』収録の『SINGLES』『addiction』のような衝動性も、『SOUNDTRACKS』収録曲のような音の質感へのこだわりも…この『Q』というアルバムの端々に、似たような匂いを感じるのです。


そして何よりも、22年も前の作品を、今聴いても色褪せゼロって!!!! それが何よりも驚異的。なんなら、ちょっと新しくすらあるもんね(笑) ミスチルの普遍性って、ちょっと常軌を逸している…。なんか、悪魔と契約とかしてるんだろうか。






お気に入りは、

#01 『CENTER OF UNIVERSE』

#03 『NOT FOUND』

#05 『Surrender』

#06 『つよがり』

#09 『ロードムービー』

#10 『Everything is made from a dream』

#13 『安らげる場所』






この作品が好きなら、

・『シャンブル』/ユニコーン

・『BREAK MY SILENCE』/高橋優

・『ME SO SHE LOOSE』/味噌汁's

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
















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