もう1か月になる。

 

 

嵐のように過ぎ去った友人。この雑誌を残していった。

 

 
ライターの火をつけ、睨み付けているのは俳優のJudith Godrèche(ジュディット・ゴドレーシュ)。何とか書けた。綴りも読み方も難しい。
 

Wikipediaによると、« L'Auberge espagnole(邦題:スパニッシュ・アパートメント)» にも出演していたらしいが、映画を見ても俳優名に疎い私はその存在を知らなかった。

 

 

夫や友人によると、10代の頃から活躍していたそうで、まさにその頃に監督たちから性暴力を受けていたことを今年になって告発した。それで「ジュディット、火をつける」に繋がる。

 

 

フランス土産としてもらったのが、この記事。日本滞在中に会えるのは2日(結局3日になった)と限られていた。4月下旬に受け取ってから5月初めに再会するまでに読んだ。

 

せっかく私のために選んでくれたわけだし、この件について小旅行中に意見交換したかったのだ。当日は現物もこっそり持参。結局、当の本人は読んでいなかったのだけれど。

 

姫路⇔大阪の車内だけでなく、京都、姫路、梅田、難波のレストランでも友人は私の横に座りたがった。というよりも旦那さんに子供たちの面倒を見させたかったのだろう。

 

自分の時間を持ちたいという気持ちがその行動に表れていた。で、電車で移動中、1時間ほど私の夫も含め、社会問題について話した。環境問題、貧富の差、学校教育等々。

 

あの時は、私が30年近く知っている頭が切れて、ユーモアのある友人だった。残念なことに3週間にわたる長旅のストレスのせいか冷静さを欠いていたことは以前に書いた通り。

 

話を元に戻し、電車の中で落ち合ってボックス席に座ると、まず私から雑誌の話を持ち出した。私たちは2017年から2018年までこの種の社会問題についてやり取りしていた。

 

 

 

ここに書いたように、面と向かってお礼を言おうと思っていたのだけれど、対面する前にその機会が訪れた。来日前に日本語レッスンを行っている時の出来事だった。

 

「お土産にフランスの雑誌を持って行こうと思っているんだけど、どんな雑誌がいい?」と聞かれ、去年、フランス語の試験勉強をしてから社会問題に関心があることを伝えた。

 

本当は環境問題と言いたかったのだけど、言葉を濁したのは当時、友人が石油関連の企業に勤めていたから。すると、友人のほうから切り出した。

 

「確か、Shizukoはジェンダー問題に関心があったよね?」熱かった頃を思い出した恥ずかしさと物事が変わらない遣る瀬なさとで、言い訳するように説明した。

 

日本語教師という職業を見つけ、少し遠ざかったけれど、私にとって今でも大事なテーマであること。最近、私たちのメールのやり取りや友人のアンケート回答を読み返したこと。

 

その上で、お礼を伝えた。友人がその種の記事を見つけてはリンクを送ってくれ、フランス語のアンケート内容にアドバイスをくれたのは自分のためだったというのは知っている。

 

だから、旅行中に見せた苛立ちも理解できる。けれど、わだかまりが残った。あれから1か月が過ぎ、そろそろ連絡を取ろうと思う。来月、フランスで会って本来の姿を見たい。

 

今回はオリンピック直前のパリ(オリンピックがなくても!)を避けて、ジュネーブからフランス入りする。義父の住む地方へ行く途中に友人たちが住んでいる街がある。

 

このブログは行動を起す前に考えをまとめる場所。そして数年後に振り返る場所でもある。仕事だけでなく、旅行するにしても結局は「人に会う」のが目的だと思う今日この頃。

 

ところで、普段聞いているポッドキャストでも Judith Godrècheがゲストとして招かれていた。雑誌の表情とは違って、柔らかいフランス語を話す人。

 

 

言葉を選んでいるのも分かった。印象に残ったのは「(加害者と)対話をしたいのに相手は隠れてしまい、まるで私が兎を追う狩猟者のように扱われる。」という発言だった。