〈ONE GOSHO この一節とともに!〉 (りっ)(しょう)(あん)(こく)(ろん)

· 勇気の拡大は一人から

男子部教学室編

 2月の「世界青年座談会」に向けた各部一体の(ほう)(もん)(げき)(れい)で、創価家族の連帯が広がっています。今回は、仏道修行に(はげ)む上で、重要な(そん)(ざい)である「(ぜん)()(しき)」について学びます。
 

御文

 (なんじ)(らん)(しつ)(とも)(まじ)わって()()(しょう)()る。
 (新43・全31)

通解

 あなたは、(かお)り高い蘭室の友に交わって感化され、(あさ)(ばたけ)()える(よもぎ)のように真っすぐな(せい)(しつ)になった。

背景

 本書は、(ぶん)(おう)元年(1260年)7月16日、日蓮大聖人が39歳の時、鎌倉(ばく)()の実質的な最高(けん)(りょく)(しゃ)(ほう)(じょう)(とき)(より)に提出された「国主(かん)(ぎょう)の書」です。
 当時は、(おお)()(しん)(おお)(かぜ)(こう)(ずい)等の自然災害が相次ぎ、(しん)(こく)()(きん)が発生。さらに、(えき)(びょう)の流行などが毎年のように続き、人心は(みだ)れ、(みん)(しゅう)()(たん)の苦しみにあえいでいました。
 中でも、(しょう)()元年(1257年)8月に鎌倉一帯を(おそ)った「正嘉の大地震」が本書(しっ)(ぴつ)の直接の動機です。
 本書は、客(北条時頼を想定)と主人(大聖人を想定)との10問9答の問答形式で(てん)(かい)されます。
 主人は、世の中の(さい)(なん)(なげ)く客に対して、その根本原因は(しょう)(ほう)(そむ)く「(ほう)(ぼう)」であると()(てき)します。
 客は、(あやま)った教えへの(しゅう)(ちゃく)から、はじめは主人の言葉に(いきどお)りましたが、経典に基づいた、主人の堂々たる仏法の正義の(うった)えを聞いて、(じょ)(じょ)に態度を(やわ)らげます。最後は(じゃ)()への執着を断ち、正法を求めるに(いた)ります。

解説

 今回の(はい)(どく)()(もん)は、客が仏法に対する()(ちが)った考えを改める様子を、主人が()()を通して喜び、たたえている一節です。
 「(らん)(しつ)」とは、(かお)(たか)い蘭が置かれた部屋のこと。蘭室にいる人に、自然と蘭の香りが移るように、主人との対話によって、客が感化されたことを(たと)えています。
 「()()」とは、(あさ)(ばたけ)のことです。曲がりやすく、地面に広がって育つ(よもぎ)は、麻畑では周囲の麻に(したが)って、真っすぐ()びるといわれています。客の仏法への(あやま)った(にん)(しき)が、主人によって正されていく様子を譬えています。
 仏法では、“人を仏道に導く(そん)(ざい)”を「(ぜん)()(しき)」と()びます。仏法を教える()(しょう)や仲間から(はな)れず、共に仏道修行に(はげ)むことで、成仏という幸福(きょう)(がい)は築かれていくのです。
 拝読御文の後には、「人の心は時間の経過に(ともな)って移り変わり、人の性質は接する(かん)(きょう)に基づいて変わる」(新43・全31、通解)と(おお)せです。
 “今、この場で信じていても、後になれば決意が(うす)れて(わす)れてしまう。だからこそ、時を(のが)さずに行動を起こしなさい”と、「決意(そく)行動」の重要性を強調されています。
 また本書の最後は、「ただ()が信ずるのみにあらず、また()(あやま)りをも(いまし)めんのみ」(新45・全33)と、自らの考えを改めた客の決意で結ばれています。
 自らが善知識に(えん)するだけにとどまらず、自身も善知識となって、正法を広める(じっ)(せん)(いど)むことを教えられていると(はい)せます。
 日蓮大聖人のお心のままに、善知識が善知識を呼ぶ“(れん)()”によって築かれたのが創価学会です。そのことを(しょう)(ちょう)する広布史の一つが、1952年(昭和27年)の「二月(とう)(そう)」です。
 あす29日は、二月闘争の出発となった(かま)()支部(きん)(きゅう)組長会が行われた日。同年1月、蒲田支部の支部幹事に(しゅう)(にん)した池田先生は、組2世帯の(しゃく)(ぶく)を目標に(かか)げ、全ての組を(たん)(ねん)に回り、友の(げき)(れい)(てっ)しました。
 その中で、会合参加者の数は目に見えて増加。人々は(くち)(ぐち)に「先生に励まされた」「先生が家庭(ほう)(もん)に来られた」と語ったと言います。
 ある座談会で、折伏に悩んでいるメンバーの話を聞いた先生は、自ら(そっ)(せん)して()(きょう)(はん)を示しました。こうした先生の姿(すがた)に触れた蒲田支部の同志は、一人また一人と立ち上がり、「201世帯」の弘教を達成。当時の限界を破る勇気の拡大は各地に飛び火し、恩師・戸田城聖先生の願業・75万世帯(じょう)(じゅ)への(とっ)()(こう)を開きました。
 後に、池田先生はつづっています。
 「まず自分が燃えることだ。冷たく(もく)したままの石でさえ、打ち合えば火花が(しょう)じる。いわんや、熱い(たましい)と言葉をもった人間が打ち合うならば、心に火を(とも)せぬはずは絶対にない」
 善の連帯は必死の一人から二人、三人へと広がっていく――これは、創価三代の師弟、なかんずく池田先生が示してきた広宣流布の方程式です。
 私たちも折伏、訪問・激励に(せん)()し、縁する人の「蘭室の友」となって、善知識の()()である「世界青年座談会」を、(じん)(れつ)の拡大で(かざ)っていきましょう!