The Jack Bruce Bandというのが存在していたのを知らなかった。当然LeaderのJack BruceのLaed VocalとBass,Piano、そしてギターは74年12月にThe Rolling Stones脱退を表明したMick Taylor、ドラムスにBangのアルバムに参加していたBruce Gary、Stone The Crowsの鍵盤奏者だったRonnie Leahy、そしてOrgan、Synthesizer、Clavinet、Mellotron、 Electric Pianoを演奏するCarla Bleyというメンツである。CarlaがCanadaの詩人Paul Hainesと制作した71年リリースのお気に入りのアルバム『Escalator Over the Hill』でCarlaとJack Bruceは共演していた。この非常に興味深いメンツが集まったバンドは、Jack Bruceが74年にリリースしたアルバム『Out Of The Storm』のPromotionのために企画されたバンドのようでEuropeをTourしてオランダのPinkpop Festivalに出演したが、活動期間は1年にも満たないほどで、Mick Taylorの脱退によってTourは終了しアルバム制作も頓挫した。Cream解散後から、ここに至るまでのBruceの活動を振り返ってみると、一つのところに留まらず、自らのジャンルを越境したルーツを生かしてJazzやRock、Blues、Soul/R&B、民族音楽、前衛音楽を行ったり来たりしながら独自の個性を発揮している。それは、決して親しみやすいものではなく、派手で分かりやすいCreamの激しいInterplayの応酬のようなRockではない。それゆえにCreamの幻影をBruceに追い求めても肩透かしをくらうようなもので、Bruceのとりとめのない、極めて英国的で一筋縄でいかない世界観に浸るしかない。後期Traffic時代のSteve Winwoodにも通ずる多様性に満ちた味わい深い魅力がある。Blues IncorporatedやThe Graham Bond Organisation、John Mayall & the Bluesbreakers、Manfred Mann、Cream、New Jazz Orchestra、The Tony Williams Lifetime、West, Bruce & Laingといった経歴からもわかる、その素晴らしいBassistとしての演奏やピアノ、Vocal、そして盟友であるPete Brownの書く歌詞と共に生み出されていく世界は、ジャンル付けするのが意味のない、捉えどころがないようであるが一度その魅力にハマると中々抜け出せない魅力があるのだ。
『Live '75』は75年6月1日にManchester Free Trade Hallで行われたThe Jack Bruce Bandの演奏を収録したLive Album。
アルバム1発目は“Can You Follow?”。71年リリースのアルバム『Harmony Row』の冒頭を飾った曲で、2分足らずのJack Bruceのピアノ弾き語り。いかにも英国らしい陰影を感じさせるBallad。
“Morning Story”も同アルバムから。CarlaのSynthesizerといい、Taylorのギターといい、派手さこそないがBruceが歌い上げる独特のMelodyのVocalを盛り立てている。Steve Winwoodにも通じるSoulfulながら極めて英国的なMelodyにBruceらしさを強く印象付けるナンバー。
“Keep It Down”は74年作『Out Of The Storm』からのナンバー。Singleとしてリリースされたこの曲も地味ながらSoulfulなBruceのVocalは聴きモノである。
“Pieces Of Mind”も『Out Of The Storm』収録曲。Bruceが静かに歌い上げる出だしから刻々と曲調は変化しつつ、これぞJack Bruceというべき一筋縄ではいかない独特の世界が生み出されていく。
“Tickets To Waterfalls / Weird Of Hermiston / Post War”は1st Solo Album『Songs For A Tailor』からの2曲と『Harmony Row』からのナンバーのMedley。Carlaの弾くMellotronが独特の雰囲気を出しTaylorのBluesyなギターも味わえる24分越えのBruce World。Hammondソロもイイ感じ。
The Tony Williams Lifetime時代のWilliams作“Spirit”はギターとSynthesizerが絡み合うEasembleを重視したJazz Rockなのが面白い。
“One / You Burned The Tables On Me”は『Out Of The Storm』と『Harmony Row』収録曲のMedley。Bruceの熱唱は力入り過ぎかもしれないが、エレピやHammondにMellotronも飛び出す渋い演奏がたまらない。
『Harmony Row』からの“Smiles And Grins”24分の長尺の演奏。動と静が入れ替わる展開は派手さはないがBruceのVocalもベースも圧巻だ。
最後をシメるのはお約束の“Sunshine Of Your Love”。
◎Spirit/Jack Bruce Band
(Hit-C Fiore)
