CreamはやっぱりLiveが一番だろう。66年にLondonで結成されたJack BruceとGinger Baker、Eric Claptonと、それぞれにキャリアを積んだ3人による最初のSuper Groupと言われている。 ScotlandはLanarkshire州のBishopbriggsに生まれたJack Bruceは10代でJazz Bassを演奏し始め、奨学金を獲得してThe Royal Scottish Academy of Music and DramaでCelloと作曲を学び、自活のためにJazz Bandでも演奏していた。LondonでAlexis Korner率いるBlues Incorporatedのメンバーとなり、63年に解散すると、GroupにいたGraham Bond、Ginger Baker、ギタリストのJohn McLaughlinとGraham Bond Quartetを結成するのである。McLaughlinが脱退しSax奏者Dick Heckstall-Smithが加わるとThe Graham Bond Organisationを名乗るようになり65年にModな『The Sound Of 65』など名作をリリースしている。しかし、この頃からBruceとBakerの確執は深刻なものとなっていた。Bruceは脱退してEric ClaptonがいたJohn Mayall and The Bluesbreakers、そしてManfred Mannに短期間加入、一方The Yardbirds、そしてJohn Mayall & the Bluesbreakersと渡り歩いたClaptonはGraham Bondに嫌気がさしたBakerからGig終了後の車の中でバンド結成を誘われる。結成の条件がベースのBruce加入だったことを告げられるとBakerは驚きのあまり車を衝突させそうになるのであった。演奏達者な3人のエゴが激しくぶつかり合い、Jazzの即興演奏を取り入れながら俺が俺が自己主張が熱くスリリングなRockな勢いを増すことになったのは興味深い。Rockの場合、往々にしてこういった予定調和を乱すWildでPrimitiveな情熱がLiveにおける盛り上がりを演出する。正直Bakerのドンくさいドラミングでさえも、熱く燃えたぎるRock魂を感じられてTrioの緊張感の高まりがLiveならではの迫力を生んでいる。
『Live Cream Volume II』はCreamが72年にPorydorからリリースしたLive Album。バンドが解散する68年の3月と10月の演奏が収録されている。5月はWinterlandでの9日と10日の演奏、10月はOakland Coliseum Arenaでの4日の演奏が収録されている。彼らが得意とする即興演奏の多さについては70年にリリースされた『Live Cream』に一歩譲るが、人気曲“White Room”と“Sunshine Of Your Love”が収録され、当初“Hideaway”と誤ってCreditされていたアルバム最後の Memphis Slimが59年にリリースした“Steppin' Out”のCoverは圧巻である。Blues Breakers時代に66年にリリースした『John Mayall With Eric Clapton』でも演奏していたこの曲を13分を越えるこの熱演でしばき倒している。
アルバム1曲目は“Deserted Cities Of The Heart”。68年リリースの『Wheels of Fire』に収録されていた大好きな曲。勢いは歓声の中始まるこのLive盤の方が数段上である。
“White Room”はイントロが始まると、一気に世界に入り込む。BruceのVocalはLiveでもPitchが決して危なくすらならないのは流石。
Creamで一番好きな曲“Politician”はRiffは勿論ご機嫌なんだけど、BruceのSoulfulなVocalとウネるベースは圧巻である。
“Tales Of Brave Ulysses”はBruceの魂入りまくりの歌いっぷりが最高。唸りを上げるClaptonのWah Guitarに鬼のようにバタバタ叩きまくるBaker、この時代にこの迫力はやっぱりスゴイ。
“Sunshine Of Your Love”は、やっぱりこのRiffっすなあ。RoughなChorusもLiveならではで、ブリブリかましてるBruceのベースがカッコイイ。混沌としたEndingも良し。
最後をシメるのは上述の“Steppin' Out”。Bluess Breakersの時よりTempo Upしてドラムスがバタバタしてしまうのがアレだが、怒涛の弾き倒し。SGらしい太く粘っこい音でガツガツ攻めまくるのが良い。
(Hit-C Fiore)