Charles KynardがMainstream Recordsに残したアルバム3枚の最後を飾る一枚をご紹介。72年にリリースされた前作 『Woga』に引き続き翌73年にリリースされた本作でもベースにChuck Rainey、ドラムスにPaul HumphreyというSteely Danの名作『Aja』の冒頭を飾る“Black Cow”のご機嫌なリズム隊が参加しているのが嬉しいが、アルバム・タイトルで少々不安になったのであった。いや、Loggins and Messinaは大好きなDuoなわけなんだけど、本作は、アルバム・タイトルからもわかるように彼らの72年のヒット曲“Your Mama Don't Dance”を始めとした、Stevie WonderやSeals and Crofts、Sir Joe Quarterman & Free Soulらの当時ヒットしたナンバーをCoverしたアルバムになっているのであった。選曲は悪くないものの、この手の作品は往々にして歌のない歌謡曲的な、個性のない聞き流されるようなFusion的な安直な仕上がりに終始するものも数多く、一瞬嫌な予感が頭をよぎったのであった。しかし、そこはさすがにKynardお馴染みの名Composer/Arranger Richard Fritzが本作でも腕を発揮していて、ギリギリのところでKynardのHammondが実に心地良く鳴り響いている。Hammon好きには、やっぱりKynardのアルバムはPrestige時代も、このMainstream時代もご機嫌なSoul-Jazzを聴かせてくれる手放せない宝物だ。Charles KynardことCharles Elliot KynardはMissouri州St. Louis生まれのOrgan奏者で46歳という若さでこの世を去ってしまったのだが、Pacific Jazzから63年に初Leader Album『Where It's At』をリリースしてSonny Stittの『My Mother's Eyes』やLes McCann Ltdの『The Gospel Truth』、上述のPrestige時代に数々の漆黒のSoul-Jazzの名盤を残してきた。所謂、コテコテの路線は大好きではあるが、本作では、あえてAfro-American以外ののヒット曲なども取り上げて、Isley Brothersのごとく自分流に料理しているところが面白い。
『Your Mama Don't Dance』はCharles KynardがMainstream Recordsから73年にリリースしたアルバム。前作から引き続き参加しているArthur Adamsのギターがイイ味出している。
アルバム1発目はの“Superstition”。言わずと知れたStevie Wonderが72年にリリースした珠玉の名盤『Talking Book』収録曲。出だしは黒いタメが足りずにチョイ軽い感じがしたのだが、Hammondソロにはいると、これが勢いのあるフレーズが飛び出してくる。そしてTromboneソロに続くAdamsのVolume奏法を駆使したギターソロもイイ感じ。
“The World Is A Ghetto”はWarの72年リリースの同名アルバムのタイトル曲にしてヒットした彼らの代表曲。Horn隊を配し、こちらもアッサリとした仕上がり。
お馴染みRichard Fritz作の“Momma Jive”はGospel調で、Adamsのギター・ソロがイナタさを出していて、たまらんすなあ。KynardのHammondソロも水を得た魚状態でHorn隊をバックに炸裂している。
“I Got So Much Trouble”はSir Joe Quarterman & Free Soulの“(I Got) So Much Trouble In My Mind”。こちらは、あえて泥くささを強調せずNew Soul風のJazz Funkな仕上がりがイイ感じ。Raneyのベース・ソロも渋い。
Loggins and Messinaの“Your Mama Don't Dance”。これがWah Guitarがイイ感じで腰が動き出す実にご機嫌な仕上がりである。
Richard Fritz作の“Zambezi”。これはWah GuitarにHammondが炸裂する文句なしのJazz Funk。
Isley Brothersの名Coverで知られるSeals and Croftsの“Summer Breeze”もHammondが歌い、AdamsのVolume奏法が飛び出す。キレの良いリズム隊が気持ちよすぎ。
アルバム最後を飾るのは再びStevie Wonderの『Talking Book』から大好きな“You've Got It Bad Girl”.。JazzやLatinの要素にKynardの濃すぎないSoul感覚がバッチリ後味爽やか。Adamsのギターも良き。
◎Momma Jive/Charles Kynard
(Hit-C Fiore)
