お気に入りのGuitarist/Singer Arthur Adamsは随分と久しぶりの新作『Here To Make You Feel Good』を昨年リリースしてくれてまだまだ健在ぶりを発揮していた。抜群に上手いVocalであったりとか超絶技巧のギターではないけれど、Arthur Adamsの素朴なVocalや痒いところに手が届く絶妙のギターの味わい深さは絶品である。Adamsの音楽にはGospelやBlues、R&B、Jazz、FunkといったさまざまなBlack Musicの旨味が感じられ、その芳醇な味わいを生み出しているようだ。Tennessee州はMedon生まれのArthur Adamsは6歳の時に教会のChoirで歌うようになってGospel Musicの世界に入った。10代になってギターを弾き始めるとB.B. KingやElmore James、Muddy Watersを知ってBluesの虜になったという。やがてAdamsが大学に進学するために参加していたGospel Groupは解散するが、JazzやBluesを学びながらR&B SingerのGene Allisonのバンドに加入してTourに同行するようになる。また、Lightnin' HopkinsやChuck Berry、Elmore James、Lowell Fulsonと共演し、Buddy GuyのSupportも体験したという。60年代に入るとPhiladelphiaのJamie RecordsやJetstar RecordsなどからArthur K. Adams名義で7", Singleをリリース、64年にSession MusicianとしてLos Angelesに拠点を移すとQuincy JonesやHugh Masekelaと仕事をし、Studio MusicianとしてLou RawlsからHenry Manciniに至るまで数々の録音に参加した。TVや映画のSoundtrackも手掛けるようになった。この時期にModern Recordsからリリースした7", Singleは最高である。60年代後半にはThe Jazz Crusadersのメンバーと一緒に仕事をするようになり、ギタリストとして彼らのアルバムにも参加するようになる。71年にThe Crusadersとなってからも『Pass The Plate』から『The 2nd Crusade』まで参加し、Lary Carltonが加わった後も『Those Southern Knights』、『Free As the Wind』といったアルバムでもギターを弾いていた。ソロ・アルバムは73年にBlue ThumbからTommy LiPumaのProduceで『It's Private Tonight』をリリースし、本作はそれに続く2ndアルバムとなる。
『Home Brew』はArthur Adamsが75年にFantasyからリリースしたアルバム。
The CrusadersのWayne HendersonがArrangerとなりJoe SampleやWilton Felder、Stix Hooperが全面参加している。またJames JamersonやGeorge Bohanon、Dennis CoffeyといったThe Funk Brothersの面々や鬼才Jerry Peters、New Orleans出身のBackbeatの魔術師Earl Palmer、Jazz BassistのKent Brinkley、Sax/Flute奏者のRonnie Lawsら前作にも増して腕達者なメンツが集結している。
アルバム1曲目はアルバム・タイトル曲“Home Brew”。Funkyなカッティングで始まり、Horn隊やClavinetが気持ち良く盛り立てるインスト曲。ギター・ソロも渋いっすなあ。
これまたFunkyな“Do What Cha Doin'”。Horn隊がビシバシ切れ込み、Wilton Felderのベースもイイ感じ。
“The Blues”も黒々としたMidium Funkで、AdamsのCoolに抑制されたSoulfulなVocalが良い。ギター・ソロもイイ味出している。
Major Seventh Chordにのって爽やかに歌い上げる“We've Got An Understanding”。Ronnie LawsのSaxソロも最高。
James Jamersonのベースがウネる“That's The Way You Move”。Earl Palmerのドラミングもカッコイイ。
George BohanonのTromboneソロが飛び出すインスト曲“Keep On Dancing”。
Jerry Petersの指揮するStringsにのってOscar BrashearのFlugelhornとRonnie LawsのFuteが躍動するインスト曲“First-Class Woman”。
Joe SampleがSynthesizerを弾くインスト曲“Chicago Sidewalk”はマッタリしたFunk BeatにのってAdamsのギター・ソロがご機嫌である。
Adamsのギター・ソロが楽しめるインスト曲“Bumpin' Around”。
アルバム最後をシメるのはAdamsのギターが堪能できるインスト曲“That's The Way It's Gonna Be”。
(Hit-C Fiore)